ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第154話:Four Heavenly King
メンテナンスルームに入るとカプセルに入れられたルナが横たわっていた。
ルナはただ動力炉が貫かれたことによる機能停止のために動力炉を修理すれば助かるかもしれないからだ。
「ルナ…行ってくるよ。シグマを必ず倒してくるから…今は一緒に戦うことは出来ないから…代わりに君のバレットを借りていくから…じゃあ」
ルナの愛銃を借りると、アクセルはエックス達と共に再びヤコブに向かう。
ヤコブ計画の重要拠点である月面基地はシグマパレスと呼ばれており、人類の希望とされていた施設は今やイレギュラーの巣窟となっている。
エックス達が現れると、警戒に当たっていた警備ロイドの大群がひしめいていた。
エックス、ゼロ、ルイン、アクセル、エイリア、アイリスはそれぞれの武器を構えて突撃する。
『皆さん!!頑張って下さい!!絶対に…生きて帰ってきて下さいね!?』
涙混じりの声にエックス達は表情を引き締めて頷いた。
機能停止したルナのことはゲイトに任せてあるのだから、ここで負ける訳にはいかない。
『あ…通信………シグ…』
「大丈夫だよパレット、シグマなんかとっとと倒して帰ってくるから!!」
ブラストランチャーの手榴弾を連射して爆風に巻き込ませて警備ロイドのガードをクラッキングしつつ破壊していく。
「その通りだな。俺達の邪魔をするなら…叩き斬るまでだ!!」
ゼロのセイバーが警備ロイドに向けて振り下ろされ、まともに喰らった警備ロイドはあっさりと真っ二つにされた。
「連葉断!!」
アイリスはサーベルをDグレイブに変形させ、それでパンデモニウムのラーニング技である連葉断による連続突きで複数の警備ロイドの動力炉を的確に貫いた。
「サンダーダンサー!!」
エイリアはバスターを構え、サンダーダンサーによる連鎖で上空の警備ロイドを感電させ、麻痺状態にさせる。
「喰らえ!!」
その隙にルインがチャージセイバーで追撃し、麻痺状態の警備ロイドを粉砕する。
「みんな、下がるんだ!!スプレッドチャージショット!!」
アームパーツHのチャージショットを放つ。
狭い空間、もしくは相手が密集している場合、自身のチャージショットは充分な効果を発揮する。
特にこのスプレッドチャージショットは拡散ショットのためか1発の威力はノーマル状態やアームパーツIのフルチャージしたチャージショットには劣るが攻撃範囲が広く、このように複数を同時に攻撃するのに適した装備なのだ。
警備ロイドを蹴散らして、一気にシグマパレスに突っ込もうとした瞬間。
「プラズマサイクロン!!」
「十字手裏剣!!」
「メガトンクラッシュ!!」
「フリージングドラゴン!!」
雷を纏う竜巻、十字型の大型手裏剣、巨大な火炎弾、氷の龍がエックス達に迫る。
「スクイーズボム!!」
咄嗟に繰り出したチャージスクイーズボムで竜巻、手裏剣、火炎弾、氷竜を何とか凌ぐ。
「お前達は!!?」
「久しぶりだなプロトタイプよ」
「確かノアズパーク以来だよね、元気にしてた?」
「うん、元気だよ。君達を今すぐ原形も残さずに潰してやりたいくらいにね!!」
殺気を全開にして放つルインにグラキエスの表情が一瞬だけ引き攣った。
「あなた達…良くもルナをイレギュラーに…許さないわよ!!」
「ふん、奴が連れ去られたのはそこにいるプロトタイプのせいだろう?」
「見捨てて逃げればいいものを。自分の力量を理解せずに立ち向かおうとするからそうなるのだ」
「俺達はただ目の前の敵を始末しただけだ」
「その口を閉ざせ。それ以上俺の仲間を侮辱するなら斬る」
潜在能力であるブラックゼロを解放するのと同時にセイバーをウェントス達に向けた。
「私もそろそろ君達の顔は見たくないと思ってきたからさ。さっさと消してあげるよ」
暁を思わせる朱色のアーマーから、血を思わせる紅色のアーマーを纏い、金色の髪も紅が混じった金髪に変わる。
エックスはアーマーパーツをHシリーズに統一し、ニュートラルアーマーをヘルメスアーマーに変化させるとバスターを構えた。
「エイリア、アイリス…サポートを頼む…」
「分かったわ、任せて」
「アクセル…行ける?」
サポート役を任されたエイリアとアイリスは頷き、アイリスはアクセルを見遣りながら尋ねる。
アクセルは深呼吸をして潜在能力…ゼロのブラックゼロとは反対の色のために便宜上呼ばれているホワイトアクセルを発動させる。
「何時でもOKさ、あいつらをさっさと処分してシグマを倒そう」
「言ってくれるじゃない!!フリージング…」
「フレイムバーナー!!」
グラキエスがチャージしたハルバードを振るう前にダッシュで距離を詰めると至近距離からの火炎放射を浴びせる。
「うわあああ!!?」
反応すら出来ずに弱点の炎に飲まれたグラキエスは悲鳴を上げる。
「グラキエス!?」
「君達もそこそこ強くなったようだけど、私達はもっと強いよ」
「お前達がこんな薄暗いところで引き籠っている間、俺達は数多くのイレギュラーと戦ってきたんだ。受けろ、雷光閃!!」
「ぐあっ!!?」
雷を纏った神速の斬撃を喰らったイグニスは呻く。
「そんな私達が君達に負けるなんて有り得ないね!!」
チャージショットを放つルインにテネブラエはシャドウダッシュで回避するものの、即座にPXアーマーに換装してスコープでテネブラエの位置を探るとクナイを投擲した。
「チッ…」
腕に刺さったクナイにテネブラエは表情を歪め、その隙にアイリスがサーベルを勢い良く突き出してきた。
「葉断突!!」
「ぐはっ!!」
まともに強烈な突きを受けたテネブラエが吹き飛ぶ。
「プラズマサイクロン!!」
「(彼の能力は以前の戦いと変わっていないならこの特殊武器は有効なはず!!)ドリフトダイヤモンド!!」
バスターから広い攻撃範囲を誇る特殊武器であり、ウェントスの弱点属性の氷弾を発射するドリフトダイヤモンドでウェントスを狙う。
「そのような攻撃が当たるものか!!」
「普通ならね」
「ドリフトダイヤモンド!!」
チャージドリフトダイヤモンドで氷のバリアを身に纏いながらウェントスにエアダッシュで体当たりを喰らわせる。
「ぐはあっ!?」
弱点属性をまともに喰らったウェントスは墜落する。
「アクセル、今のうちに駆け抜けろ!!」
「!?」
「今回シグマに一番ムカついてるのはアクセルでしょ!?ここは私達に任せて!!」
「早く行け、俺達もこいつらを片付けたらすぐにそちらに向かう。」
「私とアイリスもサポートするからエックス達は大丈夫よ。さあ、早く」
「シグマを…お願い」
「………分かった、任せて!!」
四天王をエックス達に任せてアクセルはダッシュでシグマの元に向かう。
あまりのスピードにウェントス達は対処出来ず、テネブラエは妨害する前にゼロがセイバーを振り下ろして動きを止める。
「貴様…」
「あいつの邪魔はさせんぞイレギュラー」
グラキエス「イレギュラー?僕達はイレギュラー化はしないよ」
「貴様らの思考はまともな人間にも理解出来るとは思えんな…俺には貴様らがただのイレギュラーにしか見えん。イレギュラーならば狩るまでだ」
「愚かな…進化した我々に勝てると思うか?」
「寧ろ思考に歯止めが利かなくなったから思考力に関しては退化してるんじゃないのイレギュラー君?」
ウェントスの言葉にルインは痛烈な皮肉を言い放ち、隣のエックスがバスターを構えた。
「スプレッドチャージショット!!」
スプレッドチャージショットを放ち、テネブラエを狙うが、テネブラエはシャドウダッシュでそれを回避する。
「ダブルチャージウェーブ!!」
再びOXアーマーに換装してダブルチャージショットと衝撃波を繰り出すルイン。
イグニスはルインの連続攻撃をかわしながら、ダッシュメガトンクラッシュを繰り出す。
ルインもΩナックルを握り締め、チャージナックルを叩き込むと拳とナックルバスターがぶつかり合い、凄まじい衝撃が互いに襲い掛かる。
「雷迅拳!!」
Kナックルを装備し、強烈なアッパーをグラキエスに叩き込もうとするが、かわされてしまう。
「スラッシュハルバード!!」
ハルバードの先に作り出した大きな氷の刃をゼロに向かって飛ばしてくるが、そう簡単に受けるゼロではない。
「この程度で!大烈鎚!!」
ゼロはセイバーをTブレイカー変形させ、アントニオンのラーニング技であるハンマーでの大振りの一撃で氷の刃を粉砕する。
「ふんっ!!」
テネブラエは高速で動き回りながらエックスにクナイを投擲していく。
クナイ単発の威力は低いため、ヘルメスアーマーなら完全に無力化出来るが、エイリアとアイリスが近くにいるので特殊武器のチャージをする。
「スクイーズボム!!」
エックスはチャージスクイーズボムでテネブラエが投擲してきたクナイを防ぐ。
テネブラエはクナイを構えてシャドウダッシュで肉薄するが、エックスがエクスドライブを発動し、シャドウダッシュを併用した攻撃を回避する。
「何!?」
シャドウダッシュで移動したというのに簡単に見切られてしまったことにテネブラエは動揺する。
「ヘルメスアーマーは確かに攻撃性能はイカロスアーマーに劣るが、俺の能力を強化するエクスドライブが使えるんだ。エクスドライブで強化されたエネルギー感知器は僅かな反応も逃さない!!サンダーダンサー!!」
「ぐあっ!?」
チャージサンダーダンサーをテネブラエに直撃させ、麻痺状態にするとエックスはイカロスパーツとヘルメスパーツを統合し、アルティメットパーツに変化させるとアルティメットアーマーに変化させる。
そしてテネブラエの懐に入り、拳を顎に叩き込む。
「昇竜拳!!」
強烈なアッパーがテネブラエに炸裂した。
流石に過去の昇竜拳のような異常な威力ではないが、それでも充分な威力だ。
「テネブラエ!?」
まさか射撃型のエックスが徒手空拳で挑んでくるとは思わなかったイグニスは思わずルインから目を逸らしてしまう。
「戦闘中に余所見は厳禁だよ?プラズマサイクロン!!」
HXアーマーへ換装してオーバードライブ状態に移行すると電磁竜巻をイグニスに叩き込む。
「ぐああああ…!!」
オーバードライブで威力を倍加した電磁竜巻の威力は凄まじく、イグニスの身体を斬り刻んでいく。
「これで終わりなんかじゃないよ!!喰らえ、ソニックブーム!!」
今までの怒りを込めて放たれた電撃を纏った衝撃波はイグニスの胴体にX字の傷を刻んだ。
「シャドウランナー!!」
「こんな物…」
シャドウランナーの速度は大したことがないために余裕で避けられると判断したウェントスはかわしながらダブルセイバーでエイリアを両断しようとするが。
「少しは仲間のデータ収集をしておくべきだったわね」
「何?…ぐっ!?」
エイリアの言葉に怪訝そうな表情を浮かべるが、シャドウランナーのブーメランはウェントスの背中に命中した。
「氷龍昇!!」
落下していくウェントスにアイリスがサーベルに冷気を纏わせた跳躍斬りを叩き込んで凍結させていく。
「ヤバい…!!」
「焔降脚!!」
炎を纏っての飛び蹴りを繰り出し、グラキエスの鳩尾に叩き込んで吹き飛ばすゼロ。
「がはっ!!」
「エックス!!」
「プラズマチャージショット!!」
ルイン達は四天王を一ヶ所に集めてエックスに声をかけるとエックスはアルティメットアーマーのアームパーツUのチャージショットであるプラズマチャージショットを放った。
「ぐああああ!!?」
プラズマチャージショットはショット自体の威力も凄まじいが、着弾後にプラズマを発生させて追加ダメージを与える性質を持つのだ。
ショット本体とプラズマによるダメージで四天王は機能停止寸前に追い込まれた。
「終わりだ、元人間であるお前達を出来ることなら処分したくはない。大人しく投降するんだ。」
「…断る、我々にあの方を裏切ると言う選択肢はない」
「どうせ死ぬのなら…お前達を道連れにしてやる!!」
「なっ!?」
ウェントス達の動力炉のエネルギー反応が高まっていくのを感知したエックス達は自爆するつもりだと言うことに気付いた。
「いかん!!」
ウェントス達の体が光り輝き、エックス達はそれに巻き込まれてしまうのだった。
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