女神と星座の導きによりて
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星19 城戸邸の日常
星矢達との出会いから数日立ちました。
最初にああいう出会い方をしたからでしょうか?結構警戒してましたがそれも薄まり、私と沙織に対しては少しは気を許してくれてる……と思います。多分。
何故多分かって?私と沙織以外の人達の態度の違いですよ。
なんていうか辰巳さんを筆頭に結構子供達の扱いが乱暴なんです。
他の子達も私が優しいのは最初だけ~みたいな感じで随分と警戒している子と単純にお菓子をくれる良い人~といった感じで警戒を緩めてくれる子のどちらかになっています。
そうそう!遅れてやってきましたけど氷河も来ましたよ!
最愛の母親が亡くなったばかりで悲しい思いをしているので、お菓子を皆さんに配っている時に抱き締めはしませんでしたが、頭を撫でて
「……頑張りましたね。ツラいのによくここまで我慢しました。きっと貴方のお母様は、貴方が生きてくれている事に喜んでいますよ」
黙ってお菓子を配ればいいのに、言わずにはおれない自分にちょっと自己嫌悪。そしてちょっと心がやさぐれているのでしょう。私に反発していました。
涙目で
「あなたに何がわかる!」
と言われてしまいました。うう、氷河。ごめんなさい。
後で聞いたら星矢がその場面を見ていたらしく喧嘩してしまったらしいですよ。瞬情報です。
沙織は良く瞬と話をするので分かった事なんですけどね。
うん、もしかしたらもうお分かりでしょうか?
沙織が!原作では邪武しか味方が居なかった沙織が!瞬と紫龍、多分星矢とも仲が良いんですよ!特に瞬とは趣味が合うのか植物図鑑や、動物図鑑を一緒に見たりして笑ってましたし、紫龍は転びそうになった沙織を助けて、沙織もそれにお礼を言って微笑み合ってましたし、邪武は言わずもがなですね。本当に忠犬邪武でございます。
それで星矢なのですが……ツンツンした態度を取っていますが、恐らく素直になれないだけでしょうね。あれは。デス君といい勝負なのでは?なんて思ったり。
沙織も何となくそれを察しているのか、最初は星矢にツンケンした態度を取られているみたいなんですけど、遠くで様子を見ていたんですって。それで時々見せる星矢の優しさに気付いてからはツンケンした態度でも、自分を想って言ってくれている事にも気付いていつも微笑んでいます。
くっ!二人共可愛過ぎか!沙織も大人な対応、素敵です!
それから氷河なんですが、昨日謝りに来てくださいました。
慰めてくれようとしたのに、あんな態度を取ってしまってごめんなさいって。
気にしなくてもいいのにー!
私も謝りましたよ?軽率であんな言い方してごめんなさいって。
周りの大人がああですからね。驚かれました。
その時氷河の両隣に居た瞬と沙織が
「ね?言ったでしょう?真名さんなら気にしないで許してくれるって」
「おかあさまは優しいから大丈夫って言ったでしょう?信じてくれました?」
二人共天使か!!いや、(これからなる)聖闘士と女神だったわ。
とりあえず仲直り?の握手もしましたのでこの一件は終わりました。
で、氷河もカルガモよろしく、私の行く先とかで後ろについて来るようになりました。ちなみに先頭は必ず沙織です。
うん、君達本当に可愛いですな!あ、最後尾は星矢です。
しかし、性格が変わるだけでこんなに沙織と仲良くなるとは思いませんでした。流石に馬になりなさい。なんて言われて乗り回す事は一度もありません。っていうか、そういう発想もしないみたいで、とても良好的に過ごしているみたいです。
あー、でも、沙織が光政公の孫娘という事で大半の子達は沙織を遠巻きに見ています。沙織もその事に気が付いているのか時々寂しそうです。
でも、その時、必ず現れるんですよね。星矢が。
この前は一輪の花を持って沙織に差し出し、
「これ、やるよ」
とか言って走って行っちゃうんですが……その年で青春してるとかレベル高いですね、星矢。流石フェミニスト。
でも、私の花園から取っていくなら一言言ってくださいねー?(にっこり)
私の花園で瞬と紫龍、氷河の三人に見つめられながら星矢の頬を摘み伸ばします。
いたずら目的ではないのは分かりますが、いきなり大輪に咲いていたユリの花を切られていたらビックリしますよ。選んで切りなさい。選んで。
でも、沙織にユリの花が似合うのは真理……ごふん、似合いますからね!
気持ちは分からない訳ではないのです。
そういうと星矢は
「ユリの花がお嬢さんに似合うって、なんでだ?おれはただキレイに咲いている花なら……何でも、似合うと思う」
星矢が何故”沙織さん”ではなく”お嬢さん”と呼んでいるのかというと、沙織の事を”沙織ちゃん”と呼んでいる所を聞かれて、辰巳さんに膨大に怒られた上に拳骨を喰らったみたいです。後で聞いたらそう言ってました。紫龍が。
お の れ た つ み さ ん !
けれども、ふっ!聞こえないとでも思ったんでしょうか?星矢の最後の言葉は小声でしたがしっかり聞こえてますよ!気持ちはすっごく分かります!沙織ならどんな花でも似合いますよね!
しかし、この子恐ろしい。七歳の身でそんな発想出来るとか、流石主人公。将来が恐ろしい……(ごくり)
「貴方が切った白ユリの花言葉が”威厳”純潔””無垢”という意味があるんです。本来は聖母マリアの花なのですが意味的には今のあの子の事を言っている様に感じます。威厳はちょっと早いですが、純潔で無垢な所はむっちゃ同意します。でも、ふふっ、花言葉なんて知らないでしょう?」
その話を聞いた星矢は頬を赤くして
「そ、そりゃぁ、おれはそんな言葉全然知らなかったさ!……ただ、寂しそうにしてたから元気になってもらおうと思ってだな……大きな花なら喜んでくれると思って……」
後半になるにつれて小声になってぶつぶつ言い始めました。
はぁー、なんなんでしょうね。この子。本当にまったくもう、仕方ないですねぇ。
瞬と紫龍は微笑ましいモノを見たと言わんばかりに笑顔で見守っていますし、氷河はちょっと呆れ気味?ですね。
おや、そういえば沙織は……。
「お嬢さんなら邪武と一緒に激達と何か話してましたよ」
おおー、交流してますねー。良い事です。
「では、そんな君に贈り物として送るなら良い物がありますよ」
「?」
腰のポケットに入れていたメモ帳に円を描くように四つハートを書きます。
「 ? なんだそれ?」
「これは?」
「?」
「あ!これって……」
星矢と紫龍、氷河は分からないみたいで、瞬だけ気付いたみたいです。沙織と植物図鑑見てますし、流石ですね。
「瞬は分かったみたいですね?」
「これってクローバーですよね?四葉の」
「そうそう」
「クローバーって……」
「その辺に大体生えてるよな?」
ふっふっふー、クローバーを甘く見ない事ですね。
「基本三つ葉なんですが、三つ葉だけでも一つの葉に意味があり、”希望””信仰””愛情”の三つの言葉があるのですよ。四葉に関しては滅多に生えていなくて、見つけただけで幸運になるって言われてるんです」
それだけではないのですがねー。瞬以外の三人はへーとか、ほうとか言ってます。まぁ、こういった花言葉とかって興味がないと知りませんよねー。ふふん、これからが本番ですよー?
「ちなみに四葉にもちゃんと意味があって、それぞれ一つの葉に”希望””誠実””愛情””幸運”を表し、その四つが揃うと”真実の愛”という意味になります。海外ではちょっと意味が変わりますが、四つ揃っての”真実の愛”は変わりませんけどね」
実はクローバーにはもう一つ意味があるのですが、それは言わなくても良いですね。私も知った時はビックリしたものです。
ふと、星矢を見るとぽつりと呟きました。
「……クローバーの方が良かったのか?」
それを近かったので聞いてしまった私と三人の少年達。四人揃ってニヤニヤと星矢を見つめました。
すると、それに気が付いた星矢が慌てて弁解してきます。
「はっ!?な、なんだよ!何か変な事言ったかよ!」
「いーえー、ただ微笑ましいなぁっと……」
その言葉を聞いてカァッ!っと顔を真っ赤にする星矢。ふっふっふー、良いですねー。可愛いですわぁ。
「お、おれは!ふ、ふん!もう知らん!」
と、そっぽを向いてのっしのっしと花園から離れます。
「あんなに気にかけてるんだから、素直になれば良いのに」
瞬がぽつりと言葉をこぼします。本当にねー?
紫龍と氷河もやれやれといった感じに頭を横に振ります。呆れてますね。
「まぁ、男の子ですからそう簡単に素直にはなれないのでしょうね」
幼い男の子は繊細です。それに、星矢はお姉さんと離れ離れにした光政公を憎んでるでしょうから、その孫娘の沙織に対して優しくしたくても複雑な想いもあると思いますし。
「そういえば一輝はどうでした?瞬」
「あ、兄さんは……その……」
「うん、皆まで言わなくても良いですよ」
拒否されたんでしょうなぁ……。瞬と一緒ならお話出来るかなー?って思ったんですけど、そう問屋は下ろさないですよねぇ?
実はまだ一言も話してないんですよ。いや、一言ありましたね。
「俺にかまうな」
って、クールというより、ふっつうに拒絶された感ががが……。
瞬はとてもその事を気にしていて、一輝を説得してくれてるんですけど、中々旨くいかない様で……瞬、ありがとうございます。
星矢はなんとかなりそうですけど、一輝がなぁ。他の子に比べると聞きはしてくれますが、話す事はないという感じで、直に何処かに行ってしまうんですよね。まぁ、構い過ぎもいけませんし、程々の距離で接しますか。
さーて、瞬達と離れて沙織を誘ってアイオロスの所にでも行きますか。
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