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レーヴァティン

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第百二話 王国への包囲網その四

「ここはな」
「そうして攻めるね」
「あと出来たらヴェネツィアからも軍を出すか」
 そこからもというのだ。
「少しの兵でもいいからな」
「そしてそこからもだね」
「ああ、攻めるんだよ」
 王国の東からもとだ、夕子に答えた。
「上陸してな」
「もう攻められる限り攻めるって感じね」
「勝つ為には全ての手段を使えだろ」
「そして最大限の結果を出す」
「そうするのが政だろ」
「ええ、じゃあね」
「そっちは頼めるか」
 その夕子に言うのだった。
「そうしていいか」
「わかったわ」
 こうして夕子はヴェネツィアから攻めることになった、そうしてローマから出せる八万以外にもだった。
 久志達は兵を動かした、久志は源三を留守役にローマに置いてその政にあたらせ自分は残る面々と共にだった。
 八万の兵を率いてローマから王国との国境に向かった。そして国境に到着するとすぐに仲間達に言った。
「芳直や夕子達も動いてるな」
「はい、そして王国はそちらにもです」
「手を打ってきてるか」
「四万の兵を分けています」
「戦力の分散か」
「王弟はそうしたくなかったみたいだよ」
 ここで淳二がこの情報を話した。
「王国に入れておいた密偵の話だとね」
「俺達主力とあたりたいんだな」
「兵が少ないこともあってね」
「それでもか」
「うん、王国内の諸港がどうしてもと言って」
「自分達の領地を攻められると思ってか」
「八千が南の備えに向かって三千が東で」
「一万一千が抜けたか」
「それでもうおいら達への迎撃は諦めて」
 そうしてというのだ。
「王都への籠城に入る感じだよ」
「三万切ったからか」
「もう王弟も勝てないって判断したみたいだね」
「政はともかくな」
 久志は自分達との戦いを主張したことから王弟の政治力は低いと見ていた、だがそれと共にだった。
「戦はわかってる奴なんだな」
「だから名将なんだ、それで国王はね」
「このパターンでいくと王弟と逆だな」
「政治力があっても」
 それでもというのだ。
「何でも馬も剣も不得意で」
「それでか」
「学問好きでね」
「学者系か?」
「それで文官畑を歩んで」
 それでというのだ。
「政治力はあるけれど」
「それでもか」
「そう、そしてね」
 淳二はさらに話した。
「それぞれ文武で分けて仕事をしていて」
「今回は王弟が開戦を主張してか」
「それでね」
 だからだというのだ。
「軍を動かしてるんだよ」
「そうか、けれどな」
「流石に相手は兵が少ないし」
「あちこちから攻められるとか」
「これは辛い筈だよ」
「そういうことか、じゃあな」
 ここまで聞いてだ、久志は笑顔で話した。
「俺達は八万の主力を敵の領内に入れるな」
「それで目指すは」
「王都だよ」
 笑ったまま話した。 
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