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レーヴァティン

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第百二話 王国への包囲網その三

「王弟殿下がね、しかも王様には子供がいないから」
「その人が太子でもあるんだな」
「諸都市への統制も強めようって言いだした人よ」
「ああ、その人があの政策の提案者か」
「元々軍部にいて名将ではあろそうよ」
「けれど政はか」
「わかるわね」
「ああ、猪ってやつだな」
 久志はその王弟についてどういう人物か、こう表現した。
「軍人としては優秀でもな」
「政治家としてはどうもみたいよ」
「そうか、じゃあ仕方ないな」
 久志は苦い顔で述べた。
「その王弟をどうにかするか」
「そのどうにかするかが問題ね」
「仕方ないな、そうした相手にはな」
 苦い顔のままでだ、久志はさらに述べた。
「戦って降してな」
「そうしてね」
「わからせるか」
「そうね」
「何かな」
 久志は今度は微妙な顔になった、そうして言うのだった。
「拳でわからせるとかな」
「柄じゃないわよね」
「肉体言語とかな」
 そうしたことはというのだ。
「身体でわからせるとか柄じゃないんだよ」
「あんた起きた世界じゃ剣道部よね」
「剣道部でも体育会系とかな」
「そうじゃないのね」
「暴力はスポーツじゃないんだよ」
「そういうことね」
「ああ、だからな」
 王弟の様な者はというのだ。
「困るな、けれど戦うしかないとなるな」
「選択肢は一つね」
「出陣だよ」
 本意ではないがとだ、久志は述べた。
「それじゃあな」
「わかったわ、じゃあね」
「今出せる兵はどれだけだった」
「八万だよ」
 剛が答えた。
「北部の守りと王国の包囲の兵を差し引いてね」
「それだけか」
「王国を降すと相当な兵が自由になるけれど」
「それでもか」
「今はそれだけだよ」
 八万が限度だというのだ。
「自由に動かせる戦力は」
「そうか、それで王国の戦力はどれ位なんだ?」
「何か傭兵を国庫の許す限り雇って四万らしいよ」
「四万、こっちの半分か」
「そう、ただ地の利はあっちにあるね」
 王国側にというのだ。
「そのこともあるよ」
「そうか、戦力が二倍でも安心出来ないな」
「ただ装備と将兵の質はこっちの方がずっと上だよ」
「そうだな、じゃあまずはな」
 剛の話を聞いてだ、久志は考える顔になって述べた。
「相手の国境まで兵を進めるか」
「そうするんだ」
「後な、芳直に頼みたいけれどな」
 ここでその芳直に顔を向けて彼にも声をかけた。
「ちょっといいか」
「島からか」
「シチリアの兵と半島の南の兵を集めてな」
 そうしてというのだ。
「王国を南から攻め入ってくれ」
「わかった、それじゃあな」
 芳直も頷いた、そしてだった。
 彼は南から攻め入ることになったが久志はここで剛にも言った。
「お前もな」
「南からだね」
「ああ、王国を攻めてくれ」
「それじゃあね」
「二万の兵でもな」
「主力の八万が国境に来ていると」
「どうしても備えが必要になるな」
「どっちに対するかってなるね」
「そこで敵を惑わしてな」
「攻めていくんだね」
「その為に島々を先に占領したからな」
 それだけにというのだ。 
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