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人のいない街

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第二章

「この街、ひいては四川で最もその術に秀でておる御仁だったが」
「そいつの術かいな」
「普段は大人しい静かな男なのじゃが」
「ああ、そいつがか」
「そうじゃ、急におかしくなったが」
「おかしくなった理由はか」
「邪霊が憑いた」
 そうなってというのだ。
「そしてじゃ」
「そのうえでか」
「この街で術を使ってな」
「街の人全員を豚とかに変えたか」
「そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「それで今の有様じゃ」
「わかった、ほなその術を使う奴を探してやな」
「この街のそいつの屋敷におる、元々優れた幻術師で変身の術に秀でておってな」
「それでか」
「冒険者としても名を挙げ今は街の名士じゃったが」
「そういうのに邪霊が憑くとな」
「大変なことになるが」
 それがというのだ。
「今の様にじゃ」
「なってるんやな」
「そうじゃ、幻術師の回りには多くの悪霊もおる」
「連中との戦にもなるか」
「行くなら用心するのじゃ」
「そいつの邪霊を倒して街を元に戻すには」
「そうじゃ、くれぐれもな」
 彼はこう言ってだ、そしてだった。
 その姿を消した、張は老人の霊と話した後で曹に対して言った。
「ほなな」
「今からやな」
「そや」
 まさにというのだった。
「幻術師の屋敷に行ってな」
「そしてやな」
「それでや」
 そのうえでというのだ。
「男の邪霊を祓ってな」
「その邪霊を退治してか」
「後は豚とかに変えられてる人達を元に戻す」
「それで終わりやな」
「そや、けれどな」
 ここでだ、張は曹に鋭い目になって言った。
「相当な腕のモンに憑く悪霊ってな」
「相当な奴やな」
「そやからな」
「悪霊を出したらやな」
「そこからな」
 まさにと言うのだった。
「激しい戦になるで」
「その周りにも邪霊達がおるっていうし」
「それやったらな」
「そいつ等も倒さなあかん」
 絶対にという言葉だった。
「何があってもな」
「そう思うとな」
「やることが多いというか」
「やらなあかんことがな」
「きつい、けどな」
「ここでやらなな」
「街が救われん、例え一人一人を救っても」
 張は街を行き来する豚やカタツムリ達を見つつ曹に行った、傍目から見ると只の獣達にしか見えない。これは角獣も同じだ。 
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