レーヴァティン
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第百話 北部統一その四
「これはどうやら」
「湖軍の連中がボイコットしてるか?」
「出て戦いたくないと」
「ヴェネツィアの切り札は湖軍だよな」
「軍のそれは」
「陸の軍隊よりも重要だよな」
「水運国家だけあって」
湖軍の存在が重要だというのだ。
「その筈ですが」
「それでもか」
「はい、どうやらです」
「その湖軍も士気が落ちててか」
「将兵達が出撃をボイコットしたのでしょう」
「そうか、じゃあな」
「もうヴェネツィアはですね」
「降ってくる奴はどんどん出て来てるしな」
そして情報も手に入っている。
「そう考えるとな」
「今のヴェネツィアは」
「もう戦が出来る状況じゃないな」
「そうですね」
「じゃあ潮時か」
久志はこうも言った。
「この戦いも」
「そうですえね、では使者を送りますか」
「そうするか」
実際にとだ、こう言ってだった。
久志はヴェネツィア側に降伏を薦める使者を送った、するとだった。
ヴェネツィアはそれで降った、こうして北部の戦は終わり久志達ローマ政府は半島中央部だけでなく北部も掌握することになった。
久志はヴェネツィアにも寛大な処置を行い市民達を安堵させた、そのうえでだった。
北部の防衛を確かなものにしたうえで残った軍勢を率いてローマに戻った、ここで彼は仲間達に言った。
「北は統一したしな」
「次は南ですね」
無事に留守役を務めていた源三が応えた。
「そうなりますね」
「それと島だな」
「コルシカ、サルディニア、シチリアですね」
「あとマルタだな」
こちらの島々もというのだ。
「そういった島々をな」
「南部と共にですね」
「占領してな」
そしてというのだ。
「勢力に入れような」
「それでは」
「そこまでしてな」
そうしてというのだ。
「半島の統一になるからな」
「では、ですね」
「今度は南だよ」
島々も入れてというのだ。
「そこを攻めていってな」
「統一ですね」
「そうしていこうな、しかしな」
「しかし?」
「いや、出陣している間よく治めてくれたな」
久志は源三の政の話もした。
「補給も滞りなかったしな」
「そのことですか」
「ああ、善政敷いてくれたんだな」
「当然のことをしただけです」
これが源三の返事だった。
「留守を預かる者として」
「善政と補給はか」
「戦に勝つには戦場よりもです」
「後ろだよな」
「後ろがしっかりしていませんと」
領地そして補給の二つがというのだ。
「到底です」
「戦って勝てないか」
「はい、ですから」
それでというのだ。
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