レーヴァティン
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第百話 北部統一その三
「そっちは」
「ああ、あったぜ」
「そうなのね、じゃあね」
「ストロベリー食うんだな」
「それとね」
それに加えてというのだ。
「やっぱりバニラもね」
「バニラは基本だよね」
「アイスクリーム、ジェラートでもね」
「そうだよな」
「最近よくジェラート食べてるわね」
「軍全体でな」
「もう欠かせないわね」
こうも言う夕子だった。
「ジェラートは」
「だよな、確かにな」
「それでね」
「そのジェラートも食ってか」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「その姿も見せてやるわ」
「美味そうにジェラートを食ってる姿をか」
「それをね」
まさにというのだ。
「見せてやるわ」
「成程な、ただな」
「意地悪いやり方よね」
「ああ、敵にとってはな」
ここで清音を見てだ、久志は夕子に話した。
「誰も殺さないけれどな」
「いいやり方ね」
当の清音の言葉である。
「そうね」
「ああ、この場合意地悪いっていうのはな」
「わかっているわ、褒め言葉よ」
「敵には嫌がらせをしろ、か」
「それも戦術そして戦略よ」
「そういうことだよな」
「敵が一番嫌がることをする」
まさにというのだ。
「そしてそれをね」
「やっていくか」
「これで湖軍が来るまでにね」
「敵の士気がどれだけ落ちているか、か」
「それで降る人が出れば」
ヴェネツィア側からというのだ。
「受け入れることよ」
「それで情報も仕入れるか」
「しかもその降った人達と会う姿もね」
「相手に見せるか」
「そうすれば相手は疑心暗鬼にかられるでしょ」
「情報が洩れてるってな」
「実際には漏れていなくてもね」
事実はそうであってもというのだ。
「そう思うものよ」
「それで士気がさらに落ちるか」
「そうなれば余計に戦いやすいわよ」
「やる気がない相手は脆いからな」
つまり士気のない敵との戦いはというのだ。
「だからか」
「士気はあらゆる手で落としていくってことよ」
「成程な」
「勿論手に入れた情報はね」
その降った相手からだ。
「思う存分活かすのよ」
「それがいいことだな」
「そう、やっていくことよ」
「それも戦だな」
「そういうことよ、やっていくことよ」
まさにと言ってだ、そしてだった。
久志達は自分達が楽しく過ごしている姿をヴェネツィアの者達にこれみよがしに見せて数日過ごした。するとだった。
ヴェネツィアから降る傭兵達が出て来て清音の言う通りにした、するとこれまた清音の言う通りになった。
そして芳直の湖軍が来てもだった。
「向こうの湖軍が出ると思ったらな」
「出ないですね」
陣地からだ、順一は湖を見て久志に話した。
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