楽園の御業を使う者
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CAST40
前書き
一応設定。
CCN
原作ででてくる会社。ネットニュースとかでのしあがったメディア系の会社でかなりの影響力を持つ。
原作では七宝の頼みで魔法師を擁護していた。
なお社長の娘は女優だけど年下好きの変態(原作でも)。
本作では白夜を重用してくれる会社。
詳しくはwikiを読むと書いてある。
新人戦四日目と五日目は、出くわした知り合いのテレビ局の人に頼まれて解説をやった。
善夫さん(真紀さんのお父さん)が社長を勤めるCCN(カルチャー・コミュニケーション・ネットワーク)傘下の局の人だ。
善夫さんにはお世話になってるので、断るのはどうかと思ったのだ。
善夫さんは親魔法師側の人で、CCN一派ももちろん魔法師寄り。
教育バラエティー(世◯一受◯たい授◯的な番組)のプロデューサーは時折魔法に関したコーナーを設けて俺をコメンテーターとして(まぁ毎回レギュラーで出てるけども)呼んでくれる。
で、五日目(九校戦八日目)の夜。
「はふぅー……」
ベッドの上でゴロゴロする。
「まるで猫ね」
「白夜様に猫耳と尻尾があれば完璧ですね」
「だそうか?」
一応できる。
━━楽園の御業を使う程度の能力━━
【クロス:橙】
頭と尾てい骨辺りにむず痒い感触が走る。
「なんでもありなのね」
「ええ、まぁ。大抵の事は」
真夜さんがベッドに腰かけた。
「尻尾触っていいかしら?」
「いいですよ」
真夜さんの手に二本の尻尾を絡める。
「白夜様。喉触らせてください」
「いーよ」
水波の手が喉に触れる。
勝手にゴロゴロと音が鳴る。
「どうやってその音出してるの?」
「しゃぁ? わかんにゃい…」
だんだんと瞼が重くなる。
やがて、フッと意識が落ちた。
新人戦が終わった翌日、つまり九日目、真夜さんと水波に言われて猫耳猫尻尾のまま観戦することになった。
で、なぜか将輝(♀)も四葉に合流した。
「改めて、四葉真夜です」
「一条将輝です」
一通りの挨拶が終わってから、深雪さんが将輝に声をかけた。
「一条さん。なぜこちらに?」
「この姿で察してください四葉さん」
将輝が顔をしかめながら答えた。
今の将輝の格好は真っ赤なワンピースだ。
今朝将輝の部屋(俺が将輝のためにとった一人部屋)に俺が届けた。
なんせ昨日は普通に今まで通りの男物着てたしな。
それもノーブラで。
「まーまー、そう言うなよスカーレット・プリンセス」
「それはフランス軍の偽装巡洋艦の名前だ」
「まぁいいじゃん」
「苦労されてますね、一条の御曹司」
と深雪さんが将輝に言った。
「四葉さん…そう思うなら助けてくれ」
「それはできかねますね」
はぁ、と将輝がおおきなため息をついた。
「まぁ…この中に男独りよりはマシだと思おう…」
「だいぶ白夜ちゃんに毒されてますね一条様」
「君ほどじゃないさ。白夜の従者はつかれるだろう?」
失礼な。
「ええ、まぁ。ですが慣れれば楽しいですよ」
「慣れたくはないな…」
今日の試合日程が終わり、ホテルに戻ろうという時だった。
「げ……」
「その反応は酷くないか七草嬢」
会ったのは七草真由美一味だ。
「あら、今晩わ真由美さん」
「こ、こんばんわ………深夜さん」
「今私か真夜かで迷ったわね?」
「若い方が私で若作りしてる方が姉さんよ」
「捻り潰すわよ真夜」
「きゃーこわーい」
真夜さんが俺の後ろにしゃがむ。
「えっと…そちらの方は?」
七草嬢がTS達也とTS将輝に目を向けた。
「えーっとね……こっちの黒髪がグルヴェイグ。そっちの茶髪はストリオーナだよ」
ぷふっ! と真夜さんと深夜さん、あと穂波さんが吹き出した。
「…………グルヴェイグです。御初にお目にかかります七草嬢」
「ストリオーナ……。うん…もうそれでいいや…」
「頑張って下さいストリオーナさん」
「ニヤニヤしながら言われても慰めにならないよ深雪さん」
なんだかんだで仲いいなこの二人。
同性同士なら気が会うんだろうか。
将輝をこのままTSしたままにしとくのも乙かもな。
結局七草一味と一緒に食事に行く流れになった。
七草嬢も深雪さんとはまぁまぁ仲がいいようだ。
恐らく七草三姉妹は達也と将輝に気づいていない。
でも、やっぱりこの人にはわかるらしい。
「白夜君…グルヴェイグって達也君だよな…?」
摩利さんがおれに小声で尋ねた。
「よくわかったね。なんでそう思ったの?」
「身のこなしが達也君そのものだ。ストリオーナも歩き方が男のそれだ」
「流石摩利さん。鋭いね」
「幻影か?」
摩利さんが先頭を将輝と一緒に歩いている達也を顎でしゃくっていた。
「いや、俺の魔法。物質変換的な?」
「なんという魔法力の無駄遣い…」
「驚かないんだね」
「驚いてはいる。ただそれ以上に呆れているだけだ」
うわひでぇ。
「摩利さんも男になってみる? 絶対イケメンになるよ?」
「興味はあるがやめておこう」
即答だった。
TS摩利さんと修兄のBLとかめっちゃ人気出そうだけどな…。
今度描こうかな!
「あっそ…。あ、ついでにストリオーナはクリムゾンプリンス一条将輝だよ」
「おいおい……」
「ちなみに今は俺も女ね」
「は?」
「女の体って感覚が鋭いんだよね。男の体ほどの出力はないけど魔法が少し使いやすかったりする。
あとスイーツが旨いけどカレーが辛すぎる」
「ああ、うん…そういう物なのか…」
「自分から振っといて反応薄くない?」
「達也君の事以外君が勝手に話し始めたんだろ」
まぁ、そうなんだが。
ホテルのレストランに着いた。
「で、護衛ほっぽってこっち来ていいの?」
テーブルが四人掛けなので必然的に別れる。
で、なぜか達也が深雪さんから離れてこっちに来てた。
「俺の目は常に深雪を守護している。何も問題は無い」
「ふーん……」
「で、ストリオーナまでこっち来てるのはなんで?」
「俺にあの中に入れっていうのか白夜」
向こうのテーブルは深雪さんと七草三姉妹で一つ。
真夜さん、深夜さん、穂波さん、水波で一つだ。
「要するにこの席に居るのは余り物っていう訳だな。なぁ達也君」
隣に座っている摩利さんが達也の名前を口にした。
「白夜がしゃべったんですか?」
「いや、身のこなしを見ればわかる。あと周囲への警戒の仕方もな」
「そうですか…」
「一条君も気の毒だったな」
ギロリと将輝に睨まれる。
「爆裂はやめてくれよ?」
「するわけないだろう…」
「その程度では白夜は死なんが……まぁ、こんな場でする事ではないな」
「しないっていってるだろ!」
ちょっとムキになった将輝が可愛い。
いじめたくなる。
恐らく摩利さんも同じ気持ちだろうし達也も察しているだろう。
「お前たちは俺をなんだと思ってんだ…」
「いじめたくなる女子」
「白夜君に同意だな」
「ノーコメント」
将輝がプゥと頬を膨らます。
達也にアイコンタクトを取ると嫌々将輝の頬をつついてくれた。
「そういえばいまジョージって何してるの?」
「さぁな」
「え? なんで把握してないのお前?」
「誰のせいで俺がジョージと別の部屋に泊まってると思ってるんだ」
「ちゃんと部屋用意したじゃん。茜ちゃんもジョージと同じ部屋に泊まれてご満悦だったじゃん」
将輝がぷるぷるしている。
スライムかな?
と思ったらフッと将輝が力を抜いた。
「はぁ…。バカらし…」
「一気にテンション落ちたな」
「もうどうでもよくなった」
「そうか。じゃぁ明日はもっと可愛い服を用意しといてやるよ」
「もうすきにしろ…」
そんな将輝を見て摩利さんはクスクス笑っている。
「白夜ー。このご婦人にも似合う服をくれてやれ」
「は? 私はこのままで…」
将輝が口元を歪める。
「いえいえ、フェアリーダンスのコスチューム似合ってましたよ渡辺選手」
「や、やめろ!言うな! コスチュームには触れるな!」
「ん。そだねー。摩利さんに似合いそうな服も用意しとくよ。新人戦も終わったし、もう私服でいいもんね」
「な!?」
摩利さんの目が『裏切るのか!?』みたいな感じだ。
「だいじょーぶですって。ほら、修兄の前で可愛い格好するときの練習とでもおもってさ」
「…………………………………いいだろう」
お? やっぱこう言えば摩利さんもあきらめるんだな。
side out
その晩、真由美と摩利の部屋。
「で? あの悪魔とはどんな話をしたのかしら?」
「ん? ストリオーナをいじっていたぞ」
「それだけ?」
「それだけだが?」
「でも貴女が赤面している時が一回だけあったじゃない?」
「なぜ知っている!?」
「和泉ちゃんが深雪さんにお熱だったから、貴方たちのテーブルを見てたのよね」
「白夜君程じゃないがお前もなかなかに能力を無駄遣いするんだな…」
「で、なんで赤面してたの?」
「いち…ストリオーナの服をいじっていたらフェアリーダンスのコスチュームを弄られてな…」
「あらあら…」
そこでコンコンと戸が叩かれた。
「はーい」
入り口に近かった真由美が戸を開けた。
そこにはやや大柄な少女がいた。
カラスを思わせる真っ黒なストレートヘア。
着ているのは白と緑の物で、豊満な胸元には趣味の悪い赤い瞳の飾りをつけていた。
「貴女は?」
「びゃくやさまに言われてまりって人にとどけもの」
白夜の名前が出た瞬間真由美が構える。
が、同じく白夜の名前を聞いた摩利が真由美を押し退けた。
「私が摩利だ」
「じゃぁ、えっと、これ」
少女が摩利に大きめの箱を渡した。
それは大きさの割には軽かった。
「なかみはふくっていってたよー」
「え?」
「じゃぁね、ばいばい」
ポン! と少女の体が弾け、そこには一羽のカラスがいた。
カァ、と一鳴きして、そのカラスはホテルの廊下を飛んでいった。
「何いまの…?」
「化成体か…?」
取り敢えず扉を閉め、摩利が箱を開けた。
一番上には手紙があった。
『はやく修兄をしとめてください。大丈夫!普段の貴女とのギャップでイチコロです!
白夜より。
ps服の代金はいりません。未来の兄嫁へのプレゼントです』
「摩利、貴女まだあの言い訳使ってるの?」
「まだって…お前にはなしてそう経ってないぞ」
真由美が勝手に服を取り出す。
「あら可愛い。あの悪魔こういうセンスだけはあるのね」
「あ! コラ勝手に見るな!」
「いいじゃないの。これとか絶対似合うわよ?」
真由美が持っているのはフリルの多い物だった。
「うぅ……」
摩利が顔を赤くする。
「貴女ちゃんと明日これ着ていきなさいよ」
「無理だぁ…勘弁してくれぇ…」
顔を手で隠しながら摩利が言った。
(かわいい…。こういうギャップを見せればあの悪魔も揺れるんじゃないかしら)
所変わって将輝の部屋。
コンコンというノック音。
将輝が戸を開けると、そこには黒猫がいた。
「猫?」
将輝が部屋から顔を出して左右を確認するが飼い主と思われる姿は無かった。
そしてその間に黒猫がスッと部屋に入った。
「あっ……。まぁいいか…」
将輝が部屋に戻ると、見慣れぬ箱が置いてあった。
その横に黒猫が居る。
将輝がため息をついた。
「おい猫。おまえ白夜の遣いか? それとも白夜自身か?」
「なーご」
黒猫がカリカリと箱を引っ掻く。
「開けろってか?」
「なーお」
将輝が箱を開けると服と手紙が入っていた。
『よう紅姫。面倒だったから猫に運ばせたぞ。
あと一人じゃ寂しいだろうからその猫一晩貸しとくから。名前は燐、おりんって呼んであげてくれ。ある程度は言うこと聞く(はず)だから。
白夜より。
ps服はプレゼントだ。お前より金はあるからな。あとお前を男に戻したあと女装癖がついてても俺は責任取らないから』
「余計なお世話だ」
そう言いながらも将輝は箱の中の服を出す。
「はぁ…我ながら似合いそうと思ってる辺りなぁ……」
部屋のハンガーに入っていた三着を掛ける。
「もういいや……寝よ」
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