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何に化けたか

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第二章

「そりゃね」
「やっぱりそうだよね」
「もうどれだけ怒るか」
「それはわかるわ」
 二人の姉妹だけあってだ。
「もう何をされるか」
「じゃあこれからどうするんだい?」
「二人は絶対に出て来るから」
 このことは間違いないというのだ。
「だから出て来たらね」
「その時はかい」
「もう化けて」
 そうしてというのだ。
「やり過ごすわ」
「しかし下手に化けても」
 それでもとだ、チョグルディは妻に話した。
「貴女の兄弟だからね」
「ずっと一緒に住んでいただけにっていうのね」
「色々わかって見破るんじゃないから」
「安心して、私が何故六つ頭と言われているかというとね」
「実際は頭は一つだね」
「ええ、それでもよ」
 実際の頭は一つにしてもというのだ。
「頭が六つあるだけの知恵が授かる様にとお父さんとお母さんに名付けられて」
「実際になんだ」
「そうだから」
 今回もというのだ。
「兄さんとビョルコリトゥンが戻ってきても」
「絶対にカンカンになって戻って来るね」
「その時はやり過ごすわ」
「自慢の知恵を使ってかい」
「それで怒っている時はやり過ごして」
 そうしてとだ、六つ頭はチョグルティにさらに話した。
「後で仲直りするのよ」
「そう上手くいくかい?」 
 夫はここまで聞いて妻に疑問だという顔で尋ねた。
「果たして」
「無理だっていうの」
「だって二人共とんでもなく怒って戻って来ることは間違いないし」
 それにとだ、夫あh妻にさらに話した。
「君のご兄弟だから」
「私のこともよくわかっているから」
「それで通じるかな」
「大丈夫よ、普通は考えられないものに化けるつもりだから」
「それで隠れてだね」
「そう、その時はやり過ごして」
「それからはどうするんだい?」
「贈りものをして二人には落ち着いてもらうのよ」
 六つ頭はチョグルティに笑って話した。
「それで万事解決よ」
「仲直りするっていうんだ」
「殺しちゃいないから」
「君のご兄弟じゃなかったら死ぬからね」
「それでもよ、死なないからよ」
 あくまでこう言う妻だった。
「何とかなるわよ、それであなたにはね」
「協力しろっていうんだね」
「私が何に化けてもね」
「君のご兄弟がこのお家に来ても」
「知らないとか言ってね」
 そうしてというのだ。
「口裏合わせてそうしてね」
「何に化けたか言わないでくれっていうんだね」
「そうよ、そうすれば私は無事だからね」
「そんなに上手くいくかな」
「いく様にするのよ」
 こう言ってだった、六つ頭は夫のチョグルティとの結婚生活をはじめた。結婚してそうそうやからかしたが夫婦生活は幸せなものだった。
 だが泥酔して寝ている間に鉄の箱に入れられて海の中に放り込まれた二人はそうではなかった、ムチュノイもビョルコリトゥンもだ。
 目が覚めてすぐに視界が真っ暗であることに気付いた。
「何だこれは」
「どうしたんだ?」
 二人は声をあげた、ここでお互いに気付いた。 
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