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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第58話:Big Bang

シュリンプァーの事件から間を置かずに新たなる事件が発生した。

それはドップラーの手によって“笑い”を暴走させられ、体内の電流をコントロール出来なくなった体内に高性能発電装置を内蔵しており、必要な時には移動発電所として機能していたナマズ型レプリロイドのエレキテル・ナマズロスの大放電によって次々と発電所は消滅してしまうと言う事件である。

電力の供給が失われた都市は闇に閉ざされ、それに乗じたドップラーの放った工作員が都市の破壊を開始し、人々は逃げ惑い、恐怖した。

事態を重く見たケインはエックスとゼロを出動させる。

そして7番目のツアー地であるフィールド発電所にナマズロスが現れた。

「さぁ~っ!!今日も抱腹絶倒の舞台が始まるでぇーっ!!」

「待て!!」

ナマズロスが行動を起こす前にエックスとゼロが立ちはだかる。

「おーっ!!」

「ナマズロス!これ以上の破壊は止めるんだ!!」

「鯰は大人しく地震予知でもしていろ」

エックスとゼロがナマズロスにバスターを向けるものの、ナマズロスは寧ろエックスとゼロの登場に歓喜するだけである。

「おーっ、初めてのお仲間の客やんか。あ、いかん。嬉しゅうて辛抱たまらんわーっ」

「うあっ!!」

「ぐぁっ!!舐めるなーっ!!」

エックスとゼロに向けて放たれる電撃を辛うじてかわすと、ゼロがチャージショットで反撃するが、こちらもかわされてしまう。

「わほーっ!!ええツッコミやー!!痺れるなぁ~。あ~ほんまに痺れて来たでぇ~!!電圧上がる~!!」

ナマズロスから先程よりも強力な電撃が放たれ、それはゼロに直撃する。

「ぐああああっ!!」

「ゼローーーっ!!」

「鯛は小骨が多くて食うのがたいへんやー」

「うぐあっ!?」

ゼロに駆け寄ろうとするエックスだが、それよりも早く駄洒落と共に繰り出された電撃を受けてしまい、許容量を遥かに超えた電撃を受けたことでエックスとゼロは一時的な機能不全を起こして気絶してしまう。

「いやー乗った乗ったでー。次のツアーはあの世界有数の規模を誇るハリアン発電所や!!まった見に来てやーっ!!絶対やでーっ!!」

宣伝するように言うとナマズロスは何もせずに発電所を去っていく。

敗北はしたものの、発電所は破壊されずに済んだのは幸いである。

そしてケインの研究所にエックスとゼロが運ばれ、メンテナンスを受けたエックスとゼロ。

「おはようエックス、体に異常はない?」

「あ?エイリア…どうしてここに?」

研究所で忙しくしているはずのエイリアがここにいることにエックスは疑問符を浮かべる。

「わしが呼んだんじゃよ。ほんの少しの間だけじゃが、ある物を頼んだのでな」

「ある物?」

「今回の相手は電気を扱うと聞いてね。試作中のだけどラバーコーティングを持ってきたのよ。これなら電気を通さないはず」

「成る程」

そしてエックスはラバーコーティングを施され、体を動かして不便はないか確かめる。

「どう?」

「うん、動かしやすいよ」

「ただ機動力を落とさぬ為に限界の薄さにしたから耐久回数に不安はあるがのう。それからそのコーティングをしとると特殊武器は使えんことになる。バスターだけで勝負にすることになるぞい」

「良いですよ、バスターが使えるだけでも充分です」

「それで俺の分は無いのかエイリア?」

「ごめんなさい、試作中の物だからエックスの分しかないの」

苦笑しながら言うエイリアにゼロは困ったような表情を浮かべる。

「なら俺は待機か?」

「いや、ゼロには恐らく捕らえられているだろう人達を助けてもらいたい。お前の技は大勢の敵を相手にするのに向いておるからのう。」

「仕方ないな、行くぞエックス」

「あ!ゼロ、待ってよ。エイリア、行ってくる…これありがとう」

「ええ、気をつけてエックス…無事に帰ってきて」

エックスとゼロが研究所を飛び出してハリアン発電所に向かい、エイリアはそんな2人の後ろ姿を見つめていた。

「本当に無事に帰ってきて欲しいもんじゃ…(何時まで人の心に付け込むのじゃ…ドップラーよ…)」

そしてエックスとゼロは別行動を取り、エックスはキメラにホバリングローターとミサイルポッドを装備した空戦型のホークに乗ってハリアン発電所に向かっていた。

「街が死んでいる…」

普段は夜でもそれなりの活気があったと言うのに今は見る影もない。

「ドップラーの寄生チップがナマズロスの“スター”への憧れを暴走させなければ…一刻も早くナマズロスの暴走を止めなければ…ん?明かり…それに何か音楽が…あそこはハリアン発電所だが…一体…何が……!?」

アイカメラの機能を最大にして目を凝らすと、思わず瞬きを何度か繰り返し、アイカメラに異常が起きてしまったのかと思ってしまう。

「発電所がクリスマスツリーに!?何を考えているんだ!!?」

夏の季節であるにも関わらずにクリスマスツリーと言う常識外れの行為にエックスは唖然としてしまうが、ナマズロスの姿を発見して真っ白になっていた頭を元に戻す。

「残暑お見舞い申し上げるでぇー!!まだまだ暑いが今日はわいの“笑い”で一時の“涼”を取ってな~!!」

人々の悲痛な叫び声も今のナマズロスには歓声にしか聞こえないらしく、ナマズロスは調子に乗り始める。

「えーでえーで!!みんなノッとるやんか!!ほな、脳味噌ショートするよな奴、バー行くでーっ!!星が欲しー…」

「させるか!!」

ミサイルを放ってナマズロスの放電を妨害し、爆風によってナマズロスが吹き飛ばされる。

「やるのー、打ち合わせなしの大仕掛けやの」

「ナマズロス!いい加減に正気に戻れ!!今すぐ発電所の機能を元に戻すんだ!!」

「何やエックスはんやないかー。エックスはん、アポなし飛び入りかい。わいはーわいはー、ほんまごっつう…嬉しいでぇ~めちゃノリノリやでぇ~っ!!」

「(エイリアとケイン博士を信じるんだ!!)」

電撃がエックスに直撃したことで下に落とされるが、エックスにダメージはない。

「よし、ダメージはない!!イケるぞ!!」

チャージショットを放ち、ナマズロスに直撃させて自分のいる所に落下させる。

「なーんや!落ちネタやったんかい!!」

「ナマズロス!!今度は前のようにはいかない!!正気に戻ってもらうぞ!!」

「狙えるでエックスはん!!世界をっ!!」

「は?」

いきなり指差された挙げ句に訳の分からないことを言われたエックスは再び唖然となる。

「わいの電撃に耐えられる奴を捜しとったんやーっ!!一緒に世界目指すでぇ!!」

「何を訳の分からないことを…俺が目指す“世界”は平和だ!!」

今のナマズロスに何を言っても無駄だと判断したエックスは頭部に衝撃を与えるためにチャージショットをナマズロスに放つ。

「そうやなぁ、名前考えないかんわ。エックスはん、“直流君と交流君”ってのはどーやぁー!!“ワット君やアンペアちゃん”は?“一時・四時”もええなぁ!!」

チャージショットが電撃に砕かれ、電撃はそのままエックスに直撃する。

「くっ!!まだだぁ!!」

反撃のチャージショットを放つが、ナマズロスはある物を取り出そうとする。

「何やエックスはん、ツッコミ早すぎるわ。これ貸したるさかいもっと研究せーや!!わい自慢のドクロ・ハリセンやーっ!!」

不気味なハリセンを取り出し、ナマズロスはそれを構える。

「えーか?こいつは手首のスナップを効かせて使うんやーっ!!」

「何!?チャージショットが叩き落とされた!?」

ビームコーティングでも施されているのか、ハリセンらしき物でチャージショットが叩き落とされたことにエックスは目を見開く。

「これマスターしたら知名度、鰻登りや!!」

「ぐあっ!!」

ハリセンで攻撃され、エックスは思わず後退する。

「こうや!こうや!こう使うんやでぇ~」

「ぐああっ!!」

そして大振りの一撃を喰らってエックスは仰向けに倒れる。

「あかん!気張り過ぎたわぁ~。はぁ~電力充電せんとなぁ…ひーはーふ~」

「え?」

ナマズロスが電力不足でフラフラになりながらある場所に行くと、真上の発電機が起動し、ナマズロスに電気を送る。

「ほほほのほーっ!!ネタが湧いてくるでぇーっ!!マッ感電ミアナッツ!おさ感電なあ!!もうご感電んんんん!!!」

「充電か!?そうはさせるか!!」

ナマズロスにチャージショットを放って妨害しようとするが、チャージショットはナマズロスの全身を覆う高電圧によって弾かれてしまう。

「な!?高電圧のバリア!?なら、電気を送る装置を破壊するしかないが…破壊出来るか…?やるしかない!!」

装置にバスターを向けるが、ナマズロスのハリセン攻撃で全身のコーティングが傷だらけになり、動いたことで破けてしまう。

「まずい!先程のハリセンでコーティングに傷が…今電撃を受けたら耐えられない!!」

「見えるでぇ~っ、わいには見える。2人で世界一のお笑いになる姿が!!これや!“ビッグバン”や!!目標は世界やないわ!分かるかい!!世界やない!太陽系や!銀河や!!いやいや!!もっと大スケールや!宇宙やーっ!!」

ラバーコーティングが破けた状態で充電直後のナマズロスの最大出力の電撃をまともに受けるエックスであった。 
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