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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第59話:Star

ナマズロスの最大出力の電撃をまともに受けたエックスはそのまま倒れ伏してしまう。

「(また…やられるのか…?コーティングが破られて…バスターも効かない…もう打つ手がない…打つ手が……ない…?いや…本当に…ないのか…?俺は打てる手を全て出したか……?いや!まだ、手は残っている!!その為には!!)」

ボロボロになったコーティングを剥がしてエックスはある特殊武器を選択する。

「ナマズロス!お前は特殊武器で倒す!!」

「色変わるなんてカメレオンやん。止めてーなもう、電圧上げるで。わいも負けられへん!!わいも大ネタのための充電やーっ!!」

再び再充電を行うナマズロスにエックスは特殊武器を発射する。

「トルネードファング!!」

高速で回転するドリルを発射するエックス。

「そんなもんまで出せるんかーっ!!たまらんわー!ごっつう痺れるわ!!」

トルネードファングのドリルは途中で方向を変えて天井に突き刺さる。

「そらいかんわ!!“ツッコミ”はきちんと届かんとな!!…ん?」

充電の電気が急に流れなくなり、ナマズロスが上を見るとドリルが避雷針となって電気を受け止め、吸収していた。

「もうお前に電気は流れない!!俺の放ったトルネードファングがお前に届く前に電流を吸収する!!ナマズロス!!お前の歪んだ憧れを破壊する!!」

バスターを構えてチャージショットを放つ。

チャージショットはナマズロスの頭部を掠り、そのまま天井の発電機を破壊する。

頭部に衝撃を受けたことで電子頭脳に巣食っていたワームが破壊される。

それによりナマズロスは正気に返り、発電機が破壊されたことで見上げることが出来るようになった満月と星が煌めく夜空を見上げた。

「綺麗やな~。まるで宝石箱をひっくり返したみたいやなぁ…」

「ナマズロス、正気に戻ったか」

「エックスはん…わい…何しとったんやろうな…。“スター”はみんなに光を与えないかんかったんや…なのにわいは全く逆のことをしてもうたんや…全く…何やっとんたんやろな…エックスはん…わいを起こしてんか…」

「ああ」

戦闘で疲弊したナマズロスはエックスに支えられながら起き上がる。

「おおきになぁ。」

そしてナマズロスは破壊された発電機のケーブルを掴むと、電気を送り込む。

「わいは発電用レプリロイドやったんや…そんなわいがみんなから電気を奪ったんや…命懸けて償わんとなぁ~」

「止めるんだナマズロス!!万全の状態でも危険なのに戦闘で疲弊した体では…」

止めようとするエックスだが、ナマズロスの決意の表情に手を止める。

「なぁ…エックスはん…わいなぁ…わい…もう一度…やり直したい…わぁ…」

機能停止間近の状態となり、ナマズロスは霞んでいく意識の中で、もしやり直せるならもう一度やり直したいと願う。

その言葉にエックスは涙を流しながらも頷いて笑みを浮かべる。

「ああ…やり直せるさ…きっと…きっとな…」

「おおきになぁ…エックスはん…エックスはんには…ほんまに迷惑かけてもうたわ…わいを止めてくれて…おおきにな…もし…やり直せたら…今度は…わいがエックスはんを助けたる…か…ら…な…」

ナマズロスが全ての電力を注ぎ込んだことで闇に閉ざされていた街に光が戻り、本来の姿を取り戻したのであった。

「エックス!街に光が戻ったと言うことはナマズロスは…?」

「ナマズロスは自分を取り戻して…自分の役目を果たしたんだ…ゼロ…ナマズロスを研究所に連れて帰ってもいいかな?」

機能停止したナマズロスを見つめながらエックスはゼロに尋ねる。

本来ならこれ程のことをやらかしたナマズロスは処分されるべきだろう。

しかし、身を賭して償ったのもまた事実。

ゼロは無言でエックスの背を押すと、2人でナマズロスを研究所に運ぶのであった。

それから数日後、ケインの手によって奇跡的に助かったナマズロス。

しかし暴走中に無理な電気の使い方をした為に完全に直るまでは時間がかかるとのことだった。

エックスは自室に戻るとエイリアに通信を繋いだ。

「エイリア、ナマズロスを止められたよ。ラバーコーティング…ありがとう。あれが無かったらナマズロスは止められなかった。」

『そう、あなたの役に立てたなら良かったわ。私は前のようにオペレートは出来ないけれど、あなたの無事を祈ってるから…』

「ありがとう…君には何時もお世話になりっぱなしだ。今度お礼に何か用意するよ」

エイリアの言葉にエックスは感謝しながら答えると、普段から心配をかけ、お世話になっていることからお礼をしたいと言う。

しかしエックス同様に物欲があまりないのはエイリアも同じなので、これには少し頭を悩ませる。

エックスの性格上、気にしなくてもいいと言っても聞かないのは分かっているからだ。

『うーん、そうねえ…あ、そうだわ。この事件での戦闘データを私に送ってもらえる?そして強化アーマーを手に入れたらデータのバックアップをして私に送って来て。それでいいわ』

「…それでいいのかい?」

戦闘データとまだ手に入れていない強化アーマーのバックアップデータが望まれていることにエックスは疑問符を浮かべる。

『あなたね…自分の存在を考えた方が良いわよ?あなたはあの天才科学者のトーマス・ライトの遺作なのよ?そんなあなたの戦闘データや強化アーマーのデータが私達科学者からすればどれだけの価値があるのか…』

「わ、分かったよ…後でケイン博士に頼んで戦闘データを送るから」

このままでは説教になりそうなので慌てて話を変える。

それにエイリアは呆れながらも笑ってしまう。

『もう…とにかくエックス…気をつけて…何度も言うけど、私はあなたの無事を祈ってるから…頑張って』

「うん、ありがとうエイリア」

通信を切ると、まずは自室に向かい出すエックス。

そしてエックスの後ろ姿を見つめる第17精鋭部隊の部下達。

「はああ、良いなあエックス隊長…彼女持ちで」

「いや、エックス隊長とエイリアさんはお付き合いはしてないそうだぞ…まあ、時間の問題だろうが…」

「だよなあ…それにしてもエックス隊長は俺達に指示を飛ばす余裕ねえよな…」

「第17部隊には副隊長がいないからな…ルインがいれば副隊長だったろうがいないしな。それに副隊長の代理になりそうなビートブードは行方不明だし…しばらくは独自で動くしかないだろ…今頃あいつはどうしてんのやら」

今はいない数少ない特A級ハンターであるビートブードの姿を思い出した隊員が思わずぼやく。

「あれ?そう言えばビートブードがいなくなったのって…ゼロ隊長が戻ってきてしばらくしてからじゃなかったか?」

「ん?…確かにそうだな…」

ゼロが戻ってきてからビートブードは姿を眩ましたことに隊員は不安を抱くのであった。 
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