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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第8話:Abandoned Missile Base

 
前書き
この作品ではエイリアに頑張ってもらいますかね

ノベライズ版みたいなものでもいいからロックマンシリーズが賑わって欲しいですね更に 

 
ナウマンダーを下したエックスとルインが選んだ次の攻略するエリアはペンギーゴのいる南極にしたのだが。

「エイリア、どうかな?」

「後少しでフットパーツのプログラムのバックアップが終わるわ…」

エックスはメンテナンスルームのメンテナンスベッドでエイリアにフットパーツのプログラムのバックアップをしてもらっている。

ナウマンダーを倒してハンターベースに帰還してエイリアから労いの言葉を受けたのだが、エイリアの興味がエックスの変化したフットパーツに注がれ、解析や今後のためにプログラムデータのバックアップをしてもらっているのだ。

「…出来たわ…ありがとうエックス」

フットパーツのバックアップデータが入ったデータファイルを懐にしまってエックスに礼を言う。

「いや、大丈夫だよ……出来ることならそのバックアップデータが使われる事がなければいいんだけど」

「そうね、でも万が一のためよ」

「分かってる…それじゃあ行こうルイン。早くこんな戦いは終わらせてしまわなければ」

「うん」

そしてメンテナンスルームを後にして、ペンギーゴのいる南極に向かった。

「映像で見たことがあるけど、本物はやはり違うな」

「わあ、綺麗…」

周囲を見渡しながら呟くエックスの隣で降り続ける雪を見つめながらルインは目を輝かせながら呟いた。

エックスも思わず苦笑してしまうが、シティ・アーベルを離れたことがないルインがそう思うのも無理はないと思ったし、エックスもこの白銀の世界の美しさに見惚れていた。

しかし、この世界は普通の人間が生きていくには厳しすぎる場所のためにレプリロイドである彼らだからこそ景色を楽しめる余裕がある。

「行こう。ペンギーゴを止めなければ…」

「あのペンギン君ね…」

雪原の皇帝 アイシー・ペンギーゴ

その異名通り吹雪や氷を使った攻撃方法を得意とし、その小さい体で任務がこなせるように思考回路は柔軟に作られているらしいが、それが周囲にはひねくれ者と思われる原因となっている。

パワーと巨体ばかりを誇るナウマンダーとは犬猿の仲だった。

エックスとルインはペンギーゴの戦いを間近で見たことがあるからペンギーゴの実力は知っている。

身軽な上に極低温のアイスショットが非常に厄介な相手で、こういう寒冷地では無類の強さを発揮する。

「ペンギーゴはどうしてシグマに荷担したんだろうか…勤勉だった彼が…」

「元々ペンギーゴはここでの生活に飽きていたからね。シグマに荷担すれば、ここから出られるというのもあるだろうし、自分の力を認めてくれたシグマを慕ってもいたから…」

「………」

確かにペンギーゴはシグマを慕っていたが、だからと言ってこのようなことなど許されるはずがない。

「とにかく、ペンギーゴを倒してここを解放しないとね…急ごうエックス!!」

「ああ」

2人はダッシュによる高速移動で一気に基地へと向かう。

途中で兎型のメカニロイドと蜂型メカニロイド、丸太を飛ばすメカニロイドが妨害してきたが、チャージショットで薙ぎ払う。

途中のダチョウ型メカニロイドは耐久性が他のメカニロイドより高く破壊に手間取ってしまい、早速エックスはナウマンダーから得た特殊武器を使用する。

「ファイアウェーブ!!」

高熱の火炎放射がバスターの銃口から放射され、ダチョウ型メカニロイドを瞬く間に熔解する。

「凄いね…」

「(流石は元特A級ハンターの武器だ…中々の使い勝手だな。)」

ルインがファイアウェーブの威力に目を見張り、エックスも特殊武器の性能に胸中で呟き、称賛した。

流石は元特A級ハンターの武器なだけはある。

これから挑むペンギーゴは氷属性の敵のためにナウマンダーのこの武器はペンギーゴとの戦いの切り札になるだろう。

エックスとルインは互いに見合わせ、ペンギーゴがいるであろう基地の最奥へ向かおうとした時だった。

あの時と同じ不思議な感覚をエックスは感じた。

「どうしたのエックス?」

何かに引き寄せられるように歩くエックスを追い掛けるルイン。

2人が向かった先には隠し部屋があり、あの老人のカプセルがあった。

エックスにフットパーツを与え、ルインに能力を引き出させた老人のカプセルにエックスが触れると再びあの老人の映像が現れた。

『このカプセルにはヘッドパーツを遺した…。エックスがカプセルに入りパーツを装着すれば頭上の障害物を破壊出来るようになり、頭部の超量子コンピュータの機能が引き出されるはずじゃ…ルインが入れば、また1つアーマーが解除されるじゃろう…頼んだぞエックス…わしの…人類の希望よ…!!』

そう言うと老人のホログラムは消えてしまった。

最初にエックスが入り、頭部に白を基調としたヘッドパーツが装着される。

次にルインが入ると橙色を基調としたアーマーに変化し、格闘・射撃兼用武器の二丁のナックルバスターを背負った形態である。

ルイン・FXアーマー

HXアーマーは雷属性のアーマーであるのに対してFXアーマーは炎属性のアーマーであり、これでルインも戦略の幅が大きく広がる。

ルインはFXアーマーから機動力に秀でているHXアーマーに換装するとエックスと向き直る。

「エックス。」

「ああ、行こう」

隠し部屋から出たルインとエックスは再び基地の攻略を再開する。

しばらく突き進んで一度広い所に出ると1機のライドマシン、ライドアーマーを発見した。

それにエックスが乗り込み、ライドアーマーを操作するとメカニロイドを殴り、破壊する。

元々ライドアーマーは土木作業用として開発されたものだが、VAVAが戦闘に転用した事を機に各地で人型機動兵器として運用され、様々な発展機が登場することとなった。

新しく創設されたレプリフォース軍においても戦闘用の機体が開発されている。

そして向こうからはペンギーゴの部下であろうレプリロイドがライドアーマーに乗って突っ込んで来る。

「プラズマサイクロン!!」

ダブルセイバーをチャージし、勢いよく振るうと電磁竜巻が発生し、電磁竜巻は凄まじい勢いでライドアーマーに傷をつけていく。

そして電磁竜巻が消滅したのと同時にエックスがとどめとばかりにボロボロとなったライドアーマーにパンチを喰らわせ、破壊する。

空中の小型メカニロイドから放たれる攻撃に対し、エックスはライドアーマーから下りるとライドアーマーを盾にする。

こういう敵は自身で破壊した方が早いと判断してのものだった。

ルインはHXアーマーからFXアーマーに換装するとナックルバスターを構えた。

「エディットバスター!!」

バスターの銃口から発射されたショットは時折軌道を変えてメカニロイドを破壊する。 

これこそがFXアーマーの固有能力であるバスターエディット。

この能力によってショットの弾道を指定する事が可能にり、高い命中率を誇るのだ。

そしてエックスのチャージショットが残りのメカニロイドを次々に破壊し、全滅したのを確認するとルインはZXアーマーに換装し直して一息吐いた。

そして基地の最奥に辿り着く。

「エックス!!それにルイン!?」

驚いたようにエックスとルインを見つめるペンギーゴ。

「ペンギーゴ…何故こんなことをしたんだ…勤勉だった君が…!!」

「何故…か…人型であの爺さんのお気に入りのお前に言っても理解出来ないだろうさ」

「………」

「エックス、お前はレプリロイドとして自分の境遇に不満を抱いたことはないのか?俺はあるぞ」

「不満だって…?」

突然のペンギーゴの言葉にエックスは目を見開いた。

「俺は見た目から分かるようにペンギン型のレプリロイドだ。寒冷地での活動に特化したな…高みを目指そうにも俺に与えられた特性のために配属されるのは人間や動物もあまり暮らしていない寂れた寒冷地ばかりだ。ペンギン型のレプリロイドであるだけで俺は人間達に多くの可能性を否定されていた」

「ペンギーゴ…」

「寒冷地特化型だからとは言え、本当に寒冷地でしか活躍出来ない訳じゃない!!何度か俺と作戦を共にしたお前らなら分かるだろう!!それなのに人間共は俺のスペックを理由に何時までもこんな寒冷地に押し込めやがって!そんな俺の悔しさをシグマ隊長は理解してくれた。俺の実力、そして可能性をな…だから俺はシグマ隊長の理想に賛同した。レプリロイドが正しく評価され、生きていける世界のために死ねエックス!!ルイン!!」

ペンギーゴの口から放たれたアイスショット。

エックスは迎撃のセミチャージショットを放つが、それは弾かれてしまい、ルインが間に入ってZXセイバーでアイスショットを砕く。

「(硬い…)」

あまりの硬度に腕が痺れてしまう。

アイスショットの硬度に驚きながら利き腕の右から左に持ち替える。

「喰らえ!!」

アイスショットをエックスとルインより少し上の壁に向けて放つ。

「…?」

見当違いの方向に放たれたアイスショットにエックスが訝しむが、今は戦闘に集中しなければとバスターをペンギーゴに向けた瞬間にエックスの左肩が凍結した。

「エックス!?」

「なっ!?」

何が起こったのか分からないエックスとルインは目を見開いた。

「ショットガンアイス…壁や障害物に当たると分裂して跳ね返るのさ…どうだ?早く何とかしないと左肩が使い物にならなくなるぞ?」

「くっ!!」

エックスはファイアウェーブの出力を抑え、凍結した左肩に火炎放射を放つと凍結した左肩が瞬く間に正常に戻る。

「その技はナウマンダーのファイアウェーブ…何故お前がそれを使える!?」

「エックスがナウマンダー倒して、ナウマンダーのDNAデータをバスターに組み込んだことでナウマンダーの武器が扱えるようになったの」

「エックスがナウマンダーを倒しただと…」

それを聞いたペンギーゴはエックスをマジマジと見つめると高らかに笑い始める。

「クワックワックワッ!!あいつ死んだのか!!たかがB級に!!今まで大口叩いておいてエックス程度にやられるなんてなあ!!」

「…………」

そういえばペンギーゴとナウマンダーは仲が良くないと噂で聞いていた。

属性が正反対なのもあるが、小さい体で任務がこなせるように思考回路は柔軟に作られているペンギーゴと何も考えずにパワーばかりを誇るナウマンダーとはソリが合わなかったのだろう。

「エックス、図体しか取り柄がないとは言え、ナウマンダーを倒したのは褒めてやろう。B級とは言え、一応は第17精鋭部隊に配属されたハンターと言うことか」

嘲笑を浮かべながら言うペンギーゴに対してエックスとルインは次の攻撃に備える。

「クワーーーーッ!!」

次に仕掛けてきたのはエックスに向けてのスライディングタックル。

かつてのエックスなら避けられなかった一撃だが、フットパーツとヘッドパーツ入手の恩恵で機動力と演算能力が格段に向上した今のエックスならかわすことが出来る。

ジャンプでかわしたエックスに対してペンギーゴはスライディングから跳躍し、壁を蹴り上げるとエックス達と距離を取りながらアイスショットを放つ。

またショットガンアイスかと警戒したエックスとルインだったが、壁が凍結しただけだった。

そしてペンギーゴはアイスショットに気を取られていたエックスに向けて勢いよくスライディングタックルを喰らわせる。

「ぐっ!!」

がら空きの胴体に直撃を受けたエックスは勢いよく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

「エックス!!」

エックスに注意が逸れたルインにアイスショットを数発放って上半身と下半身を凍結させた。

「っ!?」

「これでお前も終わりだなルイン。特A級のお前は氷像にしてシグマ隊長の献上品にでもしようと思ったが気が変わった」

「ペンギーゴ…!!」

「これで終わりだクワ!!」

エックスに繰り出したのよりも遥かに速いスライディングタックル。

もし直撃を受ければ凍結している部分が間違いなく砕け散るだろう。

「ルイン!!」

駆け寄ろうとするエックスだが、ダッシュでも間に合わない。

ペンギーゴがルインに接触する瞬間にルインの体から炎が上がり、FXアーマーに換装するのと同時にチャージされたナックルバスターの一撃が繰り出された。

「メガトンクラッシュ!!」

FXアーマー時に使えるナックルバスターによるパンチと火炎弾を同時に繰り出す技。

その威力はペンギーゴのスライディングタックルの勢いもプラスされ、ペンギーゴのボディの表面を破壊し、内部機関を露出させた。

おまけに弱点である炎を受けたことで、ペンギーゴのダメージは凄まじい。

「ア…ギギ…ル、ルイン…お前…何だその、能力は…」

自分の知るルインにそんな能力は無かったはずだ。

「アーマー換装システム。私には状況に応じて属性を持つアーマーに換装することであらゆる局面に対応出来るんだ。と言ってもこれはつい最近出来るようになったんだけどね」

「な、んだとお!?」

一体どういう改造を施したのだ?

エックスとゼロもそうだが、ルインもブラックボックスがありすぎて、パワーアップパーツを作ることもままならないというのに。

「うおおおお!!」

追撃のチャージショット。

今までのエックスなら戸惑ったかもしれないが、今のエックスは迷いを振り切っている。

エックスのチャージショットが動力炉に直撃し、ペンギーゴは機能停止した。

「すまないペンギーゴ…君の気持ちは理解出来ないわけじゃない。でも俺はシグマのやり方を認める訳にはいかない…俺は…イレギュラーハンターだから」

機能停止したペンギーゴにエックスは謝罪しながら、己の胸の内を吐き出した。

「エックス…」 

当然だが、機能停止しているペンギーゴからの返答はない。

「何故、少し前まで仲間だった奴と戦わなければならなかったんだろうな…でも俺はイレギュラーハンターだ…俺達は守るべき物のために戦わなければならない」

エックスはペンギーゴのDNAデータを回収し、バスターの端子にDNAデータのデータを組み込んだ。

エックスのアーマーが水色に変わり、ペンギーゴの特殊武器であるショットガンアイスを得た。

ペンギーゴに占拠された施設を解放したエックスとルインは南極を後にし、ハンターベースへ帰還するのであった。 
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