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異世界は神皇帝と共に

作者:黒鐡
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第2巻
  新たな魔法と新たな武具

琥珀を召喚してから数日が経つ。町へ見てみたいと言って宿の外へ出て大通りを歩くが、琥珀は常日頃からだけどドライグは力の塊とも言われるドラゴンだ。あんまり外出す訳にもいかず、今回は民達に見慣れてると言う理由で頭上にドライグがいる。

市場や屋台や茣蓙に色々な物を並べて売ってる人、食料から雑貨に衣類から骨董品まで様々な物が売っている。掘り出し物があるか品物を見ながら人混みの中を歩く。

『なかなか賑わってますね』

『一応ここが中心だが、安い物が売ってるのはここに来るのさ』

『俺も相棒の目を使ってみたりしてたが、相棒の出身国であるプトレマイオス神国はこれの倍だぞ』

『そうなのですね』

俺とドライグと琥珀の念話してるが、普通なら召喚獣と召喚者だから心の中での意思疎通ができる。街中で虎と小型ドラゴンと話してると可笑しな奴だと見られてしまうから。

小型ドラゴンと小猫とはいえ、ドライグはドラゴンで琥珀は虎だから目立つけど遠目から眺めてるだけで過剰反応する事もない。子供や女子達から頭を撫でられに来てくれるくらい。

『にしても琥珀を見た女性陣から解放されたのにな』

『しょうがないだろ、見た目小猫なのだから』

『ところで何故私は主の腕に抱えられてるのですか?』

『いくら人混みでも大丈夫とはいえ一応な』

ドライグと琥珀と念話で意思疎通できていてもぶつかったり蹴られたりしても可哀想だと思ったから。始めは遠慮してたようだが、大人しくなった事とこの方が見やすいからと察してくれたようだ。

『主、あそこにおられるのは八重殿では?』

『どうやら迷子のようだぞ相棒』

「どう接していいのか分からんようだ、とりあえず行ってみるか」

俺とドライグと琥珀と共に行ってみるとホッとした顔を見せる八重、聞くまでもないがこの子は迷子らしく泣き止まないから名前も聞けない様子だ。

「先程から拙者も名前とかどこから来たのかと聞いたんでござるが、全く答えてくれないでござるよ」

「今の様子を見て分かる事は、とりあえずこの子を落ち着かせる事だ。琥珀頼む」

『頼まれた。お前の名前は何と言う?』

琥珀を女子の目の前に持っていき、目線を同じにしてから語りかける琥珀。目の前で喋る子虎を見て問いに答える。すると名前はリムと言うらしい、名前だけだと情報量が少ない。琥珀を話し相手にさせて情報収集、で、トレミーから検索させる。

『ここへは誰と来た?』

「・・・・お母さん」

『お前の母、お母さんはどんな容姿をしていた?』

情報整理すると茶髪のロングで緑の服を着てて、青い目をしてて銀の腕輪をしてると。スマホをスピーカーモードにしてたからトレミーで検索、一件出たのでビンゴ。俺はリムの母親がいたのは町の警備隊の詰所、要は交番があるんだから最初からそこに連れていけばよかった。

「おかぁさぁん!」

「リム!」

「無事解決したでござるな」

「うむ。迷子も解決したが少々腹が減ったから喫茶店へ行こう。パレントに」

頭を下げる母親と手を振るリムに別れを告げた後、八重の家に関して聞きたい事があったので色々と聞きながらのティータイム。八重の実家はオエドのハシバ、スマホの地図アプリで探しながら試しに兄を検索してほしいと言われる。

「道場にいて動きからするに試合中らしい」

「兄上らしいでござるな。普段は穏やかなのでござるが、剣の事になると夢中になってしまい周りが見えなくなる程でござった」

「それについては同情できる。剣術を極めている俺でも試したい技があると夢中してしまう程だ、八重の兄ちゃんとは一度会ってみたいな」

八重の兄ちゃんの事を話してると沢山の注文が来た事で、食べ始める俺と八重。食べ終わるとそのまま宿へ戻り、自分の部屋に戻ってからトレミーに定時通信してた。

『先程の迷子検索も正常でした』

「そのようだ。リフレットの町をスキャンして迷子情報を照らし合わせる事でスマホの地図アプリで探せるのも」

『本来なら長距離撮影した主人公が覗き行為をしたとか』

「スマホを使った魔法により、上着を脱いでブラウスのボタンを外して白い肌が目の前に飛び込んでくるぐらいで慌てるとは」

『艦長は・・・・何やらリンゼさんが来るようなので通信終わらせてもらいます』

「・・・・一真さん。いいですか?」

「おう何だリンゼ」

扉を叩く音と共に通信終了させて通信機をオフ、スマホを胸ポケットに入れて扉を開けるリンゼ。

「今日、骨董屋でこれを見つけて買ってきたんですけど」

巻物のような物を俺に差し出してきたが、これは木製の筒に羊皮紙が巻かれた物らしい。中身を見てグラサンを翻訳モードにして読むと魔法のスクロールか、書いてある文字は古代魔法言語だからリンゼには一部しか読めないらしい。

「シャルロッテにあげた眼鏡を創ったからこれで読んでごらん」

「古代精霊言語と古代魔法言語は違う言語でも読める眼鏡なのですね・・・・どうやら古代魔法の一つである水属性の魔法みたいです」

「ふむふむ、これは【バブルボム】か。攻撃系魔法だが、今日は時間ないから明日までお預けな」

「すぐに試したい気持ちがありましたが、確かにそうですね」

次の日にでも試すからと部屋を出て行き、ここでの魔法を使うと犯罪に使われそうだと思ったのは俺だけであろうか?【アポーツ】は窃盗で【ロングセンス】は覗きで【ゲート】使うと不法侵入か家宅侵入となり、カメラアプリと【ロングセンス】で盗撮。

『犯罪者スキルとしては持って来いな魔法ですが、艦長にとってはいらない魔法かと』

「何時の間に通信機がオンになってたかはいいとして、バブルボムに関して何か情報無いか?」

バブルボムについてスマホとタブレットでシミュレーションしてると夜になったから続きは明日だ、リンゼと一緒に東の森へやって来た。一度来ても来てなくとも俺が使うゲートで魔法練習には良い場所だ。

早速リンゼは昨日のスクロールを取り出し、翻訳眼鏡をかけて何度か熟読してから銀の杖を構えて魔力を集中し始める。

「【水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム】」

リンゼが構えた銀の杖の周りに小さな水の塊が集まり出すけど、弾けて地面に落ちたから失敗だろ。もう一度杖を構えて魔力を集中させても失敗、古代魔法だから会得するにはイメージ力と時間が必要だ。

「リンゼ、俺が手本を見せよう。どうやらバブルボムのイメージが付いてないようだ」

「お、お願いします。これを熟読しても意味やイメージが分からないままだったので」

「バブルボムのボムは爆弾、つまりイメージとしてはシャボン玉を思えば出来る。こうだ!」

魔力切れの状態を見て見たかった俺であるけど、事前に情報収集して答えを出した俺によって無詠唱のままバブルボムが出来上がる。魔法の発動条件と知識、そして見た事のない魔法だからイメージが掴めない状況だった。

『俺らが使う「Transfer」も魔法だと【トランスファー】があるのだな』

『赤龍帝の「Transfer」は増加させた力を他者に譲渡する力だが、ここでは無属性魔法で他人に自らの魔力を譲渡する魔法だ』

「なるほど、バブルボムの使い方が分かりました。早速やってみます・・・・【水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム】」

魔法の固有名の意味みたいに翻訳されずダイレクトに伝わるようだ。ファイアーボールが例えで言うとファイアーの部分が火を表す言葉は知ってても意味不明のまま魔法名を叫んでたみたい。

アイス=氷なのに翻訳機能が可笑しな状態、と考えてる間にリンゼは見事にバブルボムを会得したようだ。見本よりデカいシャボン玉を宙に浮かせながら標的をロックオンして、衝撃音が響いて標的である木が粉々になってた。

「一真さんのお陰で習得する事が出来ました。ありがとうございます」

「どういたしましてだ。さてと新しい魔法使える記念として喫茶店に行こうか」

『主はバブルボム以外も使える魔法はありますか?』

『相棒は何でも使えるからな。知らない魔法が無くても周りが知らないなら知らないフリするだけな相棒だ』

で、俺らはゲートで喫茶店に行きリンゼのお気に入りを頼んでから数日が経った。エルゼが難しい顔して悩んでる様子、目の前にはメタリックカラーに輝く愛用ガントレットの拳部分に破損してしまった。

『昨日戦った魔物の所為だな』

『主は見てただけですが、石の体を持つ魔物であるガーゴイル。正確には盗賊一味に闇属性魔法を使える者が召喚されたガーゴイルでしたが』

四人娘はとても苦戦していた。何せ硬くて剣が効かなく魔法の効果も薄いし、矢も通じないのであれば打撃系統の攻撃を放つエルゼ。風の斬撃を放つ俺により戦いのヒントを得たのか、爆裂系魔法でガーゴイルを破壊してくリンゼ。

術師を狙撃による撃破、捕獲した盗賊と魔法使いを王国騎士団に突き出してギルドの依頼としては完了だけどエルゼ愛用のガントレットがこの状態になったのはその後だった。

「買い換えるしかないかな・・・・」

「ふむ、そのガントレットをスキャンしたが金属劣化もしてるから修理しても壊れると思う」

「これが今までで一番しっくりして物だったのになー」

「武器屋熊八からの情報だと仕入れに五日は掛かるらしいが、その顔だと既に行ってきたようだ」

「そうなのよ、同じタイプのガントレットを探してもないし。なら王都へ連れて行ってよ、あそこなら武器も豊富だと思うし」

「そうだな。ここよりもすぐ仕入れてくれるらしい。確か『ベルクト』に『剛力の籠手』って言う魔法付与のガントレットがあったような」

「『剛力の籠手』?」

「確か何でも筋力増加の付与があったとか」

「何それ凄い気になる!よし行こう!今行こう!出発!」

ガントレットとは言え、赤龍帝の籠手みたいな使い方ではなく殴り合いを目的とした重装甲ガントレットだから需要が少ない。エルゼのような拳や体術を武器にして戦う『武闘士』は、この国では少数精鋭みたいで亜人のミスミド王国には結構いるらしい。

俺が創造の力で創ってもいいけど、それだとチートみたいだから使いたくない。エルゼはせっかちな性格だからか、思いついたら即行動するタイプだからちょい困るタイプ。

「いらっしゃいませ~『ベルクト』へようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「この前あった『剛力の籠手』はあるか?」

「申し訳ございません。その商品は既に売れてしまいまして・・・・」

あれま、俺が来た時にはあったはずの籠手が売れちゃったのか。身分証の提示する前に蒼い翼発行のとメダルを提示してるから何も言われない。横にいるエルゼも俺の連れだから身分証提示されなかった。

「手甲をお探しですか?」

「戦闘打撃用のガントレットを探してるのだが」

武器か防具なのか種類言わないと防具になってしまう。ここは武器兼防具を売ってる店だし。

「打撃用のガントレットですか。魔法効果が付与された物が何点かございますが」

「魔法効果が付与されたのがあるの?それ見せてもらえる?」

「畏まりました。ではこちらへどうぞ」

他にも魔法効果が付与されたのがあるのか~と思いながら店の奥にあるコーナーへ。本来の主人公が買ったコートが置いてあったが、そこに飾ってあるガントレットは二つのガントレットを手に取り、カウンターに並べる。

一つはメタリックグリーンカラーで施された流線形のフォルムがいいガントレットで、もう一つは赤と金のカラーで施された鋭角的なデザインのガントレット。

「こちらは飛来する矢などを逸らす風属性魔法の付与されていて、遠距離魔法攻撃を逸らす効果まではありませんが高い魔法防御を兼ね備えています。一方こちらは魔力を蓄積する事で一撃の破壊力が増す効果が付与されていまして、魔力蓄積するのに時間は多少掛かりますと同時に硬化の付与も展開されます。ガントレット自体が破壊してしまう事はありません」

物理遠距離攻撃を逸らすが魔法攻撃まで逸らす事は無理でも魔法防御力が高い、攻撃重視の付与がされてて俺らで言う溜め攻撃が出来る事。防御系か攻撃系か、俺なら両方買うかもしれんと思えばエルゼは両方買う事にしたらしい。

右と左で片手ずつ使えば攻撃と防御の両方使えるから、余った1セットは予備として取っとくと。もし壊れてもいいように、利き手が逆になるのでは?と思ったら問題無いらしい。ボクシングで言うスイッチヒッター。

「畏まりました。装備してみて違和感がございましたらお申しつけ下さい。調整致します」

「ん、大丈夫」

「それではこちらの緑の方が金貨十四枚、金と赤の方が金貨十七枚となっております」

「・・・・一真」

「どうした『金貨一枚足りない』ちゃんと確認しとけよ全く」

合計金貨三十一枚だから三百十万、意外に安いような高いような分からん。空間から財布を取り出して金貨一枚をエルゼに手渡す。白金貨三枚と金貨一枚で支払って会計を済ませる。

「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

「やっぱ王都はいい商品が揃ってるわね。まあ高かったけど」

ガントレット二セットは俺が使う空間に入れておいたが、横を歩くエルゼは機嫌がよくて少々浮かれてるがまあいいか。目的のモノが買えたのだから、ゲートを使って宿に帰ろうとするとエルゼが通り過ぎた店前に立ってた。

白いフリルが付いた黒の上着、胸元には大きなリボンタイとレースをあしらった黒の三段フリルのミニスカート。ゴスロリ衣装に近い服装、もしかしてこれが欲しいけどさっき武器買ったから迷ってるのか?

「欲しいのか?」

「へ?えーと『欲しいんだな?』・・・・うん」

「素直でよろしい、早速買いに行こう」

『エルゼは素直じゃないところが可愛いわねぇ』

『だろ?これは例えで言うなら翠だな、あたしが着ても似合わないよと言うタイプだ』

店に入り、店員のお姉さんに展示してある服を持ってきてもらいエルゼを試着室に行かせる。しばらくするとカーテンが開くとゴスロリ衣装を着てるエルゼは、銀髪だからとても似合う女の子。

「おーとても似合ってるじゃないか」

「そうかな・・・・一真が押してくれなきゃ着なかったかも」

「ま、エルゼの性格だとそうかもしれんが。店員さん、これおいくらで?」

似合ってる服があれば買わずに帰る訳にもいかず、俺がプレゼントすると言う事で紙袋に元から着てた服を入れてもらいエルゼに渡す。

店を出ても赤く照れてたけど、早めに帰って新しい服を着たエルゼを見せると似合ってると褒め称える。俺の目に狂いはなかったし、エルゼ以外にも色違いで服を買う約束をした。 
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