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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第52話:選ばれしアルバイター

 
前書き
コンビニは休みは結構混みますよね 

 
大輔とヒカリ、ブイモンとテイルモンが甘く美味しいお菓子、美味しいお茶で日向ぼっこをしながらまったりしていた。

しかし今回は大輔達だけではない。

「美味しい?伊織君」

「はい」

ヒカリが差し出したお茶を飲む伊織。

火田伊織は大輔達が世話になった火田浩樹の息子であり、大輔の幼なじみである。

「おじさんは元気か?」

「はい、この前悠紀夫おじさんと自分のパートナーとおじさんのパートナーのどっちが可愛いかで喧嘩してました。」

「「ああ~、まだしてたんだ」」

ようやく会えたパートナーだからか、浩樹も悠紀夫も自身のパートナーを溺愛しており、自分のパートナーの方が可愛いと論争を繰り広げることがしばしば。

「ロンドンで鉛弾喰らったのに凄え元気だな」

「急所が僅かに外れていたんだったかしら?運が強いわね」

ブイモンとテイルモンは論争の中心にいる2人のパートナーを同情しながら呆れていた。

因みに伊織の祖父の主税はブイモンにイジリ倒され、反論する気も失せたらしい。

最早口出しもしない。

「はあ、平和だなヒカリちゃん。」

「うん」

しかしそんな平和も長続きしなかった。

大輔達にとっての超トラブルメーカーが舞い降りた。

「大輔ー!!ヒカリちゃーん!!ヘルプヘルプヘルプ…ぶふう!!?」

「やかましい」

手元の皿(プラスチック製)を投擲し、トラブルメーカーもとい幼なじみの京を撃破した。

因みに投げた皿はブーメランのように大輔の手元に戻ってきた。

「おー、京。相も変わらずの間抜けな面な凸だな。何の用だ?」

「そうよ、大輔とヒカリに何の用かしら?間抜け面?」

ブイモンとテイルモンはクッキーをモゴモゴさせながら尋ねる。

「間抜け面間抜け面うるさいわよ!!こんな絶世の美少女に向かって!!」

「「「絶世の美少女?」」」

「…何よ、何よその可哀想な物を見る目は?私をそんな目で見ないでよおおおお!!」

大輔とヒカリと伊織の眼差しに耐えきれなくなった京は絶叫した。

「とにかく凸京。俺達に何の用だ?」

「そうだよ凸さん。私達、日向ぼっこをしながらお茶するのが日頃のお楽しみなんだよ?」

「日向ぼっこをしながら食べるお菓子は最高です」

日光浴しながらお菓子とお茶を食べ、飲むのは彼らの癒しであり趣味なのだ。

「年寄り臭ーい!あんた達何歳!?まだ2桁も行ってないのに日向ぼっこをしながらのお茶が人生の楽しみだなんて枯れ過ぎよ!?」

「はい、大輔君。お茶のお代わりだよ♪」

京の叫びを無視してお代わりのミルクティーを大輔のカップに注ぐヒカリ。

「おお、ヒカリちゃん。ありがとう。はいお礼にあーんして」

「あーん♪」

ミルクティーのお代わりのお礼に自分の分のクッキーをヒカリの口に差し出す大輔。

ヒカリは美味しいクッキーにご満悦。

「……無視してんじゃなーい!!イチャつくんじゃなーい!!」

「「ブイテイルコンビネーション!!」」

普段は喧嘩ばかりだが戦闘時には息の合った連携を見せるブイモンとテイルモン。

テイルモンが京の背後に回り、膝を蹴って体勢を崩させ、ブイモンが京の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ。

「ぐほお!?」

「……人の恋路を邪魔する奴は…」

「デジモンにぶっ飛ばされるのよ…」

「そ、それを言うなら馬でしょ…てか、ヘルプ求めてきたのに何でボコボコにされなきゃいけないのよお…」

「それが京さんの運命だからです」

「黙らっしゃい!伊織!!」

「「ブイテイルコンビネーション第2…」」

「ごめんなさい。」

ブイモンとテイルモンが攻撃体勢に入ったのを見て、京は土下座した。

え?プライド?

何ソレ美味シイノ?

「…で、何の用だ京?」

「あのね、私の家がコンビニやってるのは知ってるわよね?」

「ああ、もしかしてお前がドジで失敗ばかりやらかしたからクレームの嵐がやって来てコンビニが存続の危機に陥っちまったか?」

「んなわけないでしょ!!普通に商売繁盛よ商売繁盛!!てかそんなことであんた達に助太刀なんて頼みに来ないわよ!!」

「確かにな、で?」

「只今、夏休みでしょ?だからうちのコンビニに凄いお客さんが来るのよ」

「良いことだよね京さん」

「まあねヒカリちゃん、でもあまりの数に人手が全然足りないのよ。家族総動員でも間に合わないくらい!!」

「「あ、そう」」

鬼気迫るように言われても大輔達は普通にお菓子とお茶の飲み食いに集中する。

「あ、そうって…あんた達友達が大変な目に遭ってるのに何とも思わないの!?」

「「うん」」

即答され、京は崩れ落ちそうになるも、何とか持ち直して大輔とヒカリに向き直る。

「………大輔達、手伝って?」

「「嫌だ」」

「お願いします」

「「却下」」

「コンビニのお菓子奢るから」

「「自分で作る」」

「バイト代出るように頼んであげるから」

「「よし、行く」」

「…………」

頭を下げようがガン無視だった大輔とヒカリだったが、バイト代が出るようにすると言った瞬間にやる気を出したことにお金の力は偉大だと京は痛感した。

そして…金>>>>>(越えられない壁)>>>>>京

であることも悟り、京は寂しげに涙を流したが誰にも気にされなかった。

そして戦場となるコンビニ、アイマートでは選ばれし子供達の大半が集められていた。

「ねえ、何でこの人達も連れて来たのよ?」

「戦力は多い方がいいだろうが?」

「まあね、もしかしてバイト代のこと言ったの?」

「「うん」」

「嘘ーん!?どうしよう、お母さん達に何て言えば…」

「問題ないわ、今年の京のお小遣いを全てカットすれば無問題だから」

「そうね、正月のお年玉も抜きにすれば完璧」

「千鶴お姉ちゃん、百恵お姉ちゃああああん!?そんな殺生なああああ!?」

「「言い出しっぺはあんたでしょうが、自分の言葉に責任を持ちなさい。楽しようとするからそうなるのよ」」

「orz」

姉の千鶴、百恵のダブルアタックに膝をつく京。

楽しようとした代償は非常に大きかった。

因みに今回のメンバーは太一、芽心、ヤマト、空、光子郎、大輔、ヒカリ、賢と言うかなりの強力なメンバーである。

因みにミミ、丈、タケルは無理だったが、とにかく仕事開始。

流石に会計は出来ないが、品物の補充や整理をすることに。

「よい…しょ…」

芽心がおにぎりの入った箱を持ち上げるが、結構重いために少しよろめいている。

「貸せよ、俺がやる」

「え?でも…」

「フラフラで危なっかしいんだよ。芽心ちゃんはそっちの軽い奴を頼む」

太一はおにぎりの入った箱を芽心から取り上げ、比較的軽いデザート系の入った箱を指差す。

「…はい、その…ありがとうございます」

「こういうのは男の仕事だろ」

芽心は太一の指差した箱を持ち上げ、太一と共に出た。

「ふう、思った以上に大変ね。確かにコンビニは便利だけど。この時期は店側からすれば大変なのが分かるわ…あら?」

品物を指定された場所に置こうとするが、僅かに届かない。他のコンビニより品揃えがいいためか(多分ここら辺が客が大量に来る理由の1つだろう)棚が高い。

もう少し優しい設計にして欲しい。

「俺がやる」

ヤマトが空から品物を取ると、簡単に品物は棚に納まった。

「ありがとう、やっぱり背が高いのは便利ね」

「ああ、俺やタケルはフランス人の祖父さんの血のせいか背が伸びるのが早いみたいだ。」

「フランス人?もしかしてヤマト君ってハーフ?」

日本人離れした容姿だが、ハーフなら納得だ。

「母さんがハーフなんだ。俺はクォーターって奴だ」

日本人の裕明とハーフの奈津子の間に生まれたクォーターがヤマトとタケルなのである。

「へえ~」

意外な新事実に空は目を見開きながらヤマトを見つめるのである。

「はあ…」

死んだ魚のような目をしながらダラダラする京。

楽しようとした罰と言うかのように今年のお小遣い全額カット、お年玉抜きと言うのは相当なダメージのようだった。

「おらあ、京。サボってねえで働け!!」

「京さーん、冷凍食品の補充お願ーい」

そんな京を見ても大輔とヒカリは指示を飛ばす。

慈悲はない。

「あんたらには血も涙もないの!?」

「「早く!!」」

「ああ、もう!!」

急いで冷凍食品の補充をする京だが、普段がドジなためか冷凍食品をひっくり返してしまった。

「や、やば…」

「僕がやります。これをどこに入れればいいのかを教えて下さい」

賢が京の代わりに拾い上げ、冷凍食品を冷凍棚のどこに置けばいいのかを尋ねる。

「えっと…冷凍棚の上の段なんだけど」

「分かりました」

近くから踏み台を持ってきて始めてとは思えない程にテキパキと棚に置いていく。

「次の仕事に向かいます」

「え?早っ!?」

テキパキと終わらせ、次の仕事に向かう賢に京は目を見開く。

「流石に賢は手際が良いよな」

「そうだね、光子郎さん。私達は中華饅補充しに行くからここお願いします。」

「分かりました、それにしてもやけに外が騒がしいですね」

ヒカリ達に惣菜を任された光子郎は外が騒がしいことに気付いて、扉の方を見遣る。

「あれ?メイちゃんは?」

「あ、そう言えばピヨモンもいないわ」

「テントモンもいませんね。何時の間にか…」

デジモンがいないことや更に外から女性や子供の甲高い声が聞こえ、気になり始めた子供達は外を見遣る。

「へい、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!品揃え豊富で良心的な値段の愛と純真に満ちたコンビニ!!」

「その名もアイマート!!今なら特別中華饅のデジモン饅もありますよー!!」

「だがーん!!」

何故かデジモン達は客寄せしていた。

【ぶふう!?】

それを見た大輔達は思わず噴き出した。

「ふふふ…ブイモン達を客寄せに使わせてもらったわ。アイマートのマスコットキャラとして活躍させれば更に商売繁盛。これで勝てる!!」

拳を握った京に消費期限切れの廃棄予定のクリームパイが顔面に叩き込まれるまで後数秒…。









おまけ

デジモン饅は好評だった。

因みに肉饅はメイクーモン、餡饅はブイモン、ピザ饅はアグモンがモデルである。

「何で俺が餡饅なんだ?」

「お腹の中が真っ黒なあんたにお似合いじゃない」

ブイモンとテイルモンの横っ面に互いの拳がめり込んだ。 
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