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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第16話:顔合わせ

 
前書き
どんどん行きます 

 
太一がデジタルワールドから戻って十数分の時間が過ぎていた。

「お~い、デジヴァイスや~い」

「呼んだって出て来るわけねえだろ」

アホなことをしているブイモンに大輔がツッコんだ。

「にゃあ~」

「「「ん?」」」

ミーコの鳴き声に反応して振り返ると、大輔のデジヴァイスを咥えたミーコの姿があった。

「「「デジヴァイス!!」」」

「これだ、多分これがヒカリちゃんのデジヴァイスなんだ!!」

「多分と言うか絶対にそうだ!!」

「偉い!!ミーコ偉い!!」

大輔達から褒めちぎられているミーコは得意気な表情を浮かべる。

4年前のコロモン単独撃破といい、中々のハイスペック猫である。

「にゃあっ」

「今日はミーコのおやつを奮発しないとね♪」

本来ならネズミを撃退した時にしか与えられない高級品だが、今回は特別だ。

ミーコの機嫌も最高潮である。

「後はヒカリちゃんのパートナーデジモンと紋章だな」

「ヒカリのパートナーデジモンねえ、何か嫌な予感がするなあ」

ブイモンのその嫌な予感は見事に的中することになるとは大輔とヒカリは当然としてブイモンも思いもしなかった。

大輔は食器を洗い終えて立ち上がる。

「それじゃあ、俺は帰るよ。また明日」

「うん、また明日」

大輔は八神家を出て、ゆっくりと自宅に向かい、ブイモンも変装をして大輔と共に自宅に向かう。

途中で半分実体化したオーガモンがいたが、フレイドラモンにアーマー進化させて沈めた。

「最近多いよな」

「全くだな」

何事も無かったように去っていく2人。

1年間戦い続けたためにブイモンは成長期の状態でも成熟期と渡り合えるくらいにまで強くなっていた。

自宅に戻って夕食を食べていざ寝ようとした時。

「大輔~、ヒカリちゃんから電話よ」

「は~い」

「ここ最近寝る前に何時も電話が来るわね?あんた達は仲良しね~」

ニヤニヤ笑いながら大輔に言う母親に大輔は疑問符を浮かべざるを得なかった。

仲がいいのは悪いより良いことではないか。

「もしもしヒカリちゃん?」

受話器を手に持ち、耳に持って行く。

するとヒカリから太一達が帰ってきたことと、コロモンも一緒らしい。

翌日全員集まるとのことで賢にも後で連絡して欲しいとのこと。

「ああ、確か賢はテレビにも出てる位だから女の子から電話とかあったら騒ぎになるかもね…分かったよ、賢には俺から伝えとく。」

「うん、ありがとう大輔君」

電話を切ると、大輔はブイモンに向き直ると、そこには約1年かけて完成させたメタル属性のデジメンタルがある。

このメタル属性のデジメンタルは本当に無理ゲーに近い物があったが、ブイモンの汗と涙と吹き上がらんばかりの怒りのパワーで奇跡的に組み上げることに成功したのだ。

「ようやく組み上げられたなあ」

「ああ…正直何度組み立てを止めようかなと思ったか分からないよ」

少しでも失敗したらバラバラになり、一から組み立て作業となる素敵な仕様なので何回心がへし折れそうになったのかは想像すら出来ない。

少なくても3桁くらいは絶望しただろう。

「後はエネルギーだよな、それさえあれば無敵の力なんだろ?」

「まあ、普通のデジモンより遥かに強くなるとだけ言っとくよ」

実際自分もメタル属性のデジメンタルの力でアーマー進化した個体を見たことはあるが、自分で進化したわけではないので、どこまで自分の力が高まるのかはまだ未知数だ。

「まあ、エネルギーがないとただのガラクタなのは変わらないんだけど」

デジメンタル3~4個分とはまた無理難題を押しつけてくれる物だ。

「まあ、とにかく今は寝ちまおうぜ。明日から他のメンバーと顔合わせなんだから遅刻は洒落にならないぜ」

「おーう」

大輔とブイモンは布団に潜って明日に備えて眠りにつき、そして翌日の朝。

大輔達は自分達と同じ選ばれし子供のメンバーと顔合わせをしていた。

「えっと、太一さん以外は初めまして…になんのかな?本宮大輔、小学2年生。ヒカリちゃんのクラスメートです」

※この作品の大輔はブイモンがいる都合上、サッカークラブに入っていないため、太一以外との上級生メンバーとの絡みがありません。

「コホン、俺はブイモンだ。現実世界に関しては俺が先輩だ。だから現実世界で分からないことがあれば俺に聞けい!!」

現実世界に関しては一番長く滞在しているため、現実世界での暮らしに慣れているブイモン。

「僕は一乗寺賢です。田町小学校の2年生です」

「一乗寺…一乗寺って田町で有名な天才兄弟の…ひいっ!?」

賢に睨まれ、怯む丈。

上級生なのに下級生に威圧された。

「賢君、睨んじゃ駄目。私は八神ヒカリです。パートナーデジモンはいません。紋章もないです…だから迷惑かけちゃうかも」

「大丈夫、ヒカリちゃんは今まで通り俺とブイモンで守るから、ヒカリちゃんは何の心配もしなくていい」

「安心しろヒカリ!!お前のパートナーが見つかるまでは俺が守ってやるから」

「そう言うこと、今更俺とヒカリちゃんとの間に遠慮はいらないから、今は出来ることをやろうぜ」

「…うん!!」

大輔の言葉に穏やかな笑顔を浮かべるヒカリ。

2人の間の雰囲気に太一は微妙な表情を浮かべ、ヤマトと空は太一の肩に手を置いた。

「「頑張れお兄ちゃん」」

「うるせ!!」

哀れむような表情を浮かべる親友と幼なじみに太一はキレたが、ヤマトの隣でタケルはそわそわしていた。

何故なら同い年の子供が一気に3人も増えるのだから、年上ばかりでどこか寂しいと感じていたタケルが喜ぶのも無理はない。

「んじゃあ、俺達がしなくちゃいけないのはヴァンデモンを見つけて倒すことだ。」

多分、ヴァンデモンもお台場にいるだろうと考えた太一は被害が出る前にヴァンデモンを倒してしまおうと考えたのだ。

ヴァンデモンを倒した後はゆっくりとヒカリのパートナーデジモンを捜すということにした。

「んじゃあ、大輔。ヒカリを頼んだぞ」

「はい、任せて下さい」

「タケル、お前も大輔達とだ」

ヤマトはタケルの背を押して、大輔達の元に。

「え?お兄ちゃん?」

「同い年なんだから親睦を深めないとな。それに大輔もヒカリちゃんも賢も良い奴そうだから、今から仲良くなってこい」

「はあい!!」

大輔達は最年少だけで組むことになり、残りのメンバーも動き出した。

因みに大輔達はヴァンデモンの容姿を知らないためにヴァンデモンの容姿を知るタケルとそのパートナーデジモンであるパタモンからヴァンデモンの特徴を聞き、メモ帳にメモした。

「えっと、ヴァンデモンはドラキュラみたいなデジモンなんだよな?確か?」

「うん、そして凄く強いんだ」

「強いね、まあ…暗黒系のデジモンならこっちが普通に有利だ。あんまり警戒しなくても大丈夫だろ」

サジタリモンには聖なる力を操る力がある。

だから暗黒系デジモンのヴァンデモンには強い力を発揮してくれるだろう。

「怖くないの?」

「怖くない訳じゃないさ。でも怖いからって何もしないのは嫌なんだ」

タケルの問いに大輔はゆっくりと答えた。

「そう言えばチャックモンとハニービーモンは今頃どうしてるんだろう?」

「今じゃあ悠紀夫さんの所で助手として働いてるよ。悠紀夫さんも助かってるみたいだし」

デジモンと暮らし始めた悠紀夫は毎日が充実しているのか、悪かった顔色も今では人並みの色を取り戻していた。

やはり大きかったのは自分のパートナーデジモンに会えたからかもしれない。

大人である悠紀夫はデータ容量の問題でデジタルワールドには行けない。

しかし協力してくれた見返りと言うべきか、悠紀夫と浩樹のデータと一致するデジモンを発見したゲンナイが画面越しではあるが、出会わせてくれた。

長年の夢が多少叶った2人は更に協力してくれるようになるが、浩樹はただいまロンドンに行ってしまっている。

「何時かチャックモンとハニービーモンもデジタルワールドに帰さないといけないよな…そして…」

ブイモンは全てが終わった時のことが脳裏を過ぎるが、今はそれは置いておこう。

今は未来よりも現在を考えなくては。

「それにしても暑いね」

「現実世界の夏は8月が一番暑い時期だからね。」

現実世界での暮らしが長いワームモンがパタモンの呟きに答える。

「でもだからこそ美味い食い物もあるぞ?アイスとか…かき氷とか…ソーメンとか…餃子…レバニラ炒め…鰻重…」

「ブイモン、涎」

ヒカリがブイモンの口周りを指差すと涎がダラダラと出ていた。

「おっとっと…あ、アイスクリーム屋だ。大輔、休憩を兼ねて食おうぜ」

「あ、本当だ。よし、休憩にするか…財布財布」

ポケットから財布を取り出してアイスクリーム代を出す…この財布の中身は殆どブイモンのためにあるようなものだから中身を見る度に切なくなる。

「俺とブイモンはチョコ、ヒカリちゃんはストロベリー、賢とワームモンはバニラ…」

大輔はタケルに振り返る。

「タケルとパタモンは?」

「じゃあ、バナナ味」

「僕もタケルと同じ奴がいい」

タケルとパタモンのリクエストを聞いて、大輔達はブイモン達をここに残してアイスクリーム屋に向かう。

「それにしてもヴァンデモンの奴は何処にいるんだ?」

「暗黒系は光に弱いから何処かの建物の中にいるのは確実じゃないの?」

「まあ、確かに。じゃあ人目につかない廃ビルか何かにいるのかも…」

「あんた達がそれを考える必要はないわ」

「「「ん?」」」

上から聞こえてきた声に気付いて上を見上げると、木の枝に乗って此方を見下ろすネズミ…ではなく子猫のようなデジモンがいた。

「お前は…テイルモン!?どうしてここに…」

「あんた達がそれを知る必要もないわ。ここがあんた達の墓場になるんだから、どうやらあいつらが選ばれし子供のようね。なら今ここで始末して…」

「ブイモンヘッド!!」

テイルモンが言い切るよりも先に木に頭突きを叩き込むブイモン。

木が大きく揺れてテイルモンはバランスを崩して頭から地面に激突した。

「誰が誰を始末するって?え?」

冷たくゴミを見るような目で見下ろしながらテイルモンを足蹴にするブイモン。

「うぐぐ…あ、あんたよくも…許さないわよ…」

「許さない?許さないならどうするんだ?」

「こうするのよ!!ネコパンチ!!」

「おっと」

テイルモンから繰り出された拳を軽々とかわすブイモン。

「この!!」

「おっとととと!!」

テイルモンの連続攻撃をかわしていくブイモン。

しばらくして、テイルモンが息を荒くしてもブイモンはピンピンしていた。

「くっ、この…!!」

「それで終わりか?今度はこっちから行くぞ!喰らえ、ドラゴンテール!!」

「へぶっ!!」

「それ別の技!!」

ブイモンは全力の尻尾による一撃をワームモンにツッコまれながらもテイルモンの顔面に直撃させて見事に吹き飛ばす。

そして落下地点では何故か落とし穴があり、吹き飛ばされたテイルモンは見事にその穴に落ちた。

「へへん、ホールインワン」

「何してんだあいつら?」

「あ、大輔。何か敵みたいだよ」

大輔達がアイスクリームを購入して戻ってきたのだが、ブイモンとテイルモンのやりとりに呆れた視線を寄越す。

「あんた、絶対に許さないわよ…」

落とし穴から這い上がってきたテイルモンは青筋をいくつも浮かべていた。

「全く、俺のお茶目に怒るなんて短気なネズミだな」

「…今、何て言ったのかしら?」

「え?…そりゃあ…ネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミネズミ。何度でも言ってやるよ。このネ・ズ・ミ」

「うがああああ!!ネズミを30回も言ったわね!!あんたもう絶対許さないわよ!!」

「上等だハツカネズミモン。ネズミがどう足掻いても竜には勝てないことを教えてやる!!」

竜鼠対決ここに勃発。

ブイモンとテイルモンの激しくも面白い対決が今、ここに実現した。 
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