| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第12話:優しさの槍戦士

 
前書き
ワームモンが超進化します。 

 
ブイモンに程良い絶望を味あわせたメタル属性のデジメンタル騒動から数日後、ブイモンは全く完成しないメタル属性のデジメンタルに殺意を抱き始めていた。

「うぐぐぐ…」

「元気出せよブイモン」

「お菓子作ってきたから食べてブイモン」

孤軍奮闘するブイモンに大輔達がおやつを持ってきてくれた。

「…おう」

今日はカステラだった。

レシピを見ながら作ったために少し不格好だが、味は良かった。

一方で賢は悠紀夫から電話が来て、デジモンを発見したとの報告を受けたのだが、大輔達はブイモンの問題から参戦出来ずに賢のみの戦闘となる。

「久しぶりだね、僕とワームモンだけなのは…と言うかやっぱり苦戦してるんだね。あの高難易度パズル」

「そうだね、まあ…仕方ないよ。説明書も何もないし…それより賢ちゃん…来るよ!!」

此方に迫ってくるのは巨大な昆虫型デジモン。

一瞬そのデジモンの容姿に目を見開いたが、すぐに気を切り替えて回避し、正体を探る。

「クワガーモン?」

「違うよ、賢ちゃん。オオクワモン…完全体だよ」

「完全体…大輔達がいないのにツイてないね…まあ、やれるだけのことはやらないとね!行くぞ!ワームモン!!」

「任せて!!ワームモン進化、スティングモン!!」

成熟期への進化を済ませると、相手が格上の完全体であるにも関わらずオオクワモンに果敢にも挑むスティングモン。

オオクワモンはパワーは凄まじいが、スピードは反応出来ない物ではないらしく、スティングモンが一撃離脱戦法をすれば勝ち目があるかもしれない。

「スパイキングフィニッシュ!!」

腕のスパイクを伸ばしてオオクワモンに刺突攻撃を繰り出すスティングモン。

スパイクは確かにオオクワモンに直撃したが…。

「っ!硬い…」

オオクワモンの体はやはり頑強でスティングモンのスパイクが全く通らない。

オオクワモンの豪腕がスティングモンに迫る。

「避けるんだスティングモン!!」

「くっ!!」

何とか回避して回し蹴りを叩き込み、オオクワモンを僅かに後退させた。

少しずつダメージを蓄積させていくしかないと、スティングモンは攻撃を繰り返していく。

「…まずいね」

賢がスティングモンとオオクワモンの戦いを見て、そう呟いた。

スティングモンはオオクワモンの攻撃に常に気を配りながら攻撃しているが、オオクワモンからすれば蚊に刺された程度のダメージしか受けていない。

このままではスティングモンの体力が底を尽き、負けてしまうと賢は判断し、何か方法はないのかと辺りを見回した時、鈴の音が聞こえた。

音の出所を探ると1匹の猫が近くにいた。

「あれは、ヒカリちゃんの家の飼い猫!?家から逃げ出したのか!?」

あれはどう見てもヒカリの家の飼い猫のミーコだ。

結構な歳で家猫なのに家から隙を見て逃げだそうとするのだとヒカリがよく愚痴っていた。

ミーコはオオクワモンを見て、かつてのコロモンと同じ存在だと言うことに気付き、威嚇した。

そして威嚇されたオオクワモンはミーコの存在に気付くと、縄張りに侵入したミーコの排除にかかる。

「危ない!!」

だが、同じくミーコの存在に気付いたスティングモンが横からオオクワモンに蹴りを入れて狙いを逸らす。

オオクワモンの体当たりはミーコに直撃はしなかったが、衝撃波だけでミーコの小さな体を吹き飛ばした。

「よっと!!」

賢がミーコをキャッチし、生きているかを確かめる。

息はしているのでどうやら気絶しているだけのようだ。

「不味いかもね…」

自分だけならオオクワモンからの攻撃に対処出来る。

しかしミーコを庇いながらとなると…。

「でも、見捨てられないよね…」

どんな相手にも優しさを捨てられないのが一乗寺賢と言う少年である。

だからこそ優しさの紋章の所有者として選ばれたのだろうが。

「負けられないよスティングモン。友達を泣かせるわけにはいかないからね…!!」

「賢ちゃん…これが賢ちゃんの優しさ…僕の中に力が流れ込んで来る…!!」

賢のデジヴァイスが紋章と同じく薄紅色に輝いた時、更なる進化が起きた。

「スティングモン超進化、ジュエルビーモン!!」

スティングモンは玉虫のような虹色の輝きを放つ昆虫型デジモンに進化した。

見る角度で色が変わるプリズムのような鎧を身に纏った戦士に。

「スティングモン…いや、ジュエルビーモン…超進化したんだね」

「うん、今までよりも強い賢ちゃんの優しさが僕を進化させたんだ。」

「そう…頼んだよジュエルビーモン」

今は超進化の感動の余韻に浸るよりも優先すべきことがある。

オオクワモンを倒して安全を確保することだ。

オオクワモンが勢い良く迫るが、カウンターで強烈な回し蹴りを叩き込み、オオクワモンを地面に叩きつける。

その動きは何処か優雅だった。

「パワーもスピードも以前とは比較にならない…体中にパワーが満ちているのを感じる……これなら勝てる!!」

ジュエルビーモンは槍を握り締めながらオオクワモンに突撃する。

そしてオオクワモンも起き上がって飛翔し、ジュエルビーモンに向かっていく。

「スパイクバスター!!」

槍を連続で振ると、衝撃波がいくつも発生。

スティングモンの攻撃ではびくともしなかったオオクワモンが仰け反る。

「今だ、ジュエルビーモン!追撃だ!!」

賢がオオクワモンの隙を逃さず、ジュエルビーモンに追撃の指示を出す。

ジュエルビーモンは即座に高速の連続蹴りを叩き込み、オオクワモンを吹き飛ばす。

「はあああ…!!」

とどめの一撃を繰り出すためにジュエルビーモンは槍を大上段に構えてエネルギーを回す。

「決めろ、ジュエルビーモン!!」

「受けてみろ、僕の渾身のスパイクバスターを!!」

槍の穂先を直接叩きつけるのと同時に衝撃波を放ち、オオクワモンの頑強な体を容易く真っ二つにした。

真っ二つにされたオオクワモンは一瞬で粒子と化した。

「よし!!」

こうしてワームモンは完全体への進化を遂げて大きくパワーアップした。

こうして現実世界に現れる完全体デジモン達とも単独で渡り合えるようになるのであった。

因みにミーコはヒカリが賢から受け取ると、ミーコは二度と逃げ出さないようケージなどの工夫をされたのは説明不要だろう。

「つああああああ!!」

一方で再び崩れたメタル属性のデジメンタルを見てブイモンが色々な感情が吹き出して絶叫したのであった。 
 

 
後書き
実際にミーコは原作でも逃げ出してるしなあ… 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧