デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第13話:地上最大の希望
前書き
ギャグドラマCDとは言え究極体に有効打を与えたサジタリモン爆誕
12月31日。
大輔達とヒカリが出会ってから今年最後の日となる。
時が経つのは早いものである。
ヒカリは本宮家にお邪魔し、大輔の母お手製の年越し蕎麦を啜っていた。
因みに隣のブイモンは体格と全く合わないサイズの丼にたっぷり入れた蕎麦を豪快に啜っている。
毎度毎度思うが、その小さな体の何処にそんな量が入るのか…普通に疑問である。
「ヒカリちゃん、後で初日の出を見に行こうぜ。ブイモンと一緒に、ヒカリちゃんも見たいだろ?」
「うん、見たい。私、初日の出を見るの初めて。ブイモンは?」
「俺も見たことないなあ。去年の今はチビモンだったしさ」
流石に幼稚園児と幼年期デジモンを深夜の外には出せなかった模様。
今は大輔もそれなりにしっかりしてきたし、現在は最強のボディガードがいるために危険度は去年より遥かに低い。
「よし、今日は俺とヒカリちゃんとブイモンで初日の出を見に行こうぜ!!」
「「おー!!」」
大輔の言葉にヒカリとブイモンは腕を振り上げて賛同した。
そして初日の出を見るために海岸に向かう大輔とヒカリとブイモン。
「初日の出はまだか~?」
防寒着を着込んでいる大輔とヒカリ同様、大輔の古い防寒着をブイモン用にカスタマイズされた防寒着を着込んでいる。
「まだまだだよ。さあて、今年は色々あったけど、来年もよろしくなブイモン、ヒカリちゃん」
「うん、こっちこそ色々ありがとう大輔君。ブイモン」
「さあて、出て来い初日の出。俺達は眠いのを我慢して来ているんだぞ?」
初日の出がいつ出るのか分からないため、ソワソワしているブイモン。
全員が楽しみにしている中、空から雷が落ちてきた。
「「うわあ!?」」
「きゃあ!?」
咄嗟に雷を避ける大輔達。
雷が落ちてきた上空を見遣ると、そこには半透明の半実体化したデジモンがいた。
それだけならば自分達が見慣れてきた物だが、現れた存在が問題なのだ。
上空にいるのは光が丘爆弾テロ事件の犯人の1体なのだ。
「あれは光が丘テロの…」
「コロモンが戦った…」
緑色の巨大なオウムを思わせるデジモン。
それはかつてグレイモンに進化したコロモンと戦い、相討ちとなった完全体デジモンのパロットモン。
「大輔、ヒカリ。離れて」
ブイモンが大輔とヒカリを下がらせた。
かつては成熟期のグレイモンと戦って相討ちとなったらしいが、そのグレイモンが異常過ぎただけでパロットモンから感じる威圧感は完全体に相応しい物だ。
「大輔、あいつは雷の力を使うんだ。雷に強い耐性があるライドラモンで戦おう。」
「分かった!!」
相手は空を飛べるためにフレイドラモンの攻撃はまるで届かない。
ならば必殺技の射程が長く、機動力が高いライドラモンで挑むべきだとブイモンは考えたのだ。
「デジメンタルアップ!!」
「ブイモンアーマー進化、ライドラモン!!」
ブイモンはライドラモンにアーマー進化し、パロットモンに必殺技が届く距離まで移動する。
「ブイモン…負けないで!!」
ヒカリは祈る。ライドラモンが勝つことを。
「ブルーサンダー!!」
パロットモンに電撃が届く距離まで移動し、必殺技を胴体に向けて繰り出した。
数多くの戦いを経験し、初めて進化した時と比べて威力は大きく跳ね上がっており、蒼雷弾はパロットモンの胴体に見事に直撃した。
「よし、命中だ!!」
「でも、倒せてないよ…」
煙が晴れると、直撃した胴体に軽い火傷を負ったパロットモンの姿があった。
「ダメージは受けてる…あいつが倒れるまで攻撃を当ててやる!!」
日頃の戦いは無駄ではなかった。
完全体にも目に見えるダメージを与えられただけでも充分過ぎるくらい強くなっている。
パロットモンの雷撃をかわしながら何度も必殺技の蒼雷弾と電撃刃を叩き込むとパロットモンは凄まじいスピードで飛び回る。
「?…うわあ!?」
一瞬、何をしようとしているのか分からなかったが、強烈な衝撃波を受けて吹き飛ぶライドラモン。
これがパロットモンの得意技のソニックデストロイヤーである。
ライドラモンは何とか空間の歪みを見れるので回避は出来る。
しかし人間の大輔とヒカリはそうはいかない。
「きゃあ!?」
「ヒカリちゃん!!」
衝撃波の余波でヒカリが吹き飛び、大輔が咄嗟に抱き締めて、彼女の下敷きとなることで落下のダメージを自分に回す。
「痛…っ」
「大輔君!!」
「大輔!!この野郎!!」
大輔を傷つけられた怒りで攻撃力が上昇するが、上昇した攻撃力も当たらなければ無意味である。
こちらの攻撃は当たらないのにこちらにはダメージが溜まる一方で、このままではどうなるかなど火を見るより明らかだ。
ライドラモンもダメージの蓄積で動きが鈍くなってきている。
「だ、駄目…勝てないよ…」
「そんなことない…」
諦めかけたヒカリに大輔が強い言葉をかける。
ヒカリが大輔を見遣ると大輔はまだ諦めてなどいなかった。
「俺達が負けたら、あいつは絶対にお台場を滅茶苦茶にする。父さんも母さんも姉ちゃんも傷付く。そんなの俺は絶対に嫌だ…!!」
「大輔君…」
「だから諦めちゃ駄目なんだ。俺達が諦めたら…今、お台場を守れるのは俺達だけなんだ!!頑張れ、諦めるなライドラモン!!」
大輔が叫んだ時、奇跡の紋章が橙色、青色ではない黄色の輝きを放つ。
「ん?こ、これはまさか…」
「この力…神聖属性のデジメンタルか!?大輔!!」
諦めないと言う心が生んだ逆転のチャンスにライドラモンが叫んだ。
「デジメンタルアップ!!」
「ブイモンアーマー進化、サジタリモン!!」
黄色の輝きに包まれたブイモンはケンタルモンの上位種であり、顔と下半身の四つ足はライドラモン、腕はフレイドラモンに似るという、他のアーマー体に酷似した容姿の一部を持つ、珍しい特徴を持つデジモンへと姿を変えた。
「進化した…」
「これが、ブイモンが神聖属性のデジメンタルで進化したアーマー体…」
フレイドラモンとライドラモンの特徴を併せ持つアーマー体の姿に大輔とヒカリは目を見開くばかりだ。
パロットモンはサジタリモンに向けて衝撃波を繰り出してくる。
「…ふん!!」
迫り来る衝撃波に拳を叩き込んで、無力化する。
時折放ってくる雷撃は容易く回避していく。
サジタリモンはフレイドラモン以上のパワーとライドラモン以上のスピードの2体の長所を併せ持ったデジモンだった。
サジタリモンは弓と矢筒からクロンデジゾイド製の矢を1本抜き取る。
再び放たれた雷撃、それは今までとは比較にならない規模だが、サジタリモンに動揺することなく弓矢を構えた。
聖なる光が矢に纏われる。
「ジャッジメントアロー!!」
勢い良く放たれた聖なる光を纏ったクロンデジゾイド製の矢は雷撃を容易く打ち砕き、それどころか金属の性質によって帯電し、より矢の威力が強化された。
クロンデジゾイドの硬度と矢の速度もあり、一撃の破壊力に置いては通常のデジメンタルのアーマー体で他の追随を許さない。
パロットモンの頑強な肉体を容易くぶち抜いて、粒子化させた。
「す、凄え…完全体を一撃で倒しちまった…」
いくらライドラモンの時に多少のダメージを与えていても、この結果は予想外過ぎた。
サジタリモンは笑みを浮かべながら大輔達に歩み寄るとブイモンに退化した。
「へへ、これがサジタリモンの実力さ」
得意気な笑みを浮かべたブイモンに大輔とヒカリもブイモンに笑みを返す。
すると段々明るくなってきた。
「おっ、見ろよ。大輔!ヒカリ!初日の出だ!!グッドタイミング!!」
ブイモンが現れる日の出に笑顔を浮かべた。
「おお、勝利のご褒美だな」
「うん、大輔君。庇ってくれてありがとう」
「いや、いいって…」
ヒカリの感謝の言葉に照れる大輔。
こうして大輔達の1998年最後の戦いは終わった…。
後書き
サジタリモンが強すぎ?
無印の最年少組の完全体が強いんだからこれくらいはね
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