デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第6話:天才少年
前書き
タイトルで分かるでしょうが、賢登場…既に進化は済ませてます。
休日であるこの日の大輔とヒカリはブイモンと共に中途半端に実体化した半透明のデジモン退治に出掛けていた。
「サンダーボルト!!」
ライドラモンの全身から放たれた電撃がギザモン数体をデータ粒子に変える。
本来なら成長期でさえ大したダメージは与えられないが、水棲系のデジモンだからかライドラモンの技は得意技でも充分な威力を発揮していた。
今回、海辺に来たのは街は粗方行けるだけ行ったし水辺とかを見て回ろうということになったのだ。
やはり水辺の方が街より数が多い。
「ゲコモンにオタマモンだよライドラモン!!」
ヒカリが指差した先にはもう何度も見たゲコモンとオタマモンの集団だ。
「ええい!!ブルーサンダー!!」
数の多さに苛立ちながらライドラモンは蒼雷弾を放ち、放たれた蒼雷弾は見事にゲコモンとオタマモンの集団に直撃するが、一部のゲコモンとオタマモンしか倒せていない。
「ライトニングブレード!!」
角から発せられた電撃刃が数体のゲコモンとオタマモンを両断し、大輔はデジヴァイスをライドラモンに翳した。
「デジメンタルアップ!!」
「アーマーチェンジ、フレイドラモン!!ナックルファイア!!」
フレイドラモンに進化すると両拳から放たれる火炎弾を連射してゲコモンとオタマモンを撃破していく。
実力自体は大したことないのだが如何せん数が多い。
海岸を彷徨くデジモン達を退治し終えたのは今から約数分後である。
「ゼエ…ゼエ…」
疲労困憊と言う言葉が似合いそうな状態で仰向けで倒れているブイモン。
「大丈夫ブイモン?」
「これが大丈夫に見えるかヒカリぃ…」
「…見えない、ごめんなさい」
心配そうにブイモンを見遣るヒカリだが、疲れ切った表情をヒカリに向けるとヒカリは明後日の方向を見遣る。
「…まあいいんだけどさ。とにかく腹減ったよ」
「あ、お菓子あるよ。食べる?」
「頂きます…」
甘いスナック菓子をバクバクと貪るブイモンは甘いお菓子を食べたことで多少は回復したようだ。
「ふうう…」
「ほい」
大輔が水筒を寄越し、ブイモンはそれを受け取って喉を鳴らしながら中身を飲み干した。
「ぶはあ…っ!!ああ、生き返った」
「今日はこれだけ倒せば充分かもな。今日はここまでにしよう」
今日で弱い部類とは言え成熟期を含めて半実体化したデジモン達を数十体倒したのだから上等な戦果だろう。
「うん、じゃあ今日はこれでお終いにして、お家でゆっくり…あれ?」
「ん?」
「ヒカリちゃん?」
ヒカリが不思議そうに微妙に盛り上がった砂を見つめ、大輔とブイモンもそちらを見遣った。
「あそこの砂がどうした?」
「何か…今、動いたような…ええ!?」
「「ん…ああ!?」」
砂から飛び出したのは巨大なサソリのようなデジモンだった。
古代生物、アノマロカリスを彷彿とさせるデジモンである完全体デジモンである。
「アノマロカリモン…完全体だああああ!?」
「「完全体!?」」
確か完全体とは成熟期より強いデジモンではなかっただろうか?
モノクロモンの時と同じ状態になるのだろうかと大輔とヒカリが慌てた時…。
「大丈夫、あいつは水棲系…だから雷に弱い!!だからモノクロモンの時よりはまともに戦えるはずだ!!」
「そうか、ライドラモンなら…デジメンタルアップ!!」
「ブイモンアーマー進化、ライドラモン!!」
全身から雷を迸らせながらライドラモンはアノマロカリモンを睨む。
「喰らえ、ブルーサンダー!!」
先手必勝とばかりに渾身の蒼雷弾を放ち、アノマロカリモンに直撃させた。
「ーーーーっ!!」
弱点の属性攻撃の直撃を受けたアノマロカリモンは体を大きく痙攣させた。
ブイモンの予想通り、水棲系のアノマロカリモンにライドラモンの電撃はかなり有効だったらしく、成熟期相当のアーマー体でありながら相当のダメージを与えられた。
「やったあ!!効いてる!!」
モノクロモンの時のように効かないのではと思っていたが、属性の上下関係は世代差すらある程度覆すらしく、アノマロカリモンは相当のダメージを負っている。
「もう1発!!ブルーサンダー!!」
再び蒼雷弾を放つライドラモンだが、アノマロカリモンは凄まじい速さで砂の中に潜る。
「んな!?」
「砂の中に潜った!?」
大輔とヒカリが目を見開いて辺りを見回す。
するとライドラモンの真下の砂が盛り上がる。
「っ!?うおっ!?」
真下から現れたアノマロカリモンに捕獲され、両腕で締め上げられる。
「ぐっ!!ううっ!!」
「「ライドラモン!!」」
何とか脱出しようとするが、やはり完全体のパワーは凄まじく、ライドラモンは脱出することが出来ない。
「この…野郎!!」
全身から電撃を放ち、怯ませることで脱出は出来た。
「ライトニングブレード!!」
仕返しとばかりに電撃刃を繰り出すライドラモン。
アノマロカリモンの尾を斬り裂くことに成功し、このまま砂に潜る暇を与えず連続攻撃を喰らわせようとしたのだが、アノマロカリモンはライドラモンに向けて口から大量の砂を吐き出して蒼雷弾を無効化。
そして前肢を交差させて繰り出すスティンガーサプライズをライドラモンに繰り出してきた。
「うあっ!?」
砂でアノマロカリモンの様子が分からなかったライドラモンはアノマロカリモンの攻撃をまともに受け、連戦の疲労と今のダメージでブイモンに退化してしまう。
「ブイモン!!」
「ま、まずい…」
弱点の電撃を受けたことでアノマロカリモンはかなり弱っているが、それでも成長期のブイモンを軽々と叩き潰すくらいの力は残っているだろう。
ブイモンは先程のダメージで進化出来ない。
流石のアーマー進化も体力が無ければ出来ないのだ。
アノマロカリモンが大口を開けて、ブイモン達にとどめを刺そうとしたが…。
「行け!!スティングモン!!」
「了解!!スパイキングフィニッシュ!!」
猛スピードでアノマロカリモンに向けて突っ込んできたデジモンがアノマロカリモンの口に向けて腕から出したスパイクを突き出す。
流石の完全体も口内は柔なのか、スパイクが口内から外に飛び出し、アノマロカリモンは粒子となって消えた。
「誰…?」
ヒカリはスティングモンと呼ばれたデジモンが現れた方向と声がした方向を見遣ると、黒髪の自分達と同い年くらいの男の子が立っていた。
「僕は………いや、その前にそこのデジモンの手当てをした方が良いよ…」
「あ、そうだな」
促された大輔はリュックから救急箱を出してヒカリに渡すと、ヒカリはブイモンの手当てを開始した。
「痛あああああ!!?」
ブイモンの悲痛な叫び声が上がり、大輔は苦笑を浮かべる。
どうやら消毒液が沁みた模様。
「ブイモン、大丈夫かな?」
「完全体の攻撃を受けて叫べるなら大丈夫だよ。随分戦い続けて来たんだね。」
「ん…まあ、ブイモンは毎日戦ってるわけだし…ところでお前は?」
「ああ、自己紹介がまだだったね…僕は一乗寺賢。賢でいいよ、そして彼が…」
スティングモンが退化し、芋虫のようなデジモンに退化した。
「賢ちゃん、自己紹介くらいは自分でするよ。初めまして、僕はワームモン」
芋虫のようなデジモンはワームモンと言うらしく、礼儀正しく頭を下げた。
「あ、大輔君と同じデジヴァイス…」
賢が持っているのはデジヴァイスと薄紅色の紋章だ。紋章の模様は大輔と違う。
どうやらデジヴァイスはともかく紋章は人それぞれで違うようだ。
「君達もデジモンを退治していたのかい?」
「ああ、まあアノマロカリモンには返り討ちに遭っちまったけどさ…」
「完全体相手にあれだけ戦えれば充分だよ。光が丘から田町に引っ越してからああ言うのが絶えなくて困るよ全く…」
「「え?」」
賢の口から出た“光が丘”と言う単語に大輔とヒカリは目を見開いた。
「光が丘って、賢も光が丘にいたのか?」
「うん、2年前まで光が丘で暮らしていたんだ。オレンジ色の怪獣と巨大なオウム…デジモン同士の激突のことで田町に引っ越したんだ。もしかして君達も光が丘に?」
「う、うん…」
「俺とヒカリちゃんも2年前までは光が丘にいたんだよ。ブイモンとは光が丘で会ったんだ。お前も?」
「うん、引っ越す時に兄さんのパソコンから飛び出してきたんだ。」
会話を交わしていくごとに共通点の多さに気付き、自然と会話が弾んでいく。
「私にもパートナーデジモンがいればいいのになあ…」
パートナーデジモンがいないために大輔と賢に対して羨ましそうに呟くヒカリ。
少なくてもヒカリがパートナーデジモンを持つには後1年は待たなくてはならない。
「それにしても田町の一乗寺って、テレビで話題の天才兄弟だっけか?」
包帯で体をグルグル巻きにされてミイラと化したブイモンが記憶を探りながら尋ねると、賢が嫌そうな顔をする。
「ああ、悪い。気を悪くしたなら謝るよ」
「いやいいよ。悪気があったわけじゃないし」
賢はすぐに表情を取り繕ってブイモンに言うと、大輔達に向き直る。
「…ここで会ったのも何かの縁だし、僕と手を組まない?」
「え?」
「手を…?」
思わぬ提案に2人は目を見開いた。
「正直、僕とスティングモンだけじゃ限界を感じていたんだ。スティングモンは接近戦に向いたデジモンだから、どうしても多数相手には不利でね」
「ああ、なるほどな~」
ブイモンもフレイドラモンのような接近戦で真価を発揮するデジモンに進化するため、賢の悩みはよーく理解出来る。
「大輔、ヒカリ。こいつらと手を組もう。正直今回で痛い目に遭ったし」
完全体が出て来た今、自分達だけで戦うのは限界だと感じたブイモン。
神聖属性のデジメンタルさえ使えれば話は別なのだが。
「話が早くて助かるよ。君達はどうする?」
「うーん、ブイモンに苦労ばかりかけるのもなんだしな、俺もいいと思う。ヒカリちゃんは?」
「え?い、いいんじゃないかな?」
戦うのは大輔とブイモンなわけだし、自分がとやかく言うことでもない。
大輔とブイモンの負担を考えれば賢と手を組むのもありだとヒカリは感じている。
「決まりだね、よろしく2人共」
「「うん、よろしく」」
こうして大輔達はこれから長い付き合いとなる賢との出会いを果たし、これから彼と共に苦難を乗り越えていくことになる。
後書き
賢も普通に優秀ですよ。
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