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実は死んでいて

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第三章

「私達従姉妹だったのね」
「歳が同じってのも凄いわね」
「流石に生年月日は一緒じゃないけれど」
「そっくりなのも当然よね」
「お祖父ちゃんが一緒でお母さんが姉妹なら」
「そうよね」
「しかしね」
 梨羅は相手にこうも言った。
「私達同じ県に住んでるから」
「それじゃあよね」
「お昼起きてる時とかにね」
「ばったり会うかもね」
「その時どうする?」
 相手の娘に真剣な顔で問うた。
「というかどうしようかしら」
「普通でいいでしょ」
 これが相手の娘の返事だった。
「普通にやあって挨拶して」
「それでなのね」
「お互い仲良くやっていったらいいでしょ」
「今みたいになのね」
「それでいいでしょ、ただお母さん達は知らないから」
 お互いが姉妹であることをだ。
「そうした相手がいることは知ってるみたいだけれど」
「それでもよね」
「だからね」
「私達だけでっていうのね」
「会ったら仲良くしよう、まあ身体は入れ替わったけれど」
「別に何もないしね」
「じゃあね」
 それならと言うのだった。
「それじゃあね」
「若し会ったら」
 何処かでとだ、梨羅も答えた。
「その時はね」
「仲良く遊ぶってことね」
「それか大人になったら」
「私達で会って」
「あらためて仲よくしよう」
「じゃあ一緒の高校とか大学行くとか」
 今度は相手の娘が提案してきた。
「そうする?」
「それいいわね」
「じゃあお互い勉強頑張ろう」
「それは今もしてるけれどね」
「ずっとね」
「それでお昼でもね」
「仲良くしよう」
 二人でこう言い合ってだった、そのうえで。
 梨羅と相手の娘は中学の間は夜だけ幽体で会っていた、だが高校は合格の関係であって梨羅は偏差値は同じ位でも私立相手の娘は公立の学校に通うことになったが何と街でお互いの母親同士がばったりと出会って。
 お互いの家族同士で姉妹そして親戚同士ということがわかって二人の付き合いは昼でもはじまった。それで梨羅は相手の娘に言った。
「思わぬ展開だけれど」
「それでもね」
「あらためて宜しくね」
「ええ、こちらこそね」 
 二人で笑顔で挨拶をした、そうして二人は従姉妹同士として付き合う様になったがそこに至った経緯の真実は二人だけが知っていることだった。二人の身体のことも含めて。


実は死んでいて   完


                   2018・9・27 
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