実は死んでいて
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第二章
「ねえ、これも縁だし」
「どうしたの?」
「あんたと私住んでる県は同じだし」
「ええ、市は違ってもね」
「じゃあ時々会って」
「仲良くする?」
「そうする?まさかここまでそっくりさんがいるとは思わなかったけれど」
梨羅はそれでもと言うのだった。
「これも縁だしね」
「そうね、お互いの元の身体を使ってくれる相手だし」
「仲良くしましょう」
「友達になってね」
こうしてだった、梨羅はその少女と友達になった、そのうえでお互いの友人のところに戻った。梨羅も相手の娘も自分が実は身体が違うとばれるのではと危惧したが友人達にも両親にも他の親しい者達にも気付かれなかった。だが二人共幽体離脱と憑依は自分達の元の身体以外には自由に出来る様になって。
夜になると身体から魂を出して毎晩話したりする様になった、二人は昼は会うことはないがそれでもだった。
毎晩親しく話していった、それである晩相手の娘が梨羅に言ってきた。
「冗談抜きで私達血縁関係じゃないの?」
「それね」
魂だけの梨羅も相手の言葉に頷いて返した。
「本当に名前以外全く一緒だからね」
「これが頭の出来とか好みもだから」
「それじゃあね」
「絶対に血縁関係あるわよね」
「ええ、生き別れの姉妹とか」
「それ絶対にあるわね」
「そうであってもおかしくないわよ、若しくは」
梨羅はここでこうも言った、二人共夜空の上にぷかぷかと浮かんで向かい合って座って話をしている。服装はそれぞれが寝ている時に着ているパジャマ姿で身体が透けている。
「お父さんかお祖父ちゃんの愛人とか」
「あっ、実は私のお祖父ちゃんって」
相手の娘が梨羅の言葉に気付いて言った。
「凄い浮気者で有名だったのよ。もう死んだけれど」
「うちのお母さんの本当のお父さん、私の本当のお祖父ちゃんもだったわ」
梨羅もそうだと答えた。
「お母さんがそう言ってるわ」
「うちのお母さんもよ。実はうちのお母さんってお祖母ちゃんが結婚する前の子供でお母さんを産んでからお祖父ちゃんと結婚したんだけれど。お祖父ちゃんが凄くいい人で連れ子がいてもって言って結婚してお母さんも大事に育ててくれて私も可愛がってくれてるけれど」
「ちょっと待って、それって」
ここで梨羅ははっとなった、それで相手の娘に言った。
「若しかして」
「若しかして?」
「あんたのお母さん実は」
「あんたのお祖父ちゃんが浮気して出来たとか?」
「そうじゃないの?」
こう言うのだった。
「何かこれね」
「ううん、有り得るわね」
相手の娘も頷いた、それで二人でお互いの祖父のことを家族に聞いてみるとだった。
梨羅の母方の祖父と相手の娘の本当の母方の祖父は同じ人だった、つまり梨羅の母と相手の娘の母は腹違いの姉妹だった。だが母親同士はお互いの存在を知らなかった。
このことがわかってだ、二人は幽体離脱をした夜に二人で話した。
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