| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

実は死んでいて

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

               実は死んでいて
 星谷梨羅が死んでいることは彼女以外の誰も知らない、梨羅は友達と一緒に山に遊びに行った時に崖から落ちて死んだのだ。
 しかし非常に幸運なことと言うべきか死んだその場に彼女と外見も年齢もひいては血液型さえも同じ少女の遺体があってそこに移れたのだが。
 移ってからだ、梨羅は気付いて言った。
「あれっ、何か私って」
「入れ替わってる?」
 これまで梨羅の身体も起き上がって言ってきた。
「どうも」
「そうよね」
「声まで同じで」
「何かね」
「いや、私が二人いるみたいな」
「そんなのよね」
 二人で言い合う、しかもだった。
 これまで梨羅の身体にいた少女が自分の名前を言った、そして梨羅もそうした。相手の娘は崖のところを歩いていてつまづいて頭を打って死んでいた。そこに崖から落ちた梨羅が来たのだ。
 二人はこのことがわかってだ、お互いに言い合った。
「これからどうする?」
「どうするってね」
「とりあえずお互いの身体に戻る?」
「そうする?」
 こう話してとりあえず幽体離脱しようとしてみると何と自分が思うままに出来てそれで自分達の本来の身体に戻ろうとしたが戻れなかった、だが相手の身体には自由に入ることが出来た。それで梨羅も相手の娘も話した。
「何、これ」
「あんたもそう思うわよね」
「それはね、何で相手の身体に戻れてね」
「自分の身体には戻れないのか」
「外見も背も同じだけれど」
「何で自分も身体には戻れないのよ」
 二人共このことがわからなかった、だがどうしても自分の本来の身体には戻れず困っていたが二人は戻れないことはどうしようもないと思ってだ。
 梨羅からだ、相手の娘に言った。
「顔も身体も背丈とかもかわらないし」
「お互いに確認した血液型も同じだしね」
「スリーサイズも大体同じときた」
「違うのは名前と今着ている服だけって」
「じゃあ服替えたらね」
「そのまま何もなかったってことで通じるわね」
「それじゃあもう仕方ないわね」
 身体が違っていてもそっくり同士なら同じだ、それならと思ってだった。
 二人は服を取り換えてそうしてだった、お互いの身体だけ違っているが自分達だけが知っていることとしてことを済ませた、だが服をそれこそ靴や靴下や下着まで交換してからだった。
 梨羅からだ、相手の娘に話した。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧