空に星が輝く様に
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212部分:第十五話 抱いた疑惑その十六
第十五話 抱いた疑惑その十六
「よかったんだけれど」
「ああ。同じクラスだったらな」
「隣のクラスだし。それに」
「それに?」
「今のクラス嫌な奴もいるし」
月美のことだ。このことは自然に言葉に出してしまっていた。
「何か今一つ馴染めないのよ」
「嫌な奴って?」
「何かね。お嬢様ぶっててね」
こう話すのだった。
「それで男に媚びててね」
「そんな奴がいるのかよ」
「そうなのよ。他の面々とは仲良くやってるけれど」
「じゃあいいんじゃないのか?」
「それでも一人だけそういうのがいたら全然違うじゃない」
月美がクラスにいるということだけではなかった。そこに椎名も来る。それで星華の感情はささくれだってしまうのである。どうしても勘に触るのだ。
「だからね」
「それでか」
「そう、それでなの」
二人並んで歩きながら話す。
「今一つね」
「馴染めないってわけか」
「斉宮はどう?」
今度は陽太郎に対して問うた。
「そういうことない?」
「俺は別に」
陽太郎は首を少し捻って述べた。
「ないなあ」
「そう。ないの」
「うちのクラスは平和だしさ。それに」
「それに?」
「クラス委員がしっかりしてるし」
こうも話すのであった。
「それで別にさ」
「いいクラスなんだ」
「喧嘩とかないしさ。仲良くやってるよ」
「私そのクラス行きたかったな」
陽太郎のその顔を見ながらの言葉であった。
「本当にね」
「こっちのクラスにか」
「斉宮のいるクラスにね」
ここでは三度己の感情を出してしまっていた。
「やっぱりね」
「中学校の時みたいにか」
「うん」
顔を正面に戻してこくりと頷いた。
「そう思うわ」
「二年になればそうなるかな」
「なったらいいね」
「だよな。あの時みたいにな」
「ずっとあのままだったらよかったかな」
星華の顔は自然と俯いてしまっていた。
「中学校の時みたいに」
「そうだよな。俺もそう思うよ」
「斉宮もなの」
「あの時はあの時で楽しかったしな」
彼は今も楽しんでいる。それが出ている言葉だった。
「だからさ」
「それでなの」
「また。一緒に皆で騒ぎたいよな」
「皆で、なの」
「ああ、皆でさ」
陽気な口調で星華に返す。
「騒ぎたいんだけれどさ」
「いいわね」
星華もであった。彼のその言葉に笑顔で頷いた。そしてそのうえで言う。
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