空に星が輝く様に
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184部分:第十四話 夏の終わりにその二
第十四話 夏の終わりにその二
「それで大成功」
「成功はいいけれどよ」
陽太郎はそのことは認めた。しかしであった。
「あのな、それでもな」
「文句あるの?」
「俺は全部御前に仕組まれたってのかよ」
「私はつきぴーの友達」
「それはもうわかってるよ」
「だからつきぴーの為にする」
あくまでこう言うのだった。
「そういうこと」
「ったくよ、何て奴だ」
陽太郎は憤懣やるかたない様子だった。
「こんな裏があったのかよ」
「けれどだよ」
だがここで赤瀬が言ってきた。椎名の横でこれでもかという程巨大なパフェを食べながらだ。そのうえで陽太郎に対して言ってきたのである。
「それでも斉宮にとってよかったと思うよ」
「俺にとってもか」
「椎名は嫌いな相手には容赦しないし」
「ああ、そんな風だな」
「西堀さんとの付き合いも許さないしね」
「変な奴は絶対に近付けない」
椎名自身もそれは断言した。
「つきぴーに群がる悪い虫は全部駆除する」
「物騒な言葉だな」
「けれど言い換えればだよ」
また赤瀬が陽太郎に話す。
「斉宮が西堀さんに相応しい相手って認めてるってことだよ」
「そういうことか」
「そういうことだよ。だから斉宮にとってもいいことだよ」
「言われてみればそうだな」
ここで陽太郎も頷くことができた。
「そうだよな」
「そうだよ。それでさ」
「ああ」
「椎名はまだ言いたいみたいだよ」
こう彼に言うのだった。
「まだね」
「そうなのかよ」
「じゃあ選手交代だね」
実にあっさりとした交代だった。
「そういうことでね」
「はい、交代」
その椎名の言葉である。
「そういうことだから。次もね」
「そっちも考えてあったんだな」
「斉宮は誘うと思っていた」
やはり読んでいた。椎名の読みはとにかく凄かった。
「絶対に」
「何でそこまでわかるんだよ」
「誘われたら誘い返す」
椎名が今言うのはこうしたことだった。
「そういうタイプだから」
「凄いな、そこまで読んでるなんてな」
「そうよね」
これには狭山と津島も驚きを隠せない。
「やっぱり椎名って凄いよ」
「天才的じゃないの?」
「何歩先も読んでこそ」
椎名は二人のその言葉を受けながら話す。
「それが軍師だから」
「御前軍師だったのかよ」
「つきぴーの軍師」
こう陽太郎に述べる。
「それが私」
「西堀さんも凄い軍師いるよな」
「そうよね。最強軍師よね」
狭山と津島はここでまた言う。思わず唸っている。
「こりゃ凄いわ」
「死角なしっていうかね」
「三百六十度全部見える」
こんな風にも言ってみせた。
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