レーヴァティン
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第五十四話 吟遊詩人その十一
「料理も楽しまないとな」
「そして景色や街並みもでござる」
「そちらもか」
「全てを観るべきでござる」
そうして楽しむべきだというのだ。
「それが一番でござる」
「何か御前本当にこの辺り好きだよな」
「ミラノやヴェネツィアでござるな」
「本当にな」
「実際に好きでござる、騎士団にいた時から」
まさにその時からというのだ。
「この辺りによく行って」
「そうしてか」
「騎士団全体で楽しんでいたでござる」
そうしていたというのだ。
「まことに」
「そうだよな、確かにここはいい場所だよ」
今まで通っていたヴェネツィアのことからだ、久志は述べた。
「本当にな」
「はい、土地もよく資源も豊富で」
順一は政治面から話してきた。
「交通の便もいいので」
「この島を統一しようと思ったらか」
「最初に旗揚げするのはこの場所でしょうか」
「ここが一番か?」
「人口も多く小領主が乱立しています」
大きな勢力も存在しないというのだ。
「ですから」
「ここか」
「旗揚げするのなら」
「ここがいいか」
「候補地にしていいから」
しかもかなり有力なだ。
「この島全体から見ますと」
「こんなにいい地域はないか」
「はい、ここで旗揚げをしてです」
そうしてというのだ。
「さらにです」
「この地域を統一して大きな勢力になってか」
「そしてです」
「他の地域にも進出してか」
「島全体の統一です」
それを果たそうというのだ。
「そうなります」
「そうだな、じゃあ旗揚げの場所はな」
「この辺りを筆頭候補とするといいでしょう」
「そうなるか、やっぱり拠点も選ばないとな」
「人口が少なく産業も乏しく辺鄙な場所ですと」
「旗揚げしてもな」
「そこから先に進むことは困難です」
勢力の拡大、そして島の統一とだ。
「そうなりますので」
「だからだよな」
「本拠地はしっかりと選びましょう」
「最初のそれはだな」
「はい、是非共」
「このヴェネツィアを見ると本当にな」
実にとだ、久志もこの街を見回ってきたことから順一に話した。
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