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168部分:ラグナロクの光輝その二十二


ラグナロクの光輝その二十二

「さあおいで下さい」
「その時にまた」
「御会いしましょう」
 九人の乙女達の乗る戦闘機は姿を消した。後には七人の戦士達の艦隊だけが残った。だが彼等も今その道が見えていたのであった。
「行くか」
 ヴァルターが他の六人に対して声をかけてきた。
「ムスペッルスヘイムにか」
 ジークフリートがそれに応える。
「全ての運命の鍵があるあの星系に」
「いよいよ俺達が」
 タンホイザーとトリスタンも言った。
「そこにニーベルングもいる」
「ヘッ、役者が勢揃いってやつだな」
 ローエングリンとジークムントも。六人の意見は一致していた。
「十二月です」
 パルジファルはそれに答えた。
「十二月にあの星系に。宜しいですね」
「ああ」
「全ては十二月か」
「それまではムスッペルスヘイムへの道を確保したうえで勢力圏を拡大しましょう」
「少しずつでも帝国の力を削いでおく、か」
「そうです。そうすればムスペッルスヘイムでの戦いが少しでも楽になります。今後も含めて」
 パルジファルはそう一同に述べた。
「わかった。では十二月だな」
「はい」
「その時にムスッペルスヘイムに」
「皆、遅れるんじゃねえぜ」
 七人は今はムスペッルスヘイムには向かわなかった。ケルンを、そしてムスッペルスヘイムへの道を確保したうえで帝国の力を削ぎ自分達の勢力拡大に取り掛かった。そうして力を蓄えているうちに十二月になった。連合軍はケルンにその主力を集結させていた。その数は五十を越えていた。パルジファルの下に多くの艦艇が集められていた。彼等は主力を彼の統率下に置いてきたのだ。六人の艦隊は七つのままでパルジファルのものが増えていた。
「宜しいですか」
 七人はグラールの会議室に集まっていた。七隻のケーニヒ級戦艦が銀河に並んでいる。
「遂にこの時が来ました」
「運命の鍵を手に入れる時が」
「来たのだな」
「それでは」
「そうです、ムスッペルスヘイムに向けて進撃を開始します」
 パルジファルはヴァルター、タンホイザー、ジークフリートの言葉に応える形で言った。
「それで宜しいですね」
「うむ」
「異存はねえぜ」
「この時を待っていた」
 それにローエングリン、ジークムント、ジークフリートの三人が頷く。先の三人もそれは同じであった。
「それでは」
「ああ」
 今度は六人の言葉が揃った。
「あの星系を攻め落とそう」
「それでは早速作戦会議に入りましょう」
 パルジファルの動きは迅速であった。彼はすぐに作戦会議に入ってきた。
「まずはムスペッルスヘイムの星図ですが」
 七人の上に星図が浮かび上がった。それは三次元に映し出され半透明の姿を現わしている。
「こちらです」
「ううむ」
 六人はその星図を見てまずは唸った。
「これはまた」
「話には聞いていたが」
「まず最大の特徴として九つの恒星です」
 パルジファルはレーザーでその恒星達を指し示した。
「この星達が複雑な重力と磁気を発しています」
「進行が困難だということだな」
「はい。また恒星により敵が隠れ易くなっております」
「ふむ」
「そのうえ惑星、衛星も多く存在しております。帝国軍がそこに防衛用兵器を多数配備していることも予想されます」
 そう報告される。
「実に戦いにくい星系だな」
「こんな星系ははじめてだ」
「そしてその中の惑星の一つスルトですが」
 今度は惑星の一つにレーダーが当てられた。
「問題はここです」
「そこか」
「はい。このスルトにニーベルングがいるのです」
「ふむ」
 それは最も奥にある恒星の軌道上にある衛星の一つであった。見れば真っ赤な星である。
 
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