レーヴァティン
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第五十一話 川旅その三
「それが大きいね」
「トランプとかルーレットとか」
「どれをするかだけれど」
「君はどれが好きなのかな」
「トランプだよ、あれならね」
笑って剛に話した。
「絶対に勝てるから」
「そうなんだ」
「ただルーレットはね」
「ああ、あれはね」
「もう完全に運じゃない」
「だから儲ける時は」
「しないよ」
はっきりとだ、淳二は剛に答えた。
「勝てるかどうかわからないならね」
「儲けたい時はなんだ」
「しないんだ」
「そこはしっかりしてるんだ」
「ルーレットはね、もう本当にね」
それこそとだ、淳二は笑いながらも確かな声で話した。
「スリルを楽しみたいもので」
「当たるか外れるかの」
「確実に儲けるものじゃないんだよ」
「じゃあ儲けようと思ったら」
「トランプだよ」
こちらのギャングるだというのだ。
「これをしているんだ、いつも」
「そうなんだ」
「それでね」
「今回もだね」
「うん、やるなら」
儲けるならというのだ。
「そっちかな」
「儲けたいんだ」
「気分的にね」
「じゃあ今からだね」
「狙い目はあの人達かな」
柄の悪そうな、海賊にも見える者達を見つつ言った。
「ああした手合いはね」
「儲けやすいんだ」
「すぐに頭に血が上るからね」
「ああ、それで我を忘れて」
「一発逆転を何度も狙うから」
「そこを狙ってなんだ」
「カモにするんだよ」
淳二は剛に明るく笑って話した。
「何気なくを装って近付いてね」
「そうして儲けるんだね」
「そうだよ、しかもああした手合いは大抵悪い奴だし」
見ればまともな人相の者は一人もいない、如何にもという者達ばかりだ。
「儲けてもいいんだよ」
「お金を巻き上げても」
「悪党からはどんどん搾り取る」
「君の考えだね」
「盗賊は盗む相手を選ぶんだ、本当の盗賊はね」
「悪い奴から盗むんだ」
「巻き上げることもね」
そうしたこともというのだ。
「悪い奴からだよ」
「いい人からは盗まないんだ」
「そうだよ」
「巻き上げることもしないんだ」
「そんなことはしたら駄目だしね」
相手が善人ならというのだ。
「そこはちゃんとしないと」
「けれど悪人はだね」
「悪人ならね」
「どうせ悪いことをして手に入れたお金だし」
「取ってもいいじゃない」
盗もうが巻き上げようがというのだ。
「そうしてもね」
「何かよくある理屈だね」
「本物のシーフはそうなんだ」
「悪人から奪う」
「あと迷宮とかで手に入れる」
所謂お宝というものをだ。
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