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レーヴァティン

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第五十一話 川旅その四

「そういうものだからね」
「是非にだね」
「ギャンブルでもね」
「そうした如何にもという連中からだね」
「巻き上げる様にしてるんだ、だからね」
「今もだね」
「ちょっとやろうかな」 
 そのどう見てもまともな連中でない客達を見て言った、見れば飲み方も言葉遣いも仕草も下品で話している内容も物騒だ。
「ああした連中は巻き上げて怒ってきたら」
「叩きのめすんだな」
 そこから先は正が言った。
「俺もよくやったけれどな」
「君もなんだ」
「こっちの世界に来てな、俺はギャンブルはしないけれどな」
「揉めることは多いんだね」
「それで揉めたらな」
 その時にというのだ。
「叩きのめしてたんだよ」
「そうしてたんだ」
「弓矢を使わなくてもああした連中じゃな」
「素手でだね」
「充分だ」
 武器を使うまでもないというのだ。
「それでだよ」
「いつもだったんだ」
「ああ、そうした連中と揉めた時はな」
「叩きのめして」
「こうして水が傍にあるとな」
 その時はというと。
「蹴落としてたな」
「それで死んでも」
「知るか、蹴落とすのはもう生きる価値もない様な連中ばかりだったしな」
 正の主観で、だ。ただし彼もそうそう完全な主観でそこまで極端なことはしない。何処からどう見てもな連中に対してだけしてきた。
「死んでもいい奴っているだろ」
「ヤクザ屋さんみたいな」
「そんな連中はな」
 もうそれこそというのだ。
「叩きのめしてな」
「川に蹴落としてたんだ」
「そうしていたな、何度か」
「じゃああの連中も」
「俺だったらそうする」
 若し自分達に何かをしてくればだ。
「絶対にな、それで御前もか」
「もう何かしてきたら当身だよ」
 淳二は正にも明るく笑って話した。
「急所を叩いてね」
「気絶させるか」
「そうするよ、おいら達が起きている世界では柔道のね」
 今は技とは採用されてはいない、世界柔道連盟の規定においては。
「それだよ」
「叩いてか」
「気絶させて」
「終わりか」
「シーフは何をするか」
「戦いでもか」
「相手を倒すにしても素早く簡潔にだから」
 そうして余計な時間をかけないというのだ。
「そうしたものだからね」
「余計な時間をかけると隙も出来るしな」
「そうそう」
 まさにとだ、淳二は正に明るく話した。
「盗む時もそうだよ」
「時間をかけるとな」
「隙が出来るから」
 まさにそれが問題だからというのだ。
「しないよ、隠れて素早く」
「忍者と一緒だしな」
「近いしね、実際に」
 忍者と盗賊はとだ、淳二は二つの職業についてはこう答えた。
「正直なところ」
「そうだな、忍者も結局はな」
 今度は久志が言ってきた。 
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