ロボスの娘で行ってみよう!
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第25話 年貢の納め時
少ししか変わってません。
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第25話 年貢の納め時
宇宙暦789年2月25日
■自由惑星同盟首都星ハイネセン ハイネセンポリス
第三次ティアマト会戦の正式発表が未だなされていないこの日アレックス・キャゼルヌの結婚式である。
式場には、直接間接にヤン知っている軍高官の姿も散見された。キャゼルヌ中佐は将来を嘱望される少壮気鋭の英才なのだ。結婚相手が高官の令嬢じゃないのを残念がる声も聴こえるが、閨閥を重要視する輩には、勝手に残念がらせておけばい良い。
「次はヤン先輩の番ですね、是非呼んで下さいよ」
ヤンよりは礼服が似合うアッテンボローが囁いた。
「相手がいる分、アッテンボローの方が先だな」
ヤンは見事にやり返していると、新郎のキャゼルヌが軍官僚の表情で歩み寄ってきた。
「ケーフェンヒラー老人の遺した資料は、B級重要事項に指定されたよ。つまり今後25年間の封印という訳だ」
何となく襟元を指で弄ぶヤンを見ながら、キャゼルヌは声を潜めた。
「此で良かったのか。お前さんの名前で発表するなら、需要事項扱いは免れた思うが」
「あれはケーフェンヒラー大佐の調査した事とリーファの証言です。私はそれを纏めただけですからね25年も経ったら、もっと才能のある人が出てきて、定説を立ててくれるでしょう」
花嫁と話していた、リーファがキャゼルヌと入れ違いにやって来た。
「ヤン先輩、やはり封印ですね」
「そうだね」
「まあ、仕方が無いと言うわけですね」
「自分の手柄じゃないからね」
「そんな先輩、好ましいですよ」
リーファは真剣な表情で話していたが、その後でアッテンボローをロボス校長の下へと引き連れて行った。
宇宙暦789年6月30日
■自由惑星同盟首都星ハイネセン テルヌーゼン市
この日士官学校の卒業式があった、本年度は第三次ティアマト会戦での大敗北による下級将校の不足により、普段であれば後方勤務しか向かない人材までが艦隊に配属される結果となり、後方勤務本部などの裏方に新人が殆ど配属されない異常事態と成った。
その卒業生の中で103位の成績で卒業を迎えることになった、ダスティー・アッテンボローは憂鬱であった。何と言っても両親や苦手な姉達が地元からお祝いに駆けつけているのであるからであり。更にリーファ一家との顔合わせが行われるのである。
卒業式後の謝恩会では未だ家族が来ていない為にのびのびと出来たが夕方待ち合わせ場所のレストランに到着する頃には逃げ出したい気分で一杯であった。
レストランの個室では、アッテンボローの家族が待っていた。
「ダスティー、こっちこっち」
「お前も、無事卒業できるんだね」
「お帰りダスティー」
家族の声に取りあえずは返答をする。
「無事卒業しました、クソ親父」
「ふ、未だ未だだな」
「フフフ、どの口が言うのかな」
家族の会話が進む。
「ダスティー、そろそろ先方がいらっしゃるのよね」
「母さん、まあ焦らずに」
「どんな子かしら」
「ダスティーはどうなの?」
「いやー・・・・」
「照れない照れない」
その様なたわいもない話をしているとボーイがお連れ様がいらっしゃいましたと案内してきた。
ロボス中将と奥方それに兄とリーファがやって来て両家共に挨拶をする。
「始めまして、ラザール・ロボスと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、パトリック・アッテンボローと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、マリーヤ・ロボスと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、アンナ・アッテンボローと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、シャルル・ロボスと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、キャサリン・アッテンボローと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、エーリカ・アッテンボローと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、ミリア・アッテンボローと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、ダスティー・アッテンボローと申します、この度はよろしくお願いいたします」
「始めまして、リーファ・ロボスと申します、この度はよろしくお願いいたします」
こうして家族の自己紹介が終わると話が始まった。
「ロボス中将は士官学校の校長だそうですが、現在の同盟軍の教育制度についてどう思いますかな」
いきなりパトリックが記者根性で聞いてきたが、アンナが黙らせた。
「貴方、今日は取材じゃないのよ」
「済まん」
「リーファさんは、お料理がお上手なんですってね」
ダスティーは何故それを知っているかのと言う顔をする。
「母さん、俺何も言ってないけど」
「キャゼルヌさんからご連絡があってね」
「中華が得意です、お母様」
リーファは完全に猫を被っている。
「リーファさん今度食べさせてよ」
「はい、お姉様」
和気藹々と話が弾む、特にシャルル・ロボスとミリア・アッテンボローが非常良い雰囲気になっていたのが印象的であった。
この日正式にリーファとダスティーの婚約が決まり、結婚はダスティーが23歳になる792年と決まった。それでだけはダスティーに対してリーファが譲歩したのである。
ダスティー・アッテンボロー年貢の納め時に成った日であった。
その後宇宙暦790年にリーファの兄シャルルとダスティーの姉ミリアが結婚した為、両家の絆が更に強まったのである。
宇宙暦790年6月30日
■自由惑星同盟首都星ハイネセン テルヌーゼン市
士官学校卒業式のこの日成績が落ちまくったアンドリュー・フォークが騒いでいた、自分が18位に落ちたのが信じられないと喚いたのである。更に配属先が希望した統合作戦本部及び宇宙艦隊司令部ではなく後方勤務本部で有ることも苛つきの原因であった。
支持力を使ってロイヤル・サンフォード議員の横やりを頼んだが、一昨年の敗北の影響で今政治的に動けないと言われて余計に腹が立っているのである。
鬱積した怒りを何処へ向けるのかが問題であった。
宇宙暦790年から791年までは両軍ともイゼルローン回廊外縁での小競り合いに終始し大規模な戦闘が行われることがなかった。
同盟軍は791年後半に再度惑星カプチェランカに基地を設営、同年帝国軍も基地を増強し一進一退の戦闘を続けていた。
その間に第二、第三艦隊も定数に戻り再編成が完了した。
宇宙暦792年時点の各自の階級と役職は以下のようである。
ラザール・ロボス大将 士官学校校長
シドニー・シトレ大将 宇宙艦隊司令長官兼第八艦隊司令官
ドワイト・グリーンヒル中将 第四艦隊司令官
ヤン・ウェンリー少佐 宇宙艦隊総司令部作戦課
マルコム・ワイドボーン少佐 宇宙艦隊総司令部作戦課
ダスティー・アッテンボロー中尉 第四艦隊作戦課
ウランフ少将 第八艦隊副司令官
ボロディン少将 第四艦隊参謀長
ビュコック少将 第十一艦隊副司令官
パエッタ少将 第八艦隊分艦隊司令官
コーネフ中将 第二艦隊司令官
ルフェーブル中将 第三艦隊司令官
リーファ・ロボス少佐 統合作戦本部作戦課兼宇宙艦隊作戦課
スーン・スールズカリッター中尉 統合作戦本部作戦課
イブリン・ドールトン中尉 統合作戦本部作戦課
アーサー・リンチ中将 第十一艦隊司令官
アンドリュー・フォーク中尉 後方勤務本部兵站科
ヨブ・トリューニヒト 国防委員会副委員長
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