ドリトル先生と和歌山の海と山
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第一幕その四
「一つ思うことがあるんだ」
「っていうと?」
「何かあったの?」
「思うことっていうと」
「それは」
「うん、空海上人と最澄上人が同じ時代の人達で交流もあったということはお話したね」
動物の皆にこのことからお話する先生でした。
「このことは」
「そのことには驚いたよ」
「まさか同じ時代に偉大な人が二人もいるなんてね」
「しかも交流もあったって」
「凄いね」
「うん、お二人は最初仲がよかったんだよ」
つまりお友達だったというのです。
「それが色々とあってね」
「仲が悪くなったの?」
「ひょっとして」
「そうなの?」
「そうなったんだ、最後は交流がなくなったんだ」
仲が悪くなってというのです。
「残念なことにね」
「そうだったんだ」
「最後はそうなったんだ」
「折角仲がよかったのに」
「偉大な人達が」
「徳を備えていた人達だったけれど」
かなりの修行を積んだ結果です。
「それでもね、人間だとね」
「どうしてもだね」
「感情のもつれとかあって」
「そうしてだね」
「最後は仲違いしちゃって」
「交流も絶えたんだ」
「そうだったんだ、ただ最澄さんが先に亡くなってね」
そうなってしまってというのです。
「空海さんはかなり悲しんだらしいよ」
「仲違いしても情はあったんだ」
「その学識やお人柄を惜しんで」
「そうして悲しまれたんだね、空海さんも」
「そうだったんだね」
「そうだと思うよ、人間は一時仲違いもして」
そうしてというのです。
「仲直りもして情もあってね」
「亡くなった時に残念にも思う」
「そうなるんだね」
「心があると複雑ね」
「何かと」
「僕達だってそうだね」
このことは空海さんだけでないというのです。
「何かとだね」
「そうだね、仲違いしてもね」
「それでも仲直りもして」
「仲違いしたままでもお亡くなりになったら残念に思ったり」
「そうなるわね」
「そうだね、本当にね」
こうしたことはというのです。
「人間の情だね」
「それなんだね」
「僕達にも心があるしね」
「お別れになったら悲しいし」
「残念にも思うわ」
「それで空海さんも思ったらしいよ」
最澄さんがお亡くなりになった時にです。
「残念だとね」
「複雑な関係ね」
「仲がよかったのに仲違いして」
「それでお亡くなりになったら残念に思って」
「複雑なものがあるわね」
「人間とはそうしたものだね、まあ今は最澄さんとのことは書かないよ」
それはないというのです。
「真言宗のことを書くからね」
「空海さんのね」
「じゃあ最澄さんはまた今度?」
「学んで論文を書くにしても」
「そうなるのね」
「うん、空海さんについての論文を書いたらね」
それが終わってからというのです。
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