レーヴァティン
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第四十七話 海はなけれどその三
「起きた時の世界でもな」
「厳しい気候の北欧で海の中を船で進んで戦うこともあって」
「兜に装飾とかがあるとな」
「余裕がないしね」
そもそもそうした装飾を付けるだけのだ。
「しかも戦いの時の邪魔にもなるし」
「それでだよな」
「本来のバイキングはね」
「ああした角はなかったんだな」
「他の装飾もね」
「そうだったんだよな」
「剣もです」
進太は騎士、剣を持つ者として彼等の大きな剣を見て言った。
「余計な装飾はありません」
「シンプルな造りだよな」
「機能性をあくまで重視した」
「両手で持って一気に叩き斬るんだな」
「そうしたものです、片手で持つこともあるでござろうが」
基本はというのだ。
「そうした剣です」
「バイキングソードだな」
「左様、それです」
まさにバイキングの剣ということだ、見れば確かにシンプルな造りだ。
「あの剣は、そして斧もありますが」
「やっぱりバイキングは斧だよな」
もう一つのトレードマーク、兜の角以外にもそう思われているそれがあるのならとだ。久志は安心して行った。
「それはあるんだな」
「斧は戦い以外にも使えますから」
順一が斧について述べた。
「ですから」
「船の中にいてもな」
「何かを断ち切ったり敵の舟を引き寄せたり」
斧の刃の部分のところに引っ掛けてだ。
「何かと使えますので」
「だからだよな」
「斧は必須です」
バイキング達にとってというのだ。
「彼等にとっては剣と共にです」
「大切なものか」
「武器であるだけではないのですから」
「剣は権威の象徴でか」
その一面もあるというのだ。
「それで斧は道具か」
「戦いの武器であると共に」
「そうだよな、それじゃあ今からな」
大柄な彼等を見つつ久志は仲間達に話した。
「会ってな」
「話を聞こうか」
「そうしましょう」
正と良太が応えてだった、他の面々も久志と共にバイキング達の中に入った。すると平均して一七五はある彼等、見れば淳二も一行の中では小さいが一七〇はありシーフという職業にしては小さくはなかった。
そのことに気付いてだ、久志はその淳二に言った。
「御前実はな」
「大きいっていうんだ」
「ああ、一七〇あるだよ」
「丁度だよ」
「もっと小さく見えたけれどな」
「背筋を伸ばすとね」
見れば淳二は今実際にそうしている。
「それ位あるんだ、普段はあえてね」
「背中を丸めてか」
「何時でも動ける様にね」
「そうしててか」
「小さく見えるけれど」
それがというのだ。
「背筋を伸ばすとね」
「一七〇か」
「それ位はあるよ」
今の様にというのだ。
「童顔だし余計にわからないよね」
「ああ、しかも俺達全員結構背があるしな」
剛は特にだが他の面々もである。
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