レーヴァティン
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第四十七話 海はなけれどその四
「それでか」
「相対的に小さく見えていたんだよ」
「けれど実際はか」
「まあこっちの島の人達も大きいしね」
「小さく見えているんだな」
「そういうことなんだな、しかしな」
ここでまた言った久志だった、今度は自分達の周りにいるバイキングの面々を見ている。そうして言うことはというと。
「冗談抜きでな」
「バイキングの人達はね」
「大きいな」
「そうだよね、皆普通に一九〇あるな」
「ガタイもいいしな」
つまり身体つきもというのだ。
「それでな」
「うん、特別大きいね」
「バイキングは大きいってイメージあったにしろ」
「実際にそうだね」
「巨人かよ」
こうまで言う久志だった。
「俺達より頭一つ大きな人も普通にいるな」
「私達の世界のバイキングは」
ここで良太が話してきた、彼にしてもバイキングの中では子供の様だ。
「実は平均身長は一七〇程でした」
「あれっ、小さいな」
「しかしそれでもです」
一七〇程の背でもというのだ。
「当時の西洋人から大男の集団だと思われていました」
「当時の西洋人が小さかったんだな」
「はい、そのせいで」
この時も相対的だったのだ、大きさというものはえてして相対的なものであり自分達が小さいと自分達より大きな相手はどうしてもそう見えるのだ。
「バイキング達はです」
「大きかったんだな」
「例えば当時のローマ人の平均身長は一六〇位でした」
このことは当時の鎧からわかることだ、武田信玄や上杉謙信もそれ位の背丈だったことは彼等の具足からわかったことだ。
「十九世紀初頭のフランス人の平均もです」
「それ位か」
「はい、摂取していた栄養の関係で」
「そんなものだったんだな」
「ですからナポレオンも実は」
小柄だったという彼もだ。
「身長は一六七か一六九だったそうで」
「何だ、大きいぜ」
「周りの将軍達や近衛兵が大きかったので」
近衛兵の入隊基準は身長一七八以上だった。
「それでなのです」
「小さく見えていてか」
「実は当時はです」
フランス人達の中ではだ。
「むしろ高い方でした」
「そうだったんだな」
「はい、そしてバイキング達もです」
彼等の世界の欧州を荒らし回った彼等はだ。
「一七〇程でもです」
「大男の集まりだったか」
「そうでした」
「成程な」
「そしてこちらの世界ではです」
「ああ、この島は食いものが一杯あるからな」
どう見ても中世の欧州ではだ、その象徴がジャガイモである。これがあると痩せた土地でも糧を得られその分食べものが豊富になる。
「だからか」
「どの人も体格がよく」
中世の欧州の人間達よりもだ。
「バイキングもです」
「こんなにでかいんだな」
「生きものは寒冷地では大きくなりますし」
「それ言われてるな」
「ですから」
「皆こんなにでかいんだな」
プロレスラーかラガーマンかとだ、久志は内心バイキン達を見て思っていた。
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