とある3年4組の卑怯者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
127 校内暴力(テロ)
前書き
盛岡へのアクセスについて、今は新幹線や飛行機、高速バスで移動が楽になりましたが、「ちびまる子ちゃん」の世界の時代設定ですと当時は東北新幹線は未開業、静岡空港は存在しておらず、東北自動車道も一部しか開通していませんでした。ですから、清水~東京間は東海道本線と東海道新幹線で行けますが、東京からは上野駅から「はつかり」などの東北本線の特急列車か羽田空港から花巻空港行きの飛行機で行くしか手段がなかったのです。
堀内は山口やその子分と復讐の打ち合わせをしていた。
「それで、ムカついた生徒や先公、誰でもボコボコにしちまエばイイぜエ!」
「面白くなってきたな!!」
打ち合わせは終了し、お互い別れた。
(テメエら見てやがれよ、クソどもが!!)
藤木は家に帰ると、机にしまっていたあるストラップを取り出した。これは以前、遊園地に行った時、笹山と会って共に楽しんだ記念に買った猿の形のストラップだった。
(笹山さん・・・。僕は君の気持ち嬉しかったよ・・・)
藤木はこのストラップを全国大会においてお守りとして持って行く事を決めた。
翌日、藤木は学校で山根から声を掛けられた。
「ところで藤木君、スケートの全国大会ってどこでやるんだい?」
「盛岡だよ。東北の方なんだ」
「そうか。遠いね。応援に行きたいと思ったのにな・・・」
「うん、花輪クンが連れて行ってくれたらいいんだけどね・・・」
その時、小杉が急に話に入ってきた。
「おい、スケートの大会の場所が盛岡だって??おい、そこにはどんな美味いもんがあるんだ!!??」
「小杉君・・・。し、知らないよ、そんな事!」
「なんだ、調べとけよ!!」
「小杉君、藤木君は美味しいものを食べに行くんじゃないんだよ!スケートの大会に出るために行くんだよ!」
「うるさい!!俺は食い物だけが知りてえんだ!!」
小杉はなんで食べ物の事しか考えないのだろうかと藤木と山根はいつも思った。以前城ヶ崎がピアノの応援で大阪に行く事になった時も小杉は食べ物目当てで大阪に行き、城ヶ崎の応援は全くしなかった。肝心のコンクールでは終始寝ていたのだ。
「小杉君、悪いけど君は食べ物以外何も考えられないのかい?それに花輪クンも必ずしも連れていってくれるとは限らないんだ。どんな食べ物か知りたければ自分のお金と足で行って確かめる事だね」
「ちっ、なんだよ!!」
小杉は残念そうに自分の席に着いた。その時、丁度リリィが現れた。
「どうしたの?」
「ああ、リリィ、小杉君がね、今度のスケートの全国大会の場所の盛岡の名物何か聞いてきてさ、知らないって返したら調べとけって怒ったんだよ」
「そういえば小杉君っていつも食べ物の事ばかりよね。他の事に興味持つ事ないのかしら?」
「しっ、聞こえるよ!」
藤木は忠告した。しかし、小杉はこちらの方に顔を向ける事なく、「あ~、腹減った」と呟いていた。
「ところで藤木君、氷滑りの大会って盛岡って言わなかった?」
「うん、ここから遠いよ。新幹線で東京まで行ってそこからまた特急列車か飛行機だからね」
「そう、花輪クンがまた連れて行ってくれるかしら・・・。私は自腹でも応援に行きたいけどパパとママが許してくれるかしら・・・」
「リリィ・・・」
「でも、頑張ってね!行けなくても私は藤木君を応援するわ!」
「う、うん、ありがとう!」
朝礼が終わり、授業が始まった。2組の教室は堀内がいないと皆肩の荷が下りたような気分だった。なぜなら勝手に教室を出ていって他の授業の邪魔をしたり、クラス内でも皆の迷惑になるからむしろ謹慎しているとむしろ好都合なのだ。2組は社会の授業中だった。その時、窓ガラスがガシャン!と割れた。皆がざわついた。
「な、何だ!?」
皆は窓を見た。何人かの人物がそこに走っていた。体育の授業を行っているクラスではないようだった。第一体育を行っているクラスはいない。
「あいつらがやったみたいだな・・・」
朝倉は窓を見ると、一人の人影を見た。それには見覚えがあった。
「おい、あれ堀内だぞ!!」
皆は驚いた。謹慎中の筈の堀内がこの場にいるのだ。
(堀内・・・、何してんだ!!)
横須は堀内の行動が読めなかった。
「あいつら学校に入っていくぞ!!」
2組は授業どころじゃなくなった。
堀内と山口、そしてその子分達は土足で校舎内に入った。そして階段を駆け上がり、様々なクラスの教室に乱入した。
子分の一人が一年生のクラスに入った。
「ワー!!」
「キャー!!」
「うるせえ!お前らぶっ殺す!」
「ちょっと、何ですか、君は!?」
そのクラスの担任は怒鳴った。しかし、その子分はテニスラケットを取り出して担任の顔を殴った。その先生は顔を抑えて動けなくなった。児童たちは逃げ惑った。
「へへ、お前ら病院行きにしてやるぜ!!」
子分は一台の机を蹴飛ばし、一人の男子児童に当てた。さらにラケットを振り回した。
さらに他の子分や山口、そして堀内達も様々なクラスの教室に入っていった。堀内は自分のクラスである2組の教室のドアを開けた。
「よお、久しぶりだな、テメエら!」
「堀内君、あなた謹慎中でしょ!?何やってるの!?」
南江が聞くも、堀内は「うるせえ!!」と怒鳴った。
「テメエらここで死にやがれ!!」
堀内はバットを振り回した。皆は逃げ出した。
「おらあ、テメエら逃がすか!」
堀内は逃げる者達を殴り倒そうとした。
「堀内君、やめなさい!!」
担任はやめさせようとした。
「うるせえ、テメエにも文句あんだよ!!」
堀内はバットを先生の方へ振り回した。腕を出されたため、顔には当たらなかったが、その際に体当たりした。そして顔を踏みつけた。
「テメエもふざけんじゃねえぞ!!」
堀内はそしてバットで先生の顔を潰そうとした。その時、誰かに後ろを掴まれた。
「やめろ、堀内!」
横須が赤坂、柴田と共に抑えていた。
「おい、テメエら放せ!!」
「先生、逃げてください!」
「え?でも君達は?!」
「ここは俺達が食い止めます!早く!」
「わかったわ!!」
先生は逃げた。横須達は堀内の手からバットを放す事に成功した。
「何考えてんだ、お前は!!」
「うるせえ!!」
堀内は怒鳴った。その時、三人が頭を切りつけられる感触がした。
「な、なんだ!?」
「おう、大丈夫か、堀内!?」
山口の子分が鋸を持って堀内の援軍をしたのだった。
「おう、大丈夫だ!テメエらマジふざけんじゃねえぞ!!」
堀内はバットを拾い、横須、柴田、赤坂を殴りつけ、そのまま去った。
3年4組の生徒達は何の騒ぎかと思うと、戸川先生が廊下に出てみた。そこには逃げ回る他のクラスの生徒達がいた。そして堀内や見知らぬ生徒と共にバットや鋸を振り回している。
「み、皆さん、授業は中断です!!2組の堀内君達が暴れています!!今すぐ校庭に避難してください!!」
「ほ、堀内!!」
藤木は驚いた。なぜ謹慎中の堀内がそんな事をしているのか、それに一人でこんな事ができるのだろうかと疑った。
(一体、何をやっているんだ!?)
藤木達ももちろん教室を出ようとする。しかし、その時、一人の男子が入ってきた。
「おっと、テメエら、簡単に逃がさねえぞ!!」
その男は手持ち花火にライターで点火をして向けた。近くにいたたかしや高宮は火傷しそうになり、避けた。その男子は花火を振り回した。永沢は顔が青ざめていた。
「火、火ーーーー!!やめろ、花火をそんな風に使っちゃ駄目なんだぞ!!!」
(そうか、永沢君はあの火事を思い出してしまったんだ!!)
藤木は永沢の心が分かった。しかし、どうする事もできない。皆が悲鳴をあげて逃げ回る。その時、勇敢にも立ち向かう者がいた。大野と杉山だった。近くにあった椅子を大野が男子に投げつけ、その男子に杉山が体当たりし、花火を取り上げた。
「危ねえじゃねえか!夏でもないのに、しかもこんな所で花火を使うなんてよ!」
「皆!急いで逃げろ!!」
大野は皆に避難を催促した。藤木達も必死で逃げた。他のクラスも逃げる中、廊下の向こうにいたのは・・・。
「ほ、堀内!!」
藤木は恐怖で腰が抜けそうになった。山根が胃腸を痛くして動けなくなった。
「う、い、胃腸が・・・」
「山根君、大丈夫かい!?」
藤木は山根の体を起こそうとした。
「よう、卑怯者。テメエも舐めた真似してたな」
堀内がバットを持って近づいた。
「おい、藤木、山根、大丈夫か!?って、あー、堀内!!」
はまじが二人の元へ寄るが、堀内の姿を見て驚いた。
「浜崎君、山根君が!!」
「分かった!」
はまじは藤木と共に山根を支えるが、堀内がバットを振りかざした。笹山は逃げようとしていたが、藤木が堀内の名を発した時に振り向いた。その時、堀内がバットを藤木、山根、はまじに振り下ろそうとしていたのだ。
「い、嫌!!やめてーーー!!」
笹山は必死で駆けつける。そして堀内を止めようとして体当たりした。幸い、バットは藤木達にも笹山にも当たる事はなかった。
「藤木君達は行って!!」
「え!?そんな!笹山さんを置いて行くなんてそんな卑怯な事はできないよ!!卑怯を治すって約束したのに!!」
「でも藤木君はスケートの大会があるでしょ!こんな所で怪我して欲しくないの!それに山根君が大変じゃない!!急いで逃げて!早く!!」
「そんな・・・」
「藤木!仕方ねーぞ!とにかく山根を連れていくぞ!笹山、死ぬなよ!!」
「うん、浜崎君・・・」
藤木とはまじは胃腸の痛みで動けない山根を連れて逃げた。笹山が「キャー!!」と悲鳴をあげる声が聞こえた。しかし、藤木は振り向く事ができなかった。
(笹山さん・・・。ごめんよ、君を身代わりにして・・・)
後書き
次回:「大混乱」
藤木を逃がした笹山は堀内から暴行を受けながらもその場を抑えようとする。一方、大野と杉山やまる子の姉の友達なども山口の子分らと応戦しようとする・・・。
一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!!
ページ上へ戻る