とある3年4組の卑怯者
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128 大混乱
前書き
堀内と隣町の親分・山口のぼる、そして山口の子分が画策した入江小へのテロが勃発。学校全体が混乱していく中、胃腸を痛くして動けなくなった山根を藤木とはまじが支えて動こうとする所を堀内が襲いかかる。そこを笹山が堀内を止めに入って藤木達を先に行かせた!!
大野と杉山は山口の子分から花火を取り上げた後、それを水道で濡らして消火した。しかし、また別の花火に火を付けた。
「うわあ!こいつ別の花火に火を付けたぜ!しかも両手に!」
二人は両手に花火を付けて振り回している状態ではさすがに危なすぎて近づけない。その男子は追いかけてくる。二人はさすがにその場を離れた。その時、近くの廊下で冬田が大野を、かよ子が杉山を心配そうに見ていた。
「大野くうん・・・」
「す、杉山君・・・」
まる子の姉・さくらさきこの属する6年2組は理科室にて理科の実験を行っていた。その時、見知らぬ男子が入ってきた。その途端、持っていたシャベルを振り回した。皆は逃げ回った。
「ちょ、何よ!?もう!」
さきこは何がなんだか理解できなかった。その男子が振り回すシャベルが実験道具にあたり、ビーカーやアルコールランプが落ちて割れ、ランプの火が燃え上がる。
「ワー!」
「キャー!!」
6年2組の生徒達は急いで逃げた。止めようとするクラスメイトもいたが、シャベルを顔に当てられ、阻止できなかった。
「さくらさん!」
「よし子さん、大丈夫!?」
「ええ、でもパニックなのは私達だけじゃないわ!!」
よし子に言われてさきこは周りを見た。自分以外のクラスの児童達も恐怖を味わうように逃げ回っていた。そして別の男子が野球のボールらしきものを投げては児童に当てているのだった。
「何なの・・・!?」
笹山は堀内と対峙していた。堀内の両腕の手首を掴んでバットに触らせないようにした。
「テメエ、放しやがれ!!」
「嫌よ!藤木君はスケートの大会があるのよ!ここで怪我する訳にはいかないの!!」
「うるせえ!!テメエはそんなに藤木が好きか!?」
「う・・・」
笹山はその問いには答えられなかった。堀内は笹山の腹を足で蹴った。笹山が呼吸できなくなり、そして壁に叩き付けられた。堀内はバットを拾った。堀内はその先を行こうとするが、笹山は必死で堀内に飛びかかった。
「邪魔すんな!!」
「行かせ、ないわ!」
「うるせえ!!」
堀内はバットを振るが、笹山は後ろから掴みかかっているので上手く当たらない。バットのグリップで顔をつついた。笹山は顔に当たらないように伏せた。そして頭に当たった。
(藤木君、無事でいて・・・!!)
藤木とはまじは山根を支えながら走っていた。階段を降りようとした所、下の階でまた別の男子が襲いかかっている所を目撃した。その男子はテニスのラケットを振り回していた。一部の生徒に当てては動けなくしていた。
「危ない事を・・・!!」
「それにしてもあいつらはどう見てもウチの学校じゃねーぞ!」
「それにどこかで見た気が・・・」
藤木は思い出そうとした。そして思い出したら・・・。
「あ!隣町の暴れん坊の子分の一人だ!!」
「な、何だって!?」
はまじも山根も驚きを隠せなかった。
「って事は堀内とあいつらが手を組んだって事か!?信じられねーぜ!!」
そしてその暴れん坊の子分がラケットを三人の方へ振り回した。
「あ、危ねー!」
藤木も、はまじも山根を支えながら移動しているため、避けられない。その時、後ろから六年生と思われる人物二名が後ろから抑えつけ、手からラケットを放し、遠くへ投げ飛ばした。
「あ、貴方達はあの時の!!」
藤木はその男子達を覚えていた。以前自分とリリィ、笹山が上級生の女子に襲われていた所を助けてくれたまる子の姉の友達の男子だった。
「おお、君達は確かまる子ちゃんのクラスの子だね?」
「はい、確かさくらのお姉さんの友達の・・・」
「俺が小山でこっちが根岸だよ」
「あ、そうでした。また助けて貰ってありがとうございます」
「いや、いいんだ。それより校庭に逃げよう!」
「はい!」
皆は校庭に逃げた。しかし、藤木は笹山が心配でならなかった。
(笹山さん・・・)
大野と杉山は花火を振り回す男子から遠ざかろうとしていた。しかし、向こうも近づいてくる。階段の所まで来た時、バシャ!とその男子の後ろから水しぶきが飛んできた。男子が持っていた花火の火が消える。
「な、何だ!?」
その男子が振り向くと、そこには冬田とかよ子が立っていた。二人は大野と杉山を助けようと、5組の教室からバケツを取り出して水を汲んで来たのだ。
「大野くうん!!」
「す、杉山君!!」
「冬田に山田!お前らいたのか!?」
「だって私大野君が心配だったのよお!」
その時、男子が慌てる。
「くそ、花火が全部濡れちまった!!」
その時、大野と杉山はこのチャンスを逃さなかった。二人で男子に飛び掛かった。
「お前、もっとマシな戦い方しろよ!!」
しかし、その時、上の階から二人組の男子が現れた。
「おい、助太刀に来たぜ!!」
「そ、そんなの卑怯だよ!!」
かよ子が叫んだ。
「あん?んじゃ、この二人の女子からやるか!」
「い、いやあ~!!」
冬田は持っていたバケツを投げつけた。
「この野郎!!」
その男子の片方が冬田とかよ子に襲い掛かった。しかし、大野と杉山は止めようとした。
「やめろ!!」
リリィはまる子やたまえ達と共に1階に降りたが、その場所も混雑していた。そして悲鳴をあげたり、また別の場所へとへと逃げ惑ったりしていた。
「フハハハ!簡単に逃がしはしねエぞオ!!」
リリィはどこかで聞いた事のある声だと思った。顔が見えるようになると、それだけで恐怖を感じた。あの顔には見覚えがあった。以前とある公園を自分の縄張りにしようとしていた隣町の暴れん坊だった。その男は以前のように縄跳びに使う縄を使用していたが、それだけではない。その先に出刃包丁を括り付けて振り回していた。
「アア!?テメエはイツかの外人女じゃねエか!ここで借りを返してやるよオ!へへ!!」
山口もリリィに気づいた。山口は出刃包丁が付いた飛び縄を振り回す。多くの生徒達が避けようと逃げた。リリィは恐怖で寧ろ動けなかった。出刃包丁がリリィを襲う。その時、誰かがリリィの盾となった。花輪だった。花輪は腕で出刃包丁を弾いた。その際、袖が切れていた。
「はあ、こんな物を振り回しちゃ危ないじゃないか、senhor」
「テメエはイツかの・・・。このヤロウ!!」
山口は出刃包丁の先を持ち、花輪を刺そうとした。
「イヤーーーー!!」
リリィは絶叫した。その時、別の女子が急に現れた。
「テイヤーーー!!」
その女子は山口の包丁を持つ腕を掴むと、地面に投げつけた。その女子は、合気道を習っているという5組の菖蒲岡美里だった。
「あ、貴方は・・・」
「ここは、私で抑えるから逃げて!!」
「う、うん!」
リリィは皆とまる子やたまえ達と逃げた。その時、さらにリリィ達のいる方の昇降口の反対側の廊下から別の男子がダーツの矢のように彫刻刀を飛ばしてきた。その一本がたまえを襲う。
「たまちゃん、危ない!!」
誰かがたまえを庇った。たまえの幼稚園時代の旧友で5組の学級委員を務める橿田ひろ子だった。
「ひろ子ちゃん!?」
「う・・・」
ひろ子はたまえを庇おうとして右のこめかみに彫刻刀が刺さっていた。ひろ子はそれを抜いた。
「ひろ子ちゃん、大丈夫!?」
「私は大丈夫だよ。急いで出よう・・・!!」
「うん・・・」
皆は校庭に出た。しかし、そこも安全地帯ではなかった。別の部下が打ち上げ花火を持って飛ばしていたのだ。
「キャーーー!!」
「危ねえーーー!!」
先に校庭に出ていた一、二年生が必死で逃げ回っていた。ブー太郎がそれを見た途端、さらなる恐怖を覚えた。自分の妹のトミ子も巻き添えとなり、必死で逃げている。
「と、トミ子!トミ子ーーー!!」
ブー太郎は必死で飛び込もうとした。大野と杉山を敬っている彼はできれば二人がいれば彼らに助けを乞いたかもしれないが、見回しても大野も杉山もいない。ならば、自分の手で妹を助けようと思った。
「よしなよ、ブー太郎、危ないよ!!」
まる子が止めようとした。
「何言ってんだブー!!あいつを止めないと、トミ子が・・・、いや、皆が危ないブー!!」
ブー太郎は泣きながら反論した。その時、長山も自分の妹の小春が転んで標的にされようとして抑えられなくなった。
「こ、こはるーー!!!やめろーーー!!」
長山は必死でその男子に向かって走るが、追いつけない。思い切って靴を脱いで投げつけた。しかし、男子は小春に向けて花火を発射した。しかし、間一髪、誰かが滑り込んで小春の体を掴んで、花火から守った。花火はその人物の足すれすれの所で爆発した。
「大丈夫!?」
「うん、ありがとう!」
まる子はその人物を見て驚いた。
「あーー、お姉ちゃん!!」
小春を守ったのはまる子の姉・さくらさきこだった。その時、さきこの友達のよし子が駆け寄った。
「あ、さくらさん、スカート!!」
「え?キャー!!」
さきこは自分のスカートを見ると、先ほどの花火の火がスカートについていた。さきこは慌てて砂をかけて消火した。
「なんて事するんだブー!!」
ブー太郎は花火を飛ばす男子に近付いた。
「おっと、テメエも吹っ飛ばすぞ!!」
男子は花火の筒先をブー太郎に向けた。その時、靴の片方がその男子の顔と手に勢いよく当たった。
「痛っ!!」
ブー太郎は振り向くと、ケン太と本郷が自分の靴を蹴ったのだ。ブー太郎はその隙に体当たりし、花火を取り上げて遠くへ投げた。そして、本郷、ケン太も来てその男子を押さえ付けた。
「た、助かったブー・・・」
後書き
次回:「極悪人」
笹山は堀内から暴行を受け続ける。その一方、何とか校庭に逃げた藤木は笹山を助けに行こうとするが、スケートの大会が控えているからとリリィに止められ・・・。
一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!!
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