SO LONG
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第三章
「見ていてもう少ししっかりした方がともね」
「思うのね」
「ええ、まあ仕方ないけれどね」
「あと四日はね」
彼が帰って来るのはその四日後だ。
「こうしてるわ、いや夜も長いわ」
実感している、今は。
「どうにもね」
「夏よ、今」
「それでも長いわ」
気持ちの問題でだ、短い筈の夏の夜もだ。
「気分的にね」
「やれやれね」
「やれやれ?」
「そう、やれやれよ」
「そう言うけれどね」
缶にそのまま口をつけて飲みつつ返した。
「こうした時はね」
「どうしようもないのね」
「メールを送っても」
携帯でだ、言うまでもなく。
「その返事を見ても」
「当人はいないから」
「だからね」
「会えないと意味がない」
「だからよ」
本当にそう思うからだ。
「仕方ないじゃない」
「暫くの間は」
「あと四日ね」
あと少しじゃなくてまだ、という気分だ。今の私にとってその四日は。
「こんな感じよ」
「ビール飲んで寝て」
「それで朝起きて出勤よ」
「長いわね、一緒にいる方も」
「私もそうだったわよ」
彼女に彼女が彼氏と一緒にいなかった時のことを話した。
「一週間の間ね」
「私と一緒にいて」
「サボテン見る感じだったわ」
「干物と同義語よね」
「ええ、そうだったわ」
「じゃああんたが干物で」
「あんたがサボテンで」
二人で笑って言い合った。
「そんな感じだったのね」
「それぞれね」
「いや、干物女としては」
彼女が言うところのだ。
「あと四日よ」
「その間は我慢するしかないわね」
「そうよ、若しもね」
ここでだ、私は彼女を見た。結構スタイルがいいし顔も奇麗だ。彼女が言うところ私もそうらしい。
「あんたとね」
「私と?」
「そうした関係なら」
「ちょっと、まさかと思うけれど」
ゲームを一時中断して私に真剣な顔を向けてきた。
「百合?」
「そんな関係だったらね」
「あんたそっちの趣味内でしょ」
「ないわよ、男だけでね」
しかもその相手はだ。
「彼氏一筋よ」
「それ私もだから」
当然この娘にもそっちの趣味はないし彼氏一筋だ。
「若しあんたがレズなら」
「迫ってきたところで」
「蹴飛ばすわ」
問答無用でというのだ。
「私レズじゃないから」
「だからそれ私もだから」
「若し私があんたに迫ったら」
「ぶん殴るわ」
私の場合はそうする、蹴らずに。
「そうするわ」
「それで何でそう言ったのよ」
「だから若しもよ」
「レズだったら」
「そっちを楽しんでね」
彼氏がいない時でもだ。
「楽しめたと思ったのよ」
「それだけなの」
「そうよ、まあそっちの趣味はないから」
本当にだ、何一つとして。
「その分ね」
「退屈して寂しいのね」
「彼氏がいないことは」
友達と一緒にいてもだ。
「友達と彼氏は違う」
「痛感してる?」
「実際にね」
心の底からだ、もう何度も思っていることだ。
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