獣篇Ⅰ
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24 妖刀には、あり得なさそうであり得る伝説が付き物だ。
一応、銀時の知り合いの刀鍛冶に見てもらいに行くところまで同行した。
鉄子さん、というらしい。
お互いにはじめまして、のごあいさつを終えてから、彼女はその妖刀をまじまじと見た。
_「この表と裏、揃った波紋。
間違いない、村麻紗だ。」
_「村麻紗?」
と、銀時が尋ねる。
_「室町時代の刀匠、千子村麻紗によって打たれた名刀だ。その切れ味もさることながら、人の魂を食らう妖刀としても知られている。」
_「妖刀!?ホントに妖刀でござるか!?
な、中から美少女が出てきたりするでござるか!?」
_「あ、あのォ~…」
…鉄子さん、困ってるよー…汗)
_「妖刀、って…一体、どんな妖刀だ、っていうんですか?」
_「母親に村麻紗で斬られた、引きこもりの息子の怨念が宿っているらしい。」
_「ッつーか、どんな妖刀!?」
それなッ!
_「伝説では、普段は不登校で、アニメばっか観てるくせに、修学旅行だけ行きたい、と言い出したらしい。
さすがに母親もキレて、その時使われたのが村麻紗なんだ。」
_「どんだけ具体的な伝説ゥッ!?
最近だよね、それ!?
ニュースでやってそうだよね、それェェッ!?」
否、実際そんな感じじゃないの!?
_「村麻紗を一度腰に帯びた者は、引きこもりの息子の怨念に取り付かれ、アニメ、及び二次元メディアに対する興味が増幅され、それと反比例し、働く意欲、戦う意思は薄弱になっていく。
すなわち、ヘタレたオタクになる。
だが、贋作も多い刀だ。たとえ本物だとしても、コイツがその伝説の代物だ、という可能性は、さらに低いだろう。だが、コイツが正真正銘、本物の妖刀村麻紗なら、もはやその男に本来の魂は残っていないかもしれない。
妖刀に食い尽くされ、すでに別人となっていても何らおかしくない。
もう本来のソイツは、戻ってくることは…無いかもしれん。」
ハァ、あの刀鍛冶を探すしかないか…( ´Д`)
とりあえず私は、思い付いたそのアイディアを実行すべく、銀時たちに一言断ってから、急いでその鍛冶屋に向かった。
瞬間移動で向かったが、そこはもうすでにもぬけの殻だった。
チッ、アイツ…もしや鬼兵隊とグルだったのか!?
仕方ない、急い自分の屯所の部屋にワープした。
とりあえず、ウエストポーチ型のバッグに銃を詰め、
腰に刀を差し直し、直感に任せて道場の方に向かう。
だが、敵はすでに一歩王手に迫っていた。
前方に山崎を見つけた。
とりあえず、そちらには行けそうにないので、
屯所内に仕掛けた特殊マイクを通じて、
耳にはめたイアホン型の盗聴器から中で行われている会話をキャッチした。
ちなみにこの技は、ある小学生探偵が加わっていた捜査に協力したときに教えてもらった技だ。
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