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ジオン公国転生記

作者:正博
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第36話 宇宙戦艦ヤマト2199編

 2機の凶鳥が戦場に出現し、遊びそして暴れ始めた。
 『ブラッディ』は両翼から巨大なビームブレードを発生させ戦闘艦に向い始めた。
 『ブラッディⅡ』は翼をデルタ翼にすると機体先端から円錐状のビームバリアを発生そのまま戦闘艦に突撃していった。

 『ブラッディ』はとにかく楽し気に飛び回りながらビームブレードで戦闘艦を切り裂き沈めていった。
 『ブラッディⅡ』は飛ぶのに邪魔だと言わんばかりに次々と戦闘艦を貫通し沈めた。

 ガミラス戦闘艦の攻撃は『ブラッディ』は軽やかに躱し、『ブラッディⅡ』は躱すことなく攻撃受けながら平然と戦闘艦に向って行った。

 ガミラス大艦隊の一部はたった2機に恐怖し始め、誰かが『ファントムバード』と呼び始めた。

 バラン星で大規模な観艦式を行ったのは失敗だった、2機の凶鳥が飛ぶには狭すぎるのだ。
 そんなところにひしめき合う様に戦闘艦がいるのだ、切り刻まれ大穴を開けられても逃げられず沈んでいく大量に。
 ガミラス大艦隊に大混乱が起き始めた。

 キシリア「全軍突撃」
 ドズル「潰せ、潰せ。早くせんとあの2人に全部もっていかれるぞ」
 サスロ「ブロークンファントム! サスロ軍叩き潰せ」
 ハマーン「なにかあの2人を見てたら、あほらしくてやってられん。好きに戦え」
 ガルマ「いいな私も欲しいな。あれ」

 ジオン軍は2機だけにもっていかれてたまるかと攻勢を強めた。




 バラン星のバラン鎮守府にいるゼーリックは青ざめていた。
 自分が動かす筈だった大艦隊が次々と沈んでいく事と、もうひとつありえない映像を見ていたから。
 デスラーであるデスラー総統が生きて映像越しに自分に語りかけて来たのである。

 デスラー「いや、すまないゼーリック君。艦が故障してね、観艦式に行けなくなってしまった。まあ、その様子だと式は終わってしまった様なので帰らせてもらうよ」

 そこには次元潜航艇に乗り込む、デスラー総統が映し出されていた。
 ゼーリックにはもう帰る場所がどこにも無かった。
 総統暗殺未遂で処刑か、大艦隊崩壊の罪で処刑か・・・・・。

 「パン」

 ゼーリックは急に胸に痛みを感じた、見ると胸から血が流れて落ちていた。
 後ろを振り返ってみるとゲールが銃を構えていた、銃口から煙が上っている銃を。

 ゲール「は、反逆者めっ」

 ゼーリックは反射的に、ゲールに掴み掛かろうと動いた。

 ゲール「ヒィーーーーー」「パン、パン、パン、パン、カチ、カチ、カチ、カチ」

 ゼーリックは倒れ伏して動かなくなった。
 ゲールはゼーリックが動かなくなったのを見て床へへたり込んだ。
 そして手にゼーリックを殺した、銃を持っているのが気味悪くなり投げ捨てた。
 しばらく放心状態だったが、突然気が狂ったかの様に笑い出した。
 これで自分が銀河方面作戦司令だと笑っていたのであった。
 短い夢とも知らずに。




 バラン星でのジオン軍総力戦は、ガミラス大艦隊消滅で終わった。
 たった2機の凶鳥が現れたその為に。
 その2人は途中で満足したのか後を任せて、ジオン公国機動船団に先に帰って行った。
 2機でガミラス大艦隊の7割を殲滅して、残りは全軍で早い者勝ちになった。
 施設はヤマトが亜空間ゲートを使用するので、当然破壊する訳にいかず放置されキシリアは全軍に撤収を命じた。


 その頃ユーリ専用発着場では戦闘未参加の整備員達に混乱が起きていた。

 整備員「せ、整備士長来てください。大変なんですよ」
 整備士長「ユーリ様が帰って来なさったんだろう。大方『ブラッディ』乗って帰られたんだろ。エンジン音聞いてりゃ分かる。ご無事なんだろうな」
 整備員「ピンピンしてます。じゃなくて『ブラッディ』の整備をされているんです」
 整備士長「ご無事かだったら良かった。整備? ああ知ってるよ。理由もユーリ様から聞いている」
 整備員「ユーリ様じゃなくって。ああもういいから来てくださいって」

 整備士長は整備工場に連れて行かれ、そこで驚愕を表情を浮かべた。

 整備員「ね、大変でしょう」
 整備士長「おい、俺の目がおかしくなっていなけりゃ『ブラッディ』が2機見えるんだがな」
 整備員「いえ。変じゃないですよ。ちゃんと2機ありますから」

 整備士長は俺に駆け寄り訴えて来た。

 整備士長「ユーリ様。前におっしゃていましたよね。2号機は作らないと、あるじゃないですか。それもド派手に金色に染めて」
 ユーリ「うん。俺作ってないよ」
 整備士長「ユーリ様。横にあるじゃないですか。嘘を吐いても俺の目でちゃんと見えてますからド派手な金色が」
 整備員「整備士長! 不敬罪、不敬罪」
 整備士長「不敬は分かってるから黙ってろ。ユーリ様なんです今度は目立ちたいからド派手な金色を作られたんですか」
 整備員「整備士長。やばいから」
 ユーリ「だからね。俺は作ってないよ」
 整備士長「なんで誤魔化すんです。あるじゃないですかド派手な金色が」
 ユーリ「だ・か・ら・ね・『俺は』作って無いからね」
 整備士長「そこまで言います。この派手過ぎな金色はなんですか証拠でしょ」
 ギレン「すまんな。派手過ぎて」
 整備士長「ギレン総帥。総帥が謝る必要ありません。嘘を言うユーリ様が悪いんです」
 ユーリ「俺じゃないよ作ったの」
 ギレン「やはり私が謝ろうすまん」
 整備士長「総帥かばいたいのは分かりますがこう言うのはですねちゃんと」

 ギレン兄がペンダントに手をかけ呼んだ。

 ギレン「戻れ! 『ブラッディⅡ』」

 『ブラッディⅡ』は輝く光になってギレン兄のペンダントに入って行った。
 整備士長は凍り付いて固まった。

 ユーリ「ね、分かった。『ブラッディⅡ』はギレン兄のだよ」
 整備士長「・・・・・・・う・そー」
 ギレン「これからは世話になるかもしれん。よろしく頼む」
 ユーリ「はい、終わり。『ブラッディ』戻れ」

 『ブラッディ』も輝く光になると俺のペンダントに戻った。

 ギレン「帰るぞ。ユーリ」
 ユーリ「じゃねー。待ってよギレン兄」
 整備員「だから不敬罪って言ったでしょ」
 整備士長「ははは。そろそろ辞めよかな。この仕事」
 ユーリ「あっ忘れるとこだった。整備士長明日休まないでね。ギレン兄が作ったスーパーパック12載せるから」
 整備士長「すみません。明日から有給休暇全部取ります」
 ユーリ「えー。仕方ない。ギレン兄と迎えに行くからね」
 整備士長「鬼・悪魔・人でなし」
 ユーリ「チッ・チッ・チッ。『大魔王の転生者』だよ!」

 
 翌日約束通りスーパーパックのテストが行われ色々波乱があったが無事終了、帰宅時間になったので整備員達が疲れた顔で帰宅準備を始めた。
 すると自分達のロッカーの前に、紙袋が置かれていた。
 その中身を見なければよかったと誰もが思った何故なら中身は新しい整備服3着とネームプレートとIDカードと腕章が入っていた。
 普通なら新品を誰もが喜ぶが書かれていた事が重要だった、そこにはすべてこう書いてあった『総帥直轄機体テスト場』と。
 整備士長は辞表を書いていたが机の上の紙袋が気になり確認して机に倒れ伏した。
 『総帥直轄機体テスト場総責任者』つまりギレンの許しが無い限り辞められない立場になったのだ。
 ユーリとギレンの2人が自分を解放してくれる筈も無く、整備士長は薬屋に行くべく戸締りを始め最後に門を閉めようとして目を見開き固まった。
 門にあった『ユーリ専用発着場』のプレートが外され『総帥直轄機体テスト場」となっていたのだ。
 整備士長は胃が痛みだすのを感じて薬屋へ急いで大量の胃薬を買った。
 その時2人の人物が自分と同じく大量の胃薬を持っているのに気が付いた。
 ユーリの工房と研究所の親方と所長であった。
 2人の腕には腕章があり『総帥直轄』と書いてあった。
 3人が連れ立ってその晩やけ酒を飲み歩いている姿を見かけたいう。





 数日後、ヤマトはバラン星にたどり着いた。
 そしてガミラス大艦隊の待ち構える中を突破して、亜空間ゲートを通り抜けなければならなかった。
 ヤマトはガミラスの戦闘機を拿捕していてこれを使い偵察をする事が決まった。

 加藤「篠原気を付けてな」
 篠原「心配しなさんな。バッチリ偵察してすぐに帰って来るよ」


 篠原が乗る戦闘機がバラン星の中へと入っていった。

 篠原「こいつはすげえ。おっとカメラ、カメラ」
  

 篠原は無事ヤマトに帰還した、撮影された映像には驚きの映像が映し出されていた。

 古代「これはすごい数の大艦隊・・・・・・・の残骸? 真田さんどう思います」
 真田「もしかするとこのステーションは廃棄されたのかもしれん」
 沖田「真田君ではこのステーションは使えないのかね」
 島「そんなそれでは日程に重大な遅れが出てしまいます」
 真田「・・・いやまだ廃棄されたとは限らん。森君この部分を拡大してくれ」
 森「はい。拡大します」
 真田「艦長、敵艦を見てください」
 沖田「これは・・・斬られた跡? こちらは大きい穴が開いている」
 真田「艦長。これは推論なのですが、これはここで戦闘が行われた跡ではないかと」
 古代「でもこんな大艦隊がやられるなんて・・・・・!もしかして真田さん」
 真田「古代。俺も同じ意見だ。ジオンを名乗るものかもしれん」


 その時映像を映し出していたメインスクリーンの映像がブレ、別の映像が映し出された。

 ???「フフフフフ。久しぶりだねヤマトの(ぼかっ)何度言えば分かる邪魔をするな、馬鹿者」

 映像が一時停止したがすぐに戻りそこには1人の男が映し出されていた。

 ギレン「すまない愚弟の悪ふざけだ。ヤマトの諸君我々が『ジオン』だ」
 古代「我々と言う事はあなた方は組織なんですか?」
 ギレン「違う国だよ。古代進君」
 真田「国と言う事はガミラスと同じ様な外宇宙の人ですか? 私には同じ地球人に見えるのですが」
 ギレン「流石は真田志郎君。私達は地球人だ。だがこの世界とは違う世界のね」
 真田「平行世界!」
 沖田「真田君、平行世界とは?」
 ギレン「沖田艦長。それは後で説明してもらって欲しい。我々も時間が限られている」
 沖田「すみません。それで要件がおありなのでは?」
 ギレン「それはバラン星の亜空間ゲートが使えると言う事。ただし施設まで壊しては意味が無いのでガミラス人が残っているので注意して欲しいのと沖田艦長貴方の体だ。佐渡先生どの程度進行しているのかね」
 佐渡「なんの事ですかな」
 ギレン「宇宙放射能汚染だよ。沖田艦長、このままではイスカンダル星に着くまでに貴方は若者を見捨てる事になる。そんな無責任な事が許されるのかね。自分で志願して艦長になったのだ最後まで責任を果たすべきではないかね」
 沖田「・・・・・・・・・・・・」
 ギレン「真田君。我々にも完全治療は完成していないが多少の延命治療ならある。前に渡した物の中に在るので佐渡先生に渡して欲しい」
 真田「分かりました。ありがとうございます」
 ギレン「それでは健闘を祈る」

 映像が切れた後ヤマトでは佐渡先生を問い詰め、艦長の容態を聞き艦長を休ませることになった。





 ジオン公国機動船団ではギレン兄と俺が話し込んでいた。

 ユーリ「ギレン兄。七色星団には行かないの?」
 ギレン「行くぞ。ただしお前と2人だけだ」
 ハマーン「なにをコソコソとしゃべっているかと思えば私も行くぞ」

 ハマーン姉がいつの間にか執務室にいた。

 ユーリ「ギレン兄どうぞ」
 ギレン「お前なぁ・・・。ハマーン、キュベレイではとても無理だ」
 ハマーン「そう言うと思った。じゃあ私にも『ブラッディ』を作れ」
 ギレン「それでも無理だ。理由は魂の同調が出来ていないからだ」
 ユーリ「今のままで俺達と同等の機体に乗ったら1000%死ぬよ」
 ギレン「ハマーン。ちょっと来い」


 ギレン兄はハマーン姉を秘密の工房に連れて行った。

 ハマーン「ここはなんだ?」
 ギレン「私の秘密工房だ。今は格納庫として使っている」
 ユーリ「ギレン兄。開けるよ」

 俺がシャッターを開けるとハマーン姉は驚いていた。

 ハマーン「これは『ブラッディ』がこんなにも」
 ギレン「それは違う『ブラッディ』はユーリの機体だけだ。これはVF-25改の量産型だ」
 ハマーン「???」
 ユーリ「ハマーン姉。こっちに来て」

 奥にもう1つ部屋があった。
 
 ハマーン「ここにもあるが量産機とは雰囲気が違うな」
 ギレン「流石はニュータイプ特性が高いと言うところか。これは兄弟用に作ったカスタム機だ」
 ユーリ「ハマーン姉の機体もあるといいね」
 ハマーン「どういう事だ、私にも作ってくれたのではないのか?」
 ギレン「部屋の端を見ろ。1機分空いているだろう」
 ハマーン「ああ、私のはこれから作るのか」
 ギレン「違う。あそこには私の機体になった機体が置いてあった」
 ユーリ「ハマーン姉よく見て。この部屋から機体を出すところは無いんだ」
 ハマーン「ではどうやってギレンは機体をこの中から出したんだ?」
 ギレン「出したのではない、機体が自分の意志で出たんだ」
 ユーリ「この子達は自我をもっている。だから魂の同調が出来た時に魂から出て来るんだよ」
 ハマーン「よく分からんが今はまだ乗れないと言うのは分かった」
 ギレン「心・魂の奥底から飢える事だ。乗りたいあの力が欲しい、そして楽しみたい私はそう心から飢えた」
 ユーリ「俺はね。みんなを守れる力が欲しいと欲した」
 ハマーン「今は出来んな。だがその時が来れば言われた通りやってみよう」


 
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