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碧い銀河

作者:fw187
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説得と鉄槌

 自由惑星同盟の領域には第三勢力、フェザーン自治領の資本が大量に投資されている。
 貿易商人達の独立国家は表の顔、地球教と密接な関係を持つ事は間違い無い。
 麻薬密売組織の影響を受け、操縦される駒、とまでは言わないけど。
 一見は無関係の民間団体、経済組織にも地球教徒が潜り込んでいる事は確実だ。
 ヤン提督は僕の贈った報告書の複写《コピー》を配り、4人に熟読を薦めた。
 バーラトの和約を締結の後、自由惑星同盟の崩壊する部分をね。
 読み終わった後、顔色の急変した事を確認して、説得を試みている。

「自分が自由惑星同盟に留まっても、帝国軍を撃退する自信はありません。
 玉砕を選ぶよりも民主主義の保全、共和政府の存続に協力して貰えませんか?
 ラインハルトは約束を守る人物、和約を破棄する口実を与えなければ良いのです」
 老練の宿将や艦隊指揮官達は結局、ヤン提督の説得を受け容れて翻意したんだけど。
 グリーンヒル大将も含む提督達は帰順せず、イゼルローン要塞に監禁中の噂が流れた。
 脱走兵や貿易商人達から噂は拡がり、自由惑星同盟の領域に欺瞞情報が浸透している。

 人類発祥の惑星は聖地として崇拝され、多数の巡礼者が訪れているけど。
 太陽系周辺宙域は艦隊で封鎖され、地球教徒の総本山に陸戦隊が突入する事になった。
 陸戦隊は頑強に抵抗する教団関係者との交戦を極力避け、資料室の周辺を制圧した。
 指揮官は元ガルミッシュ要塞ウェーゼル狙撃兵大隊所属、ラウディッツ中佐。
 パウルス一等兵が室内の地球教徒を倒して、データの抹消を阻止している。
 情報端末が確保されて、大量のデータが光ディスク数枚に保存された。
 ラウディッツ中佐は事前の命令に従って、迷宮には踏み込まず撤収を命令。
 巡礼中の信者達は麻酔ガス等で意識を失わせ、地上に連れ出した。

 地球教の総本山には多数の時限爆弾、携帯型ゼッフル粒子発生装置が残されたけど。
 旧地球政府シェルター跡は、核攻撃にも耐えられるくらい厚い岩盤に護られている。
 当時の権力者達は他の人達が全滅した後も、酒池肉林の饗応を楽しむ準備を整えていた。
 地球教団も第8層の下に、迷宮《ラビリンス》を拡張している確率は高いけど。
 姉の誘拐を謀り、人質として脅迫、暗殺の計画を知った有翼獅子《グリフォン》は激怒。
「無辜の民を犠牲にする醜悪な権力者の遺跡など、後世に残す必要があるか?
 人類発祥の惑星、聖地の名に値しない愚行の痕跡は叩き潰せ」
 ローエングラム侯爵の厳命が下り、10億トンの氷塊が地球に落下した。
 ドライアイスの剣、もとい、蒼氷色《アイス・ブルー》の鉄槌《ハンマー》。
 地球教の総本山は奇想天外の超兵器、天から落下する想定外の巨弾に押し潰された。 
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