碧い銀河
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闇に潜む敵
ラインハルトは卑劣な手段、自己犠牲を他者に強いる権力者の欺瞞を忌み嫌うけど。
地球教徒は優れた知見を有する相談役、ヒルダの従弟を道具に用いただけじゃない。
シュワルツェンの館を別動隊が襲い、グリューネワルト大公妃の誘拐も試みたんだ。
帝都防衛司令官ウルリッヒ・ケスラーは、地球教オーディン支部に向かったけれど。
ローエングラム侯爵の精神的支柱、5歳年上の姉アンネローゼは意外な才能を発揮した。
一撃で襲撃者を昏倒させた美姫は尊敬と賞賛を集め、様々な噂や憶測も乱れ飛んでいる。
金髪の孺子を脅迫する為に家族を人質に取る目論見は外れ、思い切り逆効果になった。
教団の黒幕は虎の尾を踏み、有翼獅子《グリフォン》の逆鱗に触れたんだ。
キュンメル事件の後、マリンホフ兵長も情報を提供。
暫くの間は軍内部に浸透する地球教徒、テロリスト扇動者に説得された演技を続けたけど。
翌月、士官学校に推薦入学の措置が取られている。
ヤン提督も僕の報告書を読み、地球教の壊滅に動いた。
ボリス・コーネフ船長が鋼鉄の砦を訪れ、従兄弟との対面も実現している。
ハートの撃墜王《エース》、ユリアン君も捜査に参加を望んだけど。
入信希望者を装えば精神的奴隷、麻薬中毒になる確率が高い。
『潜入調査は絶対に駄目、問答無用で却下!』と猛反対されたのは当然だよね。
洞窟の参拝者達は教団特製の食事、麻薬を接取後に精神的奴隷となっていた。
善悪の観念、思考能力、人格、個性、意思を奪われ、相手の言葉を疑う事もできない。
財産を総て教団に寄付の後は、自爆テロ遂行者として生命を投げ出す。
自由意志に基いて地球教徒となり、自己責任で使い棄ての破壊工作員となる事を志願した。
遺族には悪辣な捏造情報が届き、地球教の黒幕は何の痛痒も覚えず別の犠牲者を物色する。
地球教の地方指導者は善良、真摯、ボランティア精神に溢れ、大勢の人々から信頼されている。
頂点に立つ黒幕と真逆、人格も優れ、行動力兼備の故に地球教は銀河全域に拡がったんだ。
一握りの悪人、野心家達の陰謀を納得させる事は難しかったけど。
聖地巡礼者を蝕む黒い罠、麻薬中毒の実態を証明する為の聖地奇襲は無駄ではなかった。
医務室で確保された膨大な記録情報、自白剤を徹底的に用いた詳細な証言。
信者達を貪る聖地の闇、陰謀を暴露する数々の物的証拠が強固な精神支配を解く鍵になった。
麻薬中毒の犠牲者達を救う為、ローエングラム侯は基金を設立。
大勢の薬学博士、研究者達も参加を申し出た。
様々な解毒剤の調合、慎重に服薬後の観察で徐々に効果が改善。
催眠術師も動員した精神治療を続けると、夢遊病者の様に虚ろな瞳に光が戻った。
幸運を願った聖地巡礼者の奪還後、心理学的治療の研究も進んでいる。
ドワイト・グリーンヒル大将は話し合いの後、『ヤン提督を支える』と表明した。
パン屋の二代目、みたいな視野の広い戦略家も協力を申し出たけど。
クブルスリー大将、ビュコック提督、モートン提督、カールセン提督は釈放を求めた。
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