ハルケギニアの電気工事
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第18話:領内改革!(その2-4)
前書き
面接も無事に終了。アルバート君は事務局作りで美人さんに囲まれます。
おはようございます。アルバートです。
昨日は一日掛けて局員採用の面接を行いました。目一杯時間が掛かって疲れましたよ。
ついでと言っては何ですが『事務局』まで作る事にしてしまいましたから今日も大変になりそうです。
さて、一夜明けて面接2日目です。昨日話した集合時間の9時に合わせて、面接希望者が集まってきました。
みんな不安そうな顔をしていますが、募集予定人数から考えると半分以上が落ちる事になるのですから、自分が選ばれるかどうか心配になるのは仕方ないでしょう。
9時丁度に面接控え室に入ります。
「皆さん、おはようございます。今日も時間通りに集まってくれてありがとうございます。どうぞ座ってください。」
挨拶の後、みんなには椅子に座って貰います。僕とウイリアムさん達は控え室前側の椅子に机を挟んでみんなに向き合う形で座ります。控え室後方には昨日と同じで執事が2人控えています。今日も良い天気で、南側の窓からは朝の日差しが一杯に入っています。
「昨日は長時間の面接になりましたがご苦労様でした。本日は面接結果の発表となります。採用する事が決まった人の名前をこれから読み上げますので、呼ばれた人は昨日の面接会場の方に移動してください。そちらで配属先やこれからの予定などを話します。
残念ながら採用から漏れてしまった方達は、そのままこの部屋に残ってください。」
一度話を区切って、名簿を取り出します。
「まず、一人目はリーベナウのヴェルナーさん。面接会場に移動して下さい。次にブレスラウのハインツさん、アールベルクのヤコビンさん、面接会場の方にどうぞ。」
次々に14人分の名前を読み上げます。結果を見ると、1つの村で1人を選出したような格好で、同じ村から2人出た所はありません。16の村があぶれた格好になりますけどね。
「以上の14人です。此方の都合で予定より4人多くなりました。今回選に漏れた方達は残念でしたが、又機会がありますので、その時は来て頂きたいと思います。この後、2日分の日当と往復の旅費を支払いますので、貰ってから解散して下さい。」
残った16人はがっかりしていますが、これも仕方のない事ですから諦めて貰いましょう。
「それから、女性の方達にお願いしたい事がありますので、申し訳ありませんがこのまま残って下さい。」
『事務局』員の選抜をしないといけませんから女の人だけ残ってもらいましたが、日当と旅費を貰って部屋から出て行く男の人たちから変な目で見られていしまいました。女の人たちも不安げな顔をしていますね。
ウイリアムさんとキスリングさんに面接会場の男の人たちを任せて、こちらは僕が話をします。落選した男の人たちはみんな帰って、女の人が5人残りました。16歳から22歳の若い女性ばかりで、それぞれ違った感じの美人さんばかりなので服装は地味ですが華やかな感じです。
3人を採用する予定でしたが、帰してしまうのがもったいないような気がしてきました。折角ですから全員採用して何かしら仕事をして貰いましょう。………決してスケベ心ではありませんよ………
「さて、女の人だけ残してしまって申し訳ありません。実はこの度募集をした『保険衛生局』の他に、『事務局』という局を開設する事にしました。この局の仕事は今後各地から来る改革関係の問い合わせや、色々な要請などの受付窓口をしたり、『保健衛生局』などで働く人たちの勤務状況や健康状態などの管理を行う事になります。女の人だけの局にしようと思うので、折角集まってくれたあなたたちから選びたいと考えていますがどうでしょうか。採用条件としては読み書きが出来る事と簡単な算術が出来る事です。雇用条件は『保険衛生局』と同じになります。ここまでは良いですか?」
さっきまで採用に漏れた事でがっかりしていた人たちが、話を聞く内にだんだん明るい顔つきに変わってきました。やっぱり働きたいのでしょうね。特に質問もないようなので先に進めましょう。
「昨日の面接で、皆さんの素養については大体把握できました。おそらく私の考えている条件に合うのはアールガウから来られたゾフィーさんだけですが、他の方達もこれから教育すれば大丈夫でしょう。『保健衛生局』の募集で来られた人に、別の仕事の話をするのも失礼かと思いますが、『事務局』の仕事でもやりたいと言われる方がいれば雇用したいと思います。」
だんだん身体が前の方に乗り出してきていますね。何か襲われそうな感じがしてきました。こっちは7歳の子供なのですから、女の人といっても逃げられそうにありません。怖くなってきましたよ。
「まず、ゾフィーさん。読み書き、算術が出来るのはあなただけなので、僕と一緒に他の人の教育も手伝って貰いますから、その分の手当も付けますが、この条件で働いてもらえますか?」
「ぜひお願いします。何でもしますから働かせてください。」
即答ですか。しかも涙ぐんでますね。何でもしますからなんて言わない方が良いですよ。僕が大人だったら危ない事になっているかもしれませんからね。
「それでは、ゾフィーさんを採用とします。他の方は、これからしばらく教育になりますが、雇用条件には変わり有りません。この条件で働きますか?」
「「「「是非働かせてください。お願いします。」」」」
思わず仰け反りました。4人の声がハモりましたね。どこかで練習でもしていましたか?
「解りました。全員採用にします。ゾフィーさん以外の人たちは、読み書きと算術をゾフィーさんと僕が教師になって教育します。『事務局』の仕事にはどうしても必要なスキルですから、積極的に勉強してください。平行して『事務局』の仕事も覚えて貰いますから、当分の間は忙しい事になりますよ。」
これで、美人さんを5人もゲットできました。やっぱり仕事場に女性が居ると華やかになってやる気も起きるってもんですよね。
なんか、すっかり中年オヤジモードですが………。
「それでは、契約書などの準備がありますから、少しの間席を外します。皆さんはこの部屋で待機していて下さい。昨日と同じで後ろにお茶とお菓子が有りますから、自己紹介などしながら友好を深めて待っていて下さい。」
急いで部屋を出て、屋敷に向かいます。アニーを見つけてお願いをしました。
「アニー、丁度良かった。新しく19人を雇用したので、親睦会を兼ねて昼食会を開こうと思います。簡単な物で良いので場所も合わせて用意して下さい。それから、女性が5人入りましたので、後で屋敷内で行動するための教育や屋敷内の案内などお願います。」
「アルバート様。一度に5人も女の人を囲うんですか?まだ7歳なのにすごいですね。」
「アニー?何言ってるんですか!?そんな訳ないでしょう。事務関係で必要なので採用しただけです!!」
「冗談ですよ。そんなに焦って赤くならないで下さい。それで新しく雇った人19人分とアルバート様、ウイリアム様、キスリング様で、合計22人分で良いですね。すぐに準備いたします。」
「お願いしますね。」
変な所でからかわれてしまいました。昼食会をして全員の顔合わせがてら親睦会と行きましょう。19人ともしばらく宿屋住まいになりますから、急いで寮を作らないといけません。独身寮と家族寮がありますから、土メイジに協力して貰って大急ぎで作って貰いましょう。
次は契約書ですね。『保険衛生局』の事務所に戻ります。自分の机に行き、用意していた契約書を出します。書き間違えとかを考えて多めに作って置いて正解でした。
雇用条件等に変更はありませんから、ゾフィーさんの分だけ教育講師の項目を追加して、面接室に行きます。
「ウイリアムさん。此方のお話は終わりましたか?」
「はい、大体終わりました。後はこの後の予定の伝達だけです。」
「解りました。これが契約書ですので、内容を読みあげて説明してあげて下さい。問題がなければサインをして貰って下さいね。それから、お昼はみんなで昼食会をしますので連絡が来るまで待って貰って下さい。」
「昼食会ですか?」
「はい。みんなの顔あわせを兼ねて親睦会をしようと思います。」
「解りました。そのように伝えます。」
「お願いします。あと、話が済んだら『保険衛生局』にキスリングさんと来て下さい。」
次は面会控え室です。
「お待たせしました。此方が契約書です。内容を読み上げますので良く聞いて、問題なければサインをして下さい。」
契約書の内容を読み上げます。一応読み上げている内容と契約書の内容に齟齬がないかゾフィーさんに確認して貰います。
「ゾフィーさん、以上で間違えないですね。」
「はい、アルバート様。間違え有りません。」
「それでは皆さん、この条件で良ければサインをして下さい。ゾフィーさんは皆さんにサインの仕方など解らない事が有れば教えてあげて下さい。」
みんな、ゾフィーさんに教わりながらサインを済ませました。読み書きが出来なくても自分の名前位書けることは、面接の中で確認できていますから大丈夫でしたね。
契約書を回収して確認しました。全員契約完了です。
「ご苦労様でした。今日はお昼に簡単ですが、昼食会を開きます。今日採用された人たちの顔合わせを兼ねて親睦会をしようと思いますから、しばらくこのまま待っていて下さい。準備ができ次第呼びに来ます。
それから、暫定的にですが、ゾフィーさんを『事務局』のチーフにします。これから連絡事項等がある場合、ゾフィーさん経由で皆さんに連絡するようになりますから、協力をお願いします。」
伝達事項は以上ですから部屋を出て、『保険衛生局』に移動します。
『保険衛生局』で自分の椅子に座りながら、今出来たばかりの契約書を確認します。少しするとウイリアムさん達が来ました。
「ご苦労様でした。契約書の方が出来ましたか?」
「はい。大丈夫です。」
ウイリアムさんがもって来た14枚の契約書を貰います。これで19枚揃いました。
「それでは、今後の事ですが、急いで寮を作らないといけません。資材探しで忙しくって寮の事を忘れていましたから、採用した人たちの住む所がありません。」
「そう言えば、予定はしていましたが忘れていました。」
「皆さんにはしばらく宿屋住まいをして貰います。その間に急いで寮を作って住環境を整備しましょう。家族のある人は早く家族を呼びたいでしょうし、住む所が決まらないと落ち着かないでしょうからね。」
「解りました。土メイジを動員して、大急ぎで作りましょう。なに、設計図は出来ていますから3日もあれば出来ますよ。」
「お願いします。その間に屋敷で行動する為の教育と仕事をする為の導入教育を始めます。屋敷内での行動にも慣れて貰わないといけませんし、女の人たちは読み書きなどの教育もありますからね。
それから、ゾフィーさんという女性を『事務局』のチーフにしました。これから連絡事項等は彼女を経由して伝える事にします。男の人たちも各課毎にチーフを決めて連絡体制を作って下さい。いずれ、各人の能力などを見て指揮系統を整備しないといけませんが、今は暫定で結構です。」
後は装備品の製作を急ぐ事も大事ですが、各局毎の制服を作りましょう。同じ制服を着ている事で連帯感も生まれるし、外で活動している時も目立って、家の『改革推進部』だと言う事が判りますから、規律の維持にも良いでしょう。
そう言った事を決めると、僕は父上の元に報告に向かった。
「父上。報告に来ました。」
執務室のドアをノックして声を掛けます。
「アルバートか。入りなさい。」
「お忙しい所済みません。採用者が決まって契約書が出来ましたので持ってきました。」
契約書を父上に渡します。目を通して貰いながら
「昨日お話ししましたが採用者は男性14人となりました。ただ、事務関係を専門にやらせる為に『事務局』を作る事にして別に女性5人を採用しました。なお、この後親睦会を兼ねて昼食会をします。」
「19人か。ずいぶん増えたな。人件費が大変だが、おまえの言っていた通り大事な事業になりそうだから、先行投資として必要な事と認めよう。あまり無駄使いしないように注意してくれ。」
「有り難うございます。最初の出費は大きいですが、絶対成功させて見せますから安心して下さい。それから、大事な事を忘れていました。まだ、みんなが寝泊まりする寮を作っていなかったんです。」
「寮?まだ手を付けていなかったのか?急いで作らないと大変だぞ。それで何が必要なんだ?」
「はい。土メイジを借りられるだけ借りたいのですが。既に設計図は出来ていますから後は材料集めと作るだけになります。」
「解った。たしか今の時期なら5人位空いているはずだから、そちらに回そう。しっかりした物を作らせるんだぞ。」
「有り難うございます。お願いします。」
これで寮の方は大丈夫でしょう。父上の所を出て、『保険衛生局』に戻ります。
ウイリアムさん達とも相談して『保健衛生局』の制服を考えました。『事務局』の制服は女の人たちに任せて考えて貰いましょう。
他に、装備品の製作について確認や、各課に配属された人たちの確認などを行っている内にお昼になりました。
アニーが知らせに来たのでみんなを連れて屋敷の方に移動します。食堂ではありませんが、大きな部屋にテーブルと椅子を用意してあります。料理も簡単なものですが結構立派に整えられているので、みんな目を丸くしています。
簡単に自己紹介をして貰った後、楽しい昼食会の始まりです。みんな仕事が決まって安心したのか食欲も旺盛で、隣同士で話をしながら、良い感じで食事が進んでいます。
貴族の屋敷では食事中は会話は禁止なのですが、今日このような場では良いでしょう。
みんなお腹いっぱい食べて満足したようですから、昼食会は成功ですね。
その後、少し昼休みを取って、2時位からまた『改革推進部』の建物に戻ります。
また、男性と女性に別れて、午後は仕事についての細かい説明をします。男性側はウイリアムさん達に任せて、女性側を1階の先ほどまで居た面接控え室より小さい部屋に連れて行きます。
こっちの部屋には机と椅子が10人分入っていますから、人数的に十分です。この部屋を『事務局』にしましょう。
「この部屋を『事務局』の部屋にします。適当に座って下さい。」
全員が座ったので、僕も座って話をします。
「まず、皆さんにお詫びがあります。此方の手違いで寮の準備が出来ていませんでした。申し訳ありませんが3日ほど宿に止まって頂く事になります。その間の宿代や食事代は此方で持ちますので安心して下さい。それから、今日までの旅費、宿代、食事代についても日当と合わせて支給します。」
特に質問等もないようですね。
「次に、皆さんの服装ですが、制服を作りますから、それを着用して下さい。制服のデザインは皆さんで決めて下さい。制作は此方で行っても良いですし、皆さんで作られるのであれば必要な生地を提供します。その辺は話し合って決めて下さい。
『事務局』は毎日の出勤時間を9時とします。終わりは5時。お昼休みは12時から1時の間の1時間。朝は9時から朝礼とミーティング、夕方は4時半から終了ミーティングをします。
明日からの予定ですが、まず1週間で屋敷内で行動する為の教育と、仕事をする為の教育を行います。
屋敷内で行動する為の教育は、さっき昼食の知らせに来たアニーというメイドが講師となって教育します。次に仕事の為の教育ですが、最初1ヶ月間読み書きと算術の教育を行います。この教育は進捗状況によりその後も続けるかもしれません。平行して2週間目から事務関係の仕事についても訓練を始めます。『管理課』などの各課の活動が始まると、『事務局』としての仕事も始まりますから、それまでにある程度仕事が出来るようにする為です。」
それから、正式に座席の配置を決めて、制服のデザインを話し合いました。最後に終了ミーティングをして今日はお終いです。
ウイリアムさん達の方も終わったので、今日の纏めと明日の予定を確認して僕たちも解散としました。
やる事が一杯あって、明日からも大変です。部屋に帰ってゆっくりしましょう。
ページ上へ戻る