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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0300話『ついに起きてしまった事』

 
前書き
更新します。 

 



早霜が練度が70に達した。
それでついに今日で駆逐艦のみんなが揃って全員練度が70以上になった。
去年から頑張ってきたからなぁ……。
嬉しくて涙が出そうだよ。
なんか最近やけに眠たいけど頑張って執務をこなしていかないとな!
そう私は思って、ふと用を思い出して椅子から立ち上がった時だった。

「―――あ、れ……?」

まただ。また急な眠気に襲われてしまった。
やばい、このままだと地面に倒れてしまう。
そんな事になったらみんなに心配をかけてしまう……。

「なに、おう!」

だから私はなんとか力を振り絞ってまた椅子に腰掛けた。
椅子で居眠りをしているのは格好が悪いけど致し方ない……。
大淀とかが起こしてくれるだろうと思いながらもそろそろ限界だったので私は瞼を閉じた。
……―――最後にまたあの嫌なノイズが聞こえてきたけど、もう意識が……。







今日は提督が今まで頑張ってきた駆逐艦強化月間がついに達成しましたので小さいですけど提督のお部屋でお祝いでもしましょうかと考えながらも演習を終えて執務室へと帰ってきました。
すると目の前の廊下から大淀さんと明石さんが歩いてきました。

「大淀さんに明石さん。どうされました?」
「あ、榛名さん。はい、提督のご様子を確認に来たんですよ。大淀もみなさんには提督の症状については内緒にしてくれるそうで助かりました」
「はい。私も初めは耳を疑いましたけど、明石の話には嘘はないようですので信じました」

大淀さんも仲間になってくれたのは嬉しいですね。
金剛お姉さまとかにも話せない事ですから共通の仲間がいるというのはいいものですね。

「それじゃ演習が終了したのを提督にお話ししましょうか。
私も勘が戻ってきましたので活躍しているって話したいです!」
「うふふ。最近の榛名さんは頑張っていますからね」

そんな会話をしながらも執務室へと入っていきました。
だけど提督は椅子に腰掛けて眠ってしまっているようでした……。
でも、よく見ると、

「明石さん!!」
「はい! 提督!!」
「これは!?」

私は大声を上げて明石さんに動いてもらうように指示しました。大淀さんも初めて見るのか目を見開いています。
だって、提督が、提督が! 完全に透けてしまっているからです!

「榛名さんはすぐに提督の手を握ってあげてください!」
「はい!」

それで私はすぐに提督の手を握りました。
私の力で提督が助かるならなんでもします!
だけど!

「明石さん! 提督の症状が治りません! ど、どうすれば!?」

昨日までは提督に触れていればなんとかなっていた症状が一向に回復しません!
これはどうしたらいいのですか!?

「これは…………! かなり危ないかもしれません! 大淀!!」
「は、はい!」
「すぐに提督を医務室に運びますから手伝ってください! 榛名さんはそのまま提督に力を送り込むイメージを!」
「わかりました!」
「お任せください!」

そんな事が起きてしまい、提督の症状は医務室に運ぶまでにたくさんの人達に見られてしまい、もう隠せないところまで来てしまいました……。
そして……。

「ハルナ……。どうして話してクレナカッタノ?」
「ごめんなさい、金剛お姉さま……これは内密に処理しようとしていたのですけど……」

涙を滲ませている金剛お姉さまに私は反論をする余地もありませんでした。
もう医務室の内外ではたくさんの艦娘の皆さんがそろって集まってきていましたから。

「このっ! クソ提督! あたし達の前から消えるんじゃないわよ! 消えるんじゃ……う、うぅ……」
「ぼのたん……」

曙さんが今も透けてしまっている提督に向かって己の胸の内を叫んでいて漣さんが肩に手を置いて慰めていました。
きっと……なにかしら予感をしていたのでしょう。
私も、いつかこうなるのではと危惧していましたけどとうとうやってきてしまいましたから。
今も手を握っていますが提督の姿は透けたままです。
もう、私だけじゃ……無理なのですか? 提督……。

「提督さん、せっかくこうして会えたのにお別れなんていやだよぉ……」
「シンちゃん……」

シンちゃんが私とは反対の提督の手を握っていました。
シンちゃんと私ならもしかしたら……。
と、思いもしましたけど、結局提督の様態は回復していませんでした。
どうしたらよいのですか、提督……。
榛名はもう耐えられないかもしれません。
みなさんもそうです。
ですから早く帰ってきてください……。





そんな榛名たちの光景を見ながら一応はまだ冷静な長門が明石に提督の容態を聞いていた。

「……そうか。やはり裏目に出てしまったのだな」
「はい。すみません。私の提督にしてあげたいというエゴでこんな結果になってしまいまして……」
「なに、気にするな。いずれは誰かが思いついた事だろうからな。遅いか早いかの問題だったんだ……。
それで、提督を治す見込みはあるのか……?」
「それが……なにぶん症状が発覚してからそんなに日数が経っていませんから納得のいく成果をまだ上げられていないんです。提督は私が治す!って啖呵を切ったのにこのざまです。自分が情けなくなってきます」
「わかった。とにかくしばらくの間は私が提督代行をしていよう。
柳葉大将や久保提督にはなにか連絡があったら『風邪で寝込んでいる』と誤魔化しておく」
「お願いします。その間に私もなにかしら解決策を見つけてみせます」
「頼んだぞ」
「はい。お任せを」








提督はぼんやりとする意識の中、目を覚ますとそこは上下左右の感覚がない何もない空間に自身は浮いている事を感じた。

『ここは……?』
『ようやく来たね……』

そこにそんな少年のような声がしたので提督は思わず振り向く。
そこには自身と同じようにこの謎の空間に浮いている謎の少年の姿があった……。


 
 

 
後書き
300話というキリがいいタイミングでこんな話をぶち込んでみました。
駆逐艦が全員練度が70以上になったのもいいタイミングでしたね。






それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
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