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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0301話『少年との話し合い』

 
前書き
更新します。 

 





提督は謎の空間で出会った少年を見て怪訝そうな表情をしながら、

『君は誰だい……?』
『そうだね……君からすればこの世界に送り込んだ張本人ってところかな……?』

それを聞いて提督は目を見開く。
いきなりの発言に驚きの表情をしながらも警戒をしながらも、

『それじゃ、君は一体何者なんだ……?』
『君達の世界で言う神様でもいいよ。実際この世界を創造したのも僕だしね』
『なっ……それじゃなんで私を送り込んだんだ……?』
『そう、それだよ』

そう言って少年は笑みを浮かべながらも、

『僕はね、君達の世界の『艦隊これくしょん』というゲームを基盤にしてこの世界を創造した。
最初は大変だったけど深海棲艦ももとからデザインは出来ていた分はやりやすかったよ。だけどね、この世界の人間はあまりにも醜悪だった……』
『醜悪……?』
『君も柳葉大将や久保提督という人に聞いただろう……? 君が来るまでこの世界の人間が艦娘達にやってきた行いを。特に大和型の扱いがひどいったらないね』

それを聞いて思い出した。
この世界の提督達は良心的な人達もそれはいただろうけど大半は艦娘をまるで自殺でもして来いと言わんばかりに特攻させてその犠牲とともに戦果を上げていた事を。

『それはね、船の方の駆逐艦一隻を作る分に比べれば艦娘一体を建造する費用は抜群にコストはいいからね。ムダ撃ちでもいいから特攻させて勝利をもぎ取りたいという気持ちもわかるよ。深海棲艦のせいで普通の船が海に出たらすぐに沈められてしまうからね。
でも、それじゃ意味がない。
人間と艦娘がともに思いあって戦っていくのを目指してこの世界を作った僕からしてみれば愚劣にも映る光景だったよ。
それで僕は思った。元の世界で提督をしている人間を送り込もうとね』
『だけど、なんでそれが私だったんだ……?』
『うん。それはね、誰でもよかったんだけどたまたま君に目がついてね。
それなりに轟沈経験をしていてもその轟沈した艦娘の事を忘れないでいて艦娘達を愛している提督だった君を選ばせてもらったんだ。
でもその世界には君は存在していないから器が必要だったんだけどちょうど君が一番好きそうな艦娘、戦艦『榛名』に君の魂を憑依させることでそれも解決した』
『…………』

それで提督は一応は納得をした。
最初は何でこんな世界に来てしまったのかという疑問が一気に解消されたからだ。
提督は無言で次に少年から発せられるだろう言葉を待っていた。
この少年は気前がいいのか質問している以上の事を教えてくれる。
だから無理に質問をして機嫌を損ねられるより、答えを教えてくれることを待っていた方がいいと言う判断であった。

『ここまではいいね? それで君をこの世界に送り込んでみたはいいんだけど最初からこの世界の事を改善してくれるとは思っていなかったからただ見守っていたんだ。
だけどふたを開いてみればどうだい?
君の保有する艦娘達の活躍が瞬く間に広がっていって、最初の大型作戦での活躍を鑑みて少しずつだけど艦娘の扱いが変わっていったのを今でも覚えているよ』
『だけど、それは大本営のおかげでもあるし別に私は普通に深海棲艦と戦っていただけだ』
『それだけでよかったんだよ。もうさっきも話したし知っていると思うけどこの世界の人間は艦娘を轟沈させてでも勝利をもぎ取っていったんだけど、君は誰一人失わないで何度も限定作戦を乗り切っていった。
それでちゃんと育てれば艦娘達もきっとその期待に応えてくれるっていう話がどんどん海軍内で広がっていったんだ。
ほら、最近はもう聞かなくなったんじゃないかい? 艦娘を特攻させるっていう反吐が出そうな話題は?』
『確かに……』

柳葉大将もそういえば最近は前はあんまり笑う人でもなかったのに何度か通信で話す時は笑みを浮かばている事が多い。
上に立つ人がこれなのだから改善されてきた証なんだろうという事だ。

『君のおかげで良い世界へと少しずつだけど変わってきている。それのお礼として一年に一回というのにはロマンがあるだろう、一緒になっている艦娘と分離できる機会を与えてあげたんだ』
『やっぱり……』
『君も嬉しかったろう? いい事じゃないか。だけど、あの工作艦がまんまとある事をやり遂げてしまって僕の計画外の事が起きてしまった』
『ある事……それってやっぱり私と榛名、それにシンちゃんの分離の件ですか?』

提督がそう聞くと少年はため息を吐きながら、

『そうだよ。もともと君とそのシンちゃんって子が榛名と一緒になっている事で君があの世界での存在していられるエネルギーを得られていたんだ。
だけどそれが分離してしまったせいで君はあの世界で存在していられるだけのエネルギーが不足してしまった。
だから今回僕は君をこの空間に呼び出すことにした。
君が感じていた謎のノイズは僕が呼びかける声だと思ってもらって構わないよ?』
『なるほど……』
『そして今の君の現状はこうなっている』

そう言うと少年はとあるスクリーンを映し出した。
そこに映っていたのは大勢の艦娘達に見守られながら今にも消えそうになっている自身の姿だった。

『これは……!』
『そう、今の君の現状だよ』

そこでもう一度少年はため息を吐いて、

『この問題は新たに僕が存在し得るだけの力を君に与えれば解決する問題だ。
だけどそれを含めて君にある問いかけをしたいと思ったんだ』
『問いかけ……?』
『こういうのは君からしたら魅力があると同時にとても薄情な質問だとも思うけどね、君のもとの世界に戻れるって言ったら君はどうしたい……?』

少年のそんな突然の問いかけに提督はターニングポイントに立たされることになった……。


 
 

 
後書き
最後にされた質問。
提督はどういう決断をするのか?
次回を待て!




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