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真田十勇士

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巻ノ百二十二 集まる豪傑達その十一

「してはならぬ」
「幕府とつながっておっても」
「それでもじゃ」
 それがどう見ても明らかでもというのだ。
「仕方がない」
「左様ですか」
「うむ、だから貴殿もな」
「あの方々については」
「放っておくのじゃ」
 こう言うしかなかった。
「よいな」
「さすれば」
「その様にな、それにな」
「真田殿ですか」
「先程話があった」
 今は明るく言う大野だった。
「九度山を発たれるとのことじゃ」
「それでは」
「大坂に来られる」
 まさにこの城にというのだ。
「そしてな」
「大坂の将としてですな」
「戦って頂ける」
 幸村、彼もというのだ。
「そうなるわ」
「それは何よりですな」
 木村もその話を聞いて笑みになった。
「これまでの多くの名将豪傑が大坂に入られており」
「天下の智将真田殿もじゃ」
「それがしもお名前を聞いております」
 若い木村もというのだ。
「ですから」
「楽しみじゃな」
「是非お会いしてお話をして」
 そしてというのだ。
「靴を並べたいと思っておりまする」
「そうか、木村殿らしいな」
「そのうえで思う存分戦い」
「上様にか」
「勝ちをと考えております」
 大野に毅然として述べた。
「是非」
「左様か、ではな」
「はい、それでは」
「真田殿が来られれば」
「戦の用意も整ってきましたし」
「戦になれば」
「暴れてやりましょうぞ」
「十万の軍勢がある」
 既にそれだけの軍勢がというのだ。
「ならばな」
「戦の仕方次第で、ですな」
「まずは近畿を抑えてな」
「そうすれば大名もついてきますな」
「そしてさらにじゃ」
「天下を」
「そうなるからじゃ」
 だからこそというのだ。
「思う存分戦おうと」
「うって出て」
「天下の名将豪傑と共にな」
「そうしましょうぞ」
「して貴殿は」
 大野はまた木村に問うた。
「一つ聞くが」
「何でしょうか」
「奥方を迎えられたが」
 このことは大坂でも話題になっている、美男子の木村に相応しい整った容姿の妻を迎えたとである。 
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