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身内のみ

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第三章

「しかし虚塵の監督ってあれだな」
「生え抜きのスター選手じゃないとなれないからな」
「しかもフロントに逆らいそうにない」
「過去にでかいスキャンダルもない」
「それも言われるからな」
「球界の紳士たれってことでな」
 全人類で信じている者はそれこそ某国が民主主義人民共和国であるということと同じdけ稀な言葉だ。
「色々調べられるからな」
「それで監督になるとか」
「候補が絞られてな」
「伝統伝統でな」
「人選が厳しくて」
「今は羽良か」
「羽良しかいないか」
「そうなんだよ」
 それこそとだ、また話した彼等だった。
「今はな」
「士濃塚とかもよさそうなのにな」
「士濃塚、美津濃、芳村とかはコーチになるらしいな」
「ヤング虚塵の面々で組閣か」
「けれど監督にはなれないか」
「コーチ止まりか」
「コーチと監督では全然違うからな」
 同じ指導者でもだ。
「どうしてもな」
「そこは違うからな」
「それも全然な」
「特に虚塵の監督になるとな」
「全然違うぜ」
「監督になれるのは生え抜きのスター選手」
「それだけだからな」
 しかもスキャンダルが目立たない、だ。そしてファン達はここで一つの危惧を覚えたのだった。
「今うちFAで選手獲得してるよな」
「他のチームからな」
「それで若手が中々育ってないな」
「ドラフト下位だと出なくて」
「それでFAの交換で他のチームで活躍するんだよな」
 そして獲得した選手はよくて五年で衰えが目立ってくる、そしてまた次の選手を獲得していっているのだ。
「育成しなくなったな、うちは」
「流石にドラフト一位だと活躍するけれどな」
「次の監督誰だ?」
「誰になるんだ?」
「羽良の次はな」
「まだ先にしてもな」
「堀打か?」
 往年の名選手、名球会も入った大投手だ。
「あいつか?」
「おいおい、あいつコーチとしては駄目だったぞ」
「しかも性格悪くて嫌われてるぞ」
「あんなの監督に出来ないぞ」
「したら駄目だろ」
「あいつはないさ」
「しかも歳だよ」
 そうした悪い条件が揃っていてというのだ。
「まずないさ」
「あいつに監督は無理だよ」
「確かに生え抜きのスター選手でもな」
「監督に向いてない」
「絶対にな」
 だから羽良の次はないというのだ、それであらためて羽良の次は誰かという話になるのだった。
「じゃあ高梁か?」
「松居じゃないのか?」
「植原かもな」
「ドラ一のスター選手はいるんだけれどな」
「何か昔に比べて少ないな」
「生え抜きの選手な」
「本当にFAばかりでな」
 このことを憂える心あるファン達もいた。
「生え抜きしか監督にしないチームなのにな」
「生え抜き少ないと困るってのに」
「ドラフト下位の選手も育てろよ」
「西幹だってドラフト外だっただろ」
 監督にはなれない彼でもというのだ。 
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