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レーヴァティン

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第三十五話 北の大地その二

「僕にしてもね」
「いいぜ、しかも使い捨てじゃないからな」
「何度か使えるからね」
「一回揉んだら効果は二十四時間でな」
「また二十四時間経たないとまた使えないけれど」
「何個か置いてローテーションにすればいいしな」
「実際にそうして使ってるからね」
 だからいいというのだ。
「僕達は」
「それでかなり助かってるからな」
「うん、いいよね」
「こんなのあるなんて思わなかったからな」
 こちらの世界にだ。
「しかも売ってるなんてな」
「意外だね」
「こっちの世界にはこんなのもあるんだな」
「これまで見てこなかったんだ」
「ああ、寒い場所に行くこともなかったからな」
「これまではね」
「だからな、カイロなんてな」
「なくてだね」
「驚いたぜ、そしてあるのならな」
「使う、だね」
「ああ」
 笑ってだ、久志は源三に答えた。
「服にカイロでな」
「かなり違うね」
「本当にな」
「靴だってな」
 正は足の話をした。
「ブーツの裏に毛皮があるの買ってな」
「そしてな」
 久志はその正にも応えて話した。
「靴下だってな」
「厚いの履いてるしな」
「それだけ違うな」
「俺達いつも靴下も履いてるけれどな」
「それもガードだからな」
「そうだよ、素足よりずっと安全だよ」
 靴下を履く方がというのだ。
「靴履いても靴ずれとかあるしな」
「こんな寒い場所だとな」
「余計にだよ」
 靴下を履く方がというのだ。
「いいんだよ」
「そうだよな」
「足の指とか凍傷になるとな」
「厄介だからな」
「それでだよ、靴下も履くことだ」
「それも厚着のうちだな」
「手だってな」
 正は今度はこちらの話をした、見れば全員厚い生地のウィンターミトンをそれぞれの手に嵌めている。
「こうしてな」
「守ることだな」
「しかもこの手袋魔法もかかってるからな」
 只の手袋ではないというのだ。
「ちゃんと動かせるからな」
「親指以外は一つになってるけれどな」
 ウィンターミトンだからだ、そうした形になっているのだ。
「ちゃんと武器を持ててな」
「俺も弓矢を使えるぜ」
 正は実際に自分の弓を使いながら話した。ウィンターミトンを嵌めているがその弓の使い方は素手の時と変わっていない。
「充分にな」
「じゃあいいな」
「ああ、寒さ対策も出来てるからな」
「本当にいいな」
「守りを固めてでござる」
 進太は前を見ている、その手には地図があってそのうえで目指す場所の方にその目をやっているのだ。
「そのうえで戦えるでござる」
「そうだよな、寒さにだってな」
「寒さで凍えているとでござる」
「身体も固くなってな」
「戦闘力が落ちるでござる」
 そうなってしまうというのだ。 
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