レインボークラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四百九十七話
第四百九十七話 空港に
新大阪空港の雰囲気は異様なものになっていた、それは職員達も漢字ていて彼等は怪訝な顔になってお互いで話していた。
「おかしいな」
「そうだな」
「何だ一体」
「雰囲気が急に変わったぞ」
「何でだ?」
「急に温度が下がったな」
そんな感じがしたのだ、だが温度計をチェックしても温度は変わっていない。それで彼等は余計に不思議がって話した。
「温度計は何ともないのにな」
「本当に温度が下がった感じがしたぞ」
「何だこの寒気」
「悪寒もするぞ」
「風邪か?」
「全員急に風邪とかないだろ」
怪訝な顔で話し合う、それは乗客達も同じだった。
オーストリアからの旅客機から降りた面々は眉を顰めさせて話をしていた。
「寒かったですね」
「ええ、本当に」
「まるで冬の中にいる様な」
「暖房は利いていた筈なのに」
それでもというのだ。
「恐ろしい寒さでしたね」
「悪寒を感じるまでに」
「あの寒さは一体」
「何だったのでしょうか」
彼等も不思議がっていた、だがそれは彼等が空港を出てすぐに収まり空港の職員達もやがてだった。
寒気を感じなくなってだ、またしても怪訝な顔で話をした。
「あれっ、寒くなくなったぞ」
「それも急に」
「どうしてなんだ?」
「普通に戻ったけれど」
互いに不思議な顔になって言い合う、だがその答えは出なかった。
だが何かが起こっていた、そのことは間違いなく。
博士は研究室で小田切君に怪訝な顔でこう言ったのだった。
「わしに向かって来る者は妖怪でも何でも相手をする」
「妖怪ですか」
「それが吸血鬼でもな」
「吸血鬼って」
「そのうちわかるかも知れん」
小田切君にこう言うのだった。
「よいな」
「言われる意味がわかりませんが」
「だからそのうちわかるかも知れん」
「そうですか」
小田切君は訳がわからないまま首を傾げさせた、博士はその小田切君にさらに話した。
「では君は適当に大蒜だの十字架だの銀だの聖水だの用意しておけ」
「わかりました」
やはり訳がわからないまま博士の言葉に頷く小田切君だった、そのうえでそうしたものを買いに行くのだった。
第四百九十七話 完
2017・11・9
ページ上へ戻る