| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十二話 六人目の手掛かりその十

「じゃあな」
「今度はだね」
「ブロッケン山に行こうな」
「ここから北北東にね」
 ここでだ、淳二は磁石と地図を出した。そして北北東の方を指し示してそのうえで久志達に話した。
「あるよ」
「北北東か」
「そっちにね」
「そういえばあっちは山が多いな」
 久志もその北北東を見て言った。
「それであの中にか」
「ブロッケン山があるんだ」
「あの山脈の何処にあるんだ?」
「奥の方の岩山がね」
「ブロッケン山か」
「そうだよ」
 まさにその山がというのだ。
「奥の険しい岩山だよ」
「その岩山までまず辿り着いてか」
「登るんだよ」
「わかったぜ、おおよそな」
「じゃあね」
「行こうな、ガンダルフさんのところまで」
「今からね」
 こう話してだ、一行はそのブロッケン山に向かうことになった。六人目の情報を手に入れる為に。そのことを決めてだ。
 北北東に向けて歩きはじめてだ、久志は淳二に言った。
「ところでな」
「何かな」
「御前もあっちの世界じゃ八条大学の学生だよな」
「前に話したよね」
「そうだよな、誰もがそうだな」
「何か縁だね」
「うちの大学ばかりって不思議だな」
 首を傾げさせての言葉だった。
「それも」
「まあうちの大学不思議な話が多いから」
「怪談話滅茶苦茶多いな」
「学園全体でね」
「そういうのが関係あるのかよ」
「どうなんだろうね」
「まあ少なくともな」
 久志は考える顔のままこうも言った。
「全く無関係とはな」
「思えないよね」
「やっぱりな」
「その辺りも余裕があったら調べてみる?」
「そうするか」
「あっちの方もね」
「後な」
 さらに言う久志だった。
「ブロッケン山っていうとな」
「不気味とか?」
「それはもう言っただろ」
 だからそちらのイメージの話ではないというのだ。
「あれだよ、超人とかサイボーグとかな」
「ああ、そっちだね」
「ドイツ軍の軍服ってイメージあるな」
 こちらも感じたというのだ。
「どうしても」
「それはそうだね」
 淳二も否定せずに帰した。
「言われてみれば」
「そうだよな、やっぱり」
「詰襟のあれね」
「灰色でな」
 所謂ジャーマングレーだ、ドイツ軍の軍服陸軍のそれといえばこの色という位に代表的な色である。
「それになるな」
「ブーツでね」
「漫画とかゲームの話でもな」
「二世とか出てね」
 ジュニアのことである。
「ドイツ軍って印象も確かにあるね」
「どうもな、じゃあ今からな」
「そのブロッケン山にね」
「一緒に行こうな」
「皆でね」
 二人で明るく話してだった、進太達も入れて全員でブロッケン山に向かった。六人目の情報を求めて。


第三十二話   完


                2017・9・1 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧