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レーヴァティン

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第三十二話 六人目の手掛かりその九

「多分ね」
「六人目のこともか」
「知ってると思うよ、じゃあね」
「ああ、じゃあそのガンダルフさんのところに行くか」
「そうするんだね」
「ああ」
 淳二に確かな声で答えた。
「そうしようか」
「わかったよ、ただね」
「ガンダルフさんのいる場所はか」
「秘宝があるって言ったよね」
「秘宝があるだけの場所か」
「そうだよ、秘境だよ」 
 そう言っていい場所だというのだ。
「高くて険しい山でね」
「その頂上の辺りか」
「ブロッケン山ってところで」
「ドイツのあの山か」
 ブロッケン山と聞いてだ。久志はすぐにこう言った。
「ブロッケンの妖怪か」
「そうそう、名前は一緒だよ」
「この島特有だな」
「それでそのブロッケンさんの頂上にね」
「ガンダルフさんがいるか」
「魔女じゃなくてね」
 ブロッケン山で魔女達のサバトが行われるという伝説からの言葉だ、ブロッケン山はその妖怪正体は自然現象のことからそうしたことも言われていてゲーテのファウストでもサバトの舞台になっている。
「魔法使いがいるんだ」
「こちらはか」
「秘宝もあったけれどね」
「その秘宝はか」
「もういいよ」
 こう言えるものになったというのだ。
「だって使えるかっていうと」
「使えてもな」
「おいら達が求める位じゃないってわかったから」
 だからだというのだ。
「もういいよ」
「そうか、じゃあな」
「財宝じゃなくてね」
「情報を聞きにか」
「行こうね、皆で」
「山登りだね」
 源三は己の顎に自分の右手を当てて淳二のその言葉に応えた。
「要するに」
「そうなるよ」
「しかも普通の山じゃなくて」
「険しいからね」
 淳二は源三にも答えた。
「それもかなり」
「わかったよ、まあ僕は錬金術師で頭脳労働担当だけれど」
「歩き慣れてるよね」
「この大陸も随分歩いてきたよ」
 これが源三の返事だった。
「そして山もね」
「この島山も多いからね」
「ブロッケン山は登ったことがないけれど」 
 それでもというのだ。
「色々な山を登ることにもなっていたよ」
「それじゃあね」
「僕も登るからね」
「私もです」
「俺もだ」 
 次に順一と正も名乗り出た。
「俺はそうした険しい場所こそが得意なんだよ」
「私も歩き慣れています」
「だからな」
「山の頂上まで喜んで向かいましょう」
「馬は麓に預けておくでござる」
 最後に進太が言ってきた。
「山の最寄の村にでござる」
「ああ、そうした村もあるよ」
「ではそこにでござる」
「馬や驢馬を預けて」
「それからでござる」
「進太さんも一緒にだね」
「全員で行くでござるよ」
「それじゃあね」
「よし、これで決まったな」
 話はとだ、久志がリーダーとして述べた。 
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