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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1893話

 荒垣の召喚器が光り、やがてペルソナが召喚される。
 そうして姿を現したペルソナは、騎士……それも馬に乗った騎士といった感じだった。
 馬に乗った騎士というイメージでは、タルタロスの小ボスとしてもいたが、このペルソナはそれよりも遙かに騎士っぽい。
 馬……いやまぁ、ユニコーンみたいに長い――それでいて黒い――角が生えているし、何より存在しているのは馬の上半身部分だけあったりと、正直なところ馬と呼ぶにはちょっと微妙な感じはするのだが、それでも外見は立派な馬だ。……上半身だけだが。
 また、その馬に乗っているのも、全身鎧を身につけているらしい騎士だ。……何故か胸の中央に何かが刺さっているように見えるが。
 牛の頭蓋骨と馬という差はあれど、イオと似ている部分が多いな。
 ともあれ、荒垣に召喚されたペルソナは、そのまま動かずにいたのだが……

「カストール、止めろ!」

 不意に荒垣が叫ぶ。
 何を止めろと言うんだ? と思わないでもなかったが、荒垣が何を止めようしているのかを俺はすぐに理解する。
 カストールと呼ばれたシャドウは、真っ直ぐ俺に向かって突っ込んできたのだ。
 いや、暴走するとは聞いていたけど、まさかこんな感じに突っ込んでくるとはな。
 その事を意外に思いながらも、俺のやるべき事は決まっている。
 特に動く様子もなく、そのままその場に立ち続ける。

「アルマー、避けろ! 逃げるんだよ!」

 荒垣の必死の叫びが聞こえてくるが、それを聞いても動く様子はない。
 カストールは馬の額から伸びている角を一直線に俺に向けたまま、真っ直ぐこっちに突っ込んできた。
 馬というのは、間近で見ると結構大きい。
 だが、それでも常識で理解出来る範囲内であるのは間違いなく……俺はそっと手を伸ばす。

「馬鹿な! 嘘だろ!?」

 その場から1歩も動かず、あっさりとカストールの乗っている馬を止めた俺を見て、荒垣が叫ぶ。
 馬を止めても、馬の後ろにいる本体――という表現が正しいのかどうかは分からないが――が攻撃してくるかとも思ったが、どうやら攻撃をしてくる事はなく、そのまま消えていった。

「なるほど」
「ばっ、何がなるほどだよ! カストールが突っ込んでいったら、普通ならさっさと回避するだろ!? なのに、何で受け止めるなんて馬鹿な真似をしたんだよ! 怪我はねえな!?」
「当然だろ。俺があの程度で怪我をすると、本気で思っているのか?」

 純粋に筋力だけで、俺はカストールを受け止めた。
 それでいながら、最初に立っていた場所から1歩も動いていなかったのだから、俺の余裕度が窺えるだろう。
 そしてカストールは、俺に一撃を与えるとそのまま姿を消す。
 今の一撃を行うのが限界だったのか、実はカストールはそれを狙っていたのか……その辺りの事情は分からないが、それでもこうして見る限りでは、カストールの能力の大体は理解出来た。
 存在感そのものが違うというか……そんな感じだ。

「恐らく、本当に恐らくだが、何で荒垣のペルソナが暴走するのかが分かったような気がする」
「……本当か?」

 数秒の沈黙の後、荒垣は俺の方に視線を向けて尋ねてくる。
 実際、荒垣にしてみれば、1分にも満たない時間で俺がカストールをどのような存在であるか理解した……というのが、信じれないのだろう。
 実際、普通の奴ではそれが無理だったという思いはある。
 幾多もの戦いを潜り抜けてきた俺だからこそ、理解出来たというのもあるのだろう。

「それで、何でカストールは暴走するんだ?」
「そうだな、簡単に言えば……お前の力不足だ」

 端的な言葉だが、それは荒垣にショックを与えるのは十分だったらしい。
 勿論、荒垣だってその辺は自覚していた可能性は十分にあるが。
 そんな荒垣を見ながら、俺は再度口を開く。

「もっとも、お前の力不足といっても、この場合は仕方がないと言えるけどな」
「どういう事だ? 下手な慰めは……」
「いや、これは慰めとかそういうのではなく、普通の事だ。俺は今まで、色々なペルソナを見てきた。それこそ、一番多く見ているゆかりのイオから、桐条、真田、有里、順平。特に有里は、ペルソナチェンジとかいう能力で何種類ものペルソナを使い分ける能力を持っている。ともあれ、そんな風に色々なペルソナを見てきたが……正直、お前のペルソナ、カストールは強力すぎるんだ。今はそこまで強いって訳でもないかもしれないが、少なくてもその潜在能力は一番高いと思う」

 これは冗談でも何でもなく、先程カストールとのやり取りをした上での純粋な経験だ。
 触れたのは1分にも満たない時間だったが、それでもカストールが持つ潜在能力の高さは理解出来た。
 恐らく……いや、確実に現在俺が知っている中で最強のペルソナと言えるだろう。
 現在の最強のペルソナ使いという点では、間違いなくゆかりだ。
 だが、最強のペルソナはどれかと言われれば、恐らくカストールとなるだろう。
 ……つまり、俺のパーティは最強のペルソナ使いと、最強のペルソナという2種類の最強が所属している訳だ。
 順平辺りが知ったら、多分またこれも気にくわないって事になるんだろうな。

「俺のペルソナが強い?」
「ああ。それは間違いない。勿論それは今の時点でって訳だから、実際には成長していけば逆転される可能性もあるが」

 実際、ペルソナが成長するというのは、イオを見ていれば明らかだろう。
 戦闘を重ねる事により……ゲーム的に言えば、経験値を稼ぐ事によってレベルアップし、新たなスキルを習得している。
 具体的な能力とかはどうなのか分からないが、恐らく身体能力――ペルソナにこういう表現が合うのかどうかは分からないが――も上がっているだろう。

「そして、戦いを通す事でペルソナを操る能力が上がるというのも、また事実だ。それは、ゆかりを見ていれば分かるだろう?」
「ああ」

 実際、最初はペルソナを扱うのが下手だったゆかりだが、戦闘を重ねるごとにイオを操る練度も増している。

「荒垣の場合、特に必要とされるのはこのペルソナを操る能力だ。カストールの能力が初期から高いからこそ、それを操る能力も他のペルソナ使いよりも高い能力が必要とされる」

 本当に今更の話なのだが、S.E.E.Sとして桐条と真田の3人で活動していた時に、今よりもタルタロスに多く挑んで戦闘経験を重ねていれば、多分荒垣はペルソナの暴走を経験するような事はなかっただろう。
 もっとも、それはあくまでも『たられば』の話であって、当時はその辺りの事情とかもよく分かっていなかった可能性が高い。

「……んだと……」

 俺の言葉に、荒垣が珍しくショックを受けた表情を隠しもせずにこちらを見てくる。

「それは、本当なのか? だとしたら、俺は……」
「本当かどうかは、それこそ分からない。あくまでも、俺が感じた事だからな。もしかしたら違う可能性もあるが……他のせ……いや、今まで俺が経験してきた感じからすると、恐らくは間違いないと思われる」

 ただ、ちょっと心配なのは……荒垣のペルソナのカストールは、ゲーム的によくあるお助けユニット的な存在なんじゃないかという事だ。
 RPGやS・RPG、SLGといったゲームはよくあるのだが、最初から仲間にいる中では高いステータスを持っているのだが、仲間が成長するにつれ、やがて出番がなくなっていくという。
 そういうお助けユニットで、成長率が低かったり、成長限界が早かったりと、そんなのではない事を願う。

「じゃあ、俺は……俺は……」

 俺の言葉に納得したのか、それ以外に何かあったのか。
 ともあれ、荒垣は地面を見ながら苦々しげに呟いていた。
 まぁ、桐条達から離れているのを見れば分かるが、恐らく色々とあったんだろう。
 それこそ、そう簡単に他人に言えないような事とか。

「お前に昔何があったのかは分からない。それこそ、お前のような男が今も後悔しているところを見れば、相応の何かがあったのは分かる。だがな、だからこそ今はお前も戦って、自分のペルソナを完全に使いこなせるようになる必要があるんじゃないか?」

 荒垣の様子から考えるに、ペルソナの暴走ってのが後悔の根元に存在している筈だ。
 である以上、それをどうにかする為に動くのはおかしな話ではないと思う。

「俺は……俺は、もうこんな力なんかいらねえんだ。使わねえと決めている」
「後悔してるのは分かるが、それでもいつかお前の力が必要になったらどうするつもりだ? 俺に助けてって泣きつくのか? まぁ、それで協力出来るのならそれもいいかもしれないが、俺がいつまでもお前の側にいるとは限らないだろ? そもそも、俺のような奴に頼るってのは外聞的に色々と問題があると思うが?」

 意図的な挑発だったが、それでも荒垣のどこかに感じる部分はあったのだろう。
 俺を睨み付けるように、強い視線を向けてくる。
 うん、この調子で挑発をすれば……
 そう思った瞬間、荒垣は深く溜息を吐く。

「アルマー、お前の言いたい事は分かった。だが……幾ら何でもすぐに決められる筈もねえ。悪いが、もう暫く時間をくれ。1人になってよく考えてみたい。俺がこれからどうしたいのか……そして、どうするべきなのかを、な」

 追加の挑発はいらなかったらしい。
 荒垣も色々と思うところはあるようだが、この短時間で多少なりとも心を決めたらしい。
 もっとも、どうするかを自分で決めるって事は、最悪の場合俺達のパーティから抜けるという可能性もあるって事なんだが。
 ……出来れば、そんな事にはなって欲しくない。
 カストールを見た今だからこそ、つくづくそう思う。

「分かった。なら、俺からはこの辺にしておく。どうする? いつもみたいにポートアイランド駅の側まで送っていってもいいが」
「いや、今日はいい。さっきも言ったが、1人でちょっと考えたいからな」

 影のゲートを使って送るのを断った荒垣は、そのままゆっくりと歩いて、公園に設置されているベンチのある方に向かう。
 荒垣がどうするのか、気になるのは間違いないが、それをここで俺が心配してもしょうがない、か。
 そう判断すると、俺はそのまま影のゲートに身体を沈め……やがて、自分の部屋に姿を現す。
 ちょっと前までここには俺以外にも2人いたんだが、影時間だからか、そのような痕跡はない。
 いや、そこまで長時間いた訳じゃないんだし、あの時の熱というか、暖かみがなくなっても、それは当然かもしれないが。
 ともあれ、そんな感じで誰もいない中、空に浮かぶ月を見ながら空間倉庫から取り出したサンドイッチを食べる。
 空に浮かぶ月は、一昨日が満月だった為だろう。こうして見ている限りでは、まだ殆ど満月と変わりないように思える。
 そんな満月未満の月を見ながらサンドイッチを食べていると……やがて時間が来たのだろう。影時間が終わり、普通の時間に戻る。
 それを確認して、桐条に電話しようとし……ふと、ゆかりに連絡してなかった事を思い出す。
 荒垣の件が終わったら、向こうに顔を出すつもりだったんだが、色々と重い事があったから、すっかり忘れてた。
 このままだと騒動になると、ゆかりの携帯に電話を掛ける。
 すると、呼び出し音が1度、鳴るか鳴らないか……といったタイミングで、即座に向こうが電話に出る。

『もしもし、アクセル!? 怪我とかは大丈夫なの? 連絡が遅かったけど』
「ああ、悪い。少し前に終わってたんだけど、色々と予想外の事があってな。ちょっと連絡が遅れた」
『……まぁ、いいわ。それで? 荒垣さんはペルソナを召喚出来たの?』
「ああ。それは全く問題なくな」

 まぁ、暴走したのが問題と言えば問題だが……ペルソナの召喚そのものは上手くいったんだから、決してこれは嘘じゃないだろう。

『そう、それならいいんだけど。じゃあ、今度は荒垣さんもタルタロスで戦うの?』
「その辺はまだ分からないな。荒垣にも色々とあるらしくて、少し考えたいって言ってた」
『そうなの? ……ねぇ、アクセル。それで召喚器は?』

 そう言われ、そう言えば召喚器はまだ荒垣が持ったままだったと思い出す。

「あー……悪い。召喚器は荒垣に渡したままだ」
『あのね……まぁ、色々とあったんだし、しょうがないけど』
「ああ、明日にでも荒垣に会って召喚器を受け取ってくる」

 まぁ、元々あの召喚器は荒垣の物であるのは間違いないんだから、荒垣が持っていてもおかしくないんだが。
 ともあれ、ゆかりは連絡が遅れた事に若干の不満を口にはしたが、そこまで怒ってる訳じゃなかったという事は、俺にとっても幸運だったと言えるだろう。

『ええ、お願いね』

 その後、10分程色々とゆかりと話して携帯を切るのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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