とある3年4組の卑怯者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
45 交流
前書き
花輪の母と花輪の友人・マークが日本に来ることになる。同時にリリィのイギリスにいた頃の友人も日本に来ることになり、リリィは自分の友達を花輪家に泊めて貰えるように花輪に頼み込む。そして遂に彼らが来たる時、リリィ達は静岡駅で待ち合い、そして友人と再会するのだった!!
リリィの友達とはどんな人でしょうか・・・?
夕方、藤木の家に電話がかかった。リリィからだった。藤木の母が出る。
「はい、こちら藤木です」
『こんにちは。藤木君の友達のリリィですけど、藤木君いますか?』
「はい、ちょっと待っててね」
藤木の母は息子を呼ぶ。
「茂、リリィさんよ」
「え、あ、うん」
藤木が受話器を受け取る。
「もしもし」
『藤木君、今日私の友達が来たわよ。明日楽しみに待っててね』
「うん、ありがとう。こっちも楽しみにしているよ。それじゃあ、さよなら」
『さようなら』
二人はお互い電話を切った。
翌日になり、藤木は花輪家に向かった。到着して、花輪家の門のインターホンを押す。
「こんにちは。花輪クンのクラスメイトの藤木です」
『ようこそ。どうぞお入りください』
お手伝いが返事すると、門が開いた。藤木が玄関に入ると、花輪が出迎えた。既にリリィもいた。
「Hey、藤木クン、よく来てくれたね」
「藤木君、待っていたわ」
「う、うん」
こうして藤木は花輪とリリィによってパーティールームへ通された。その場にはヒデじいに花輪の母、そして花輪の友人、マーク、そして黒髪をポニーテールにしている少女とその両親と思われる人物がいた。おそらくその少女がリリィの友達なのだろうと藤木は察した。その場には既にまる子とたまえ、はまじとブー太郎、そしてみぎわがおり、マーク達と談笑している所だった。
「会いたかったわ~、マーク~」
「O,oh・・・.Thank you・・・.Hahaha・・・」
みぎわは花輪の他マークにもお熱のようだった。リリィはポニーテールの少女を呼ぶ。
「メイベル、私の友達が来たわ」
メイベルと呼ばれた少女が振り返り、藤木とリリィの所へ来る。
「こちらが私の友達の藤木茂君よ」
「初めまして、藤木です。よろしく」
リリィに紹介された藤木は照れて挨拶をした。
「コンニチハ。私はメイベル・ヒロオカよ。日本名だと広岡美紀子って言うの。ヨロシク」
藤木はメイベルと握手した。藤木はメイベルに一目惚れした。そして、すぐ永沢、山根、そして山田が入ってくる。
「おやおや、藤木君、そのかわいい子はだれだい?」
山田が聞いてきた。
「リリィの友達さ」
藤木は返答した。
「おーい、オイラとも友だちになってくれじょ~」
山田はアハハハと笑いながらメイベルに寄った。リリィは永沢と山根にもメイベルを紹介した。
「それじゃあ、そろそろ本格的なWelcom Partyと参ろうか」
花輪が皆に呼び掛けた。
「今日は僕のmamaが日本に帰ってきて、僕の友達のマークにリリィクンの友達が、そして僕の日本のclassmateたちが集う事になったのさ。是非3か国の人々の交流を楽しもうじゃないか」
「それでは皆さん、グラスに飲み物を入れて乾杯の準備をしてください」
ヒデじいが皆に乾杯の準備を催促した。その場にいる人は茶を入れる者もいればジュースを入れる者もいた。藤木はアップルジュースをお手伝いさんからグラスに注いでもらった。
「では、坊ちゃま、乾杯の声を」
「では、乾杯!」
花輪がグラスを持った片手を上に突き出した。皆も乾杯する。
「乾杯!」
乾杯の後、花輪は、みぎわにすり寄られた。
「花輪くう~ん、貴方とこの場に入れて嬉しいわあ~」
「ちょ、ちょっと、近寄りすぎだ。離れてくれたまえ、Baby!」
「あら、カズちゃんったら、貴方達仲がホントいいのね」
「いや、mama、これはちが・・・」
「ええ、そうです。花輪クンは私の事をいつも想ってくれているんです~」
「まあ」
花輪の母は微笑んだ。
「これからも仲良くして頂戴ね」
「はい、未来のお母さま!」
(だから違うってのに・・・)
花輪は母に勘違いされた上に、みぎわに抱き着かれますます頭の中が真っ白になった。一方、まる子とたまえやはまじ、ブー太郎はマークと共に談笑しており、はまじが一発芸を披露し、皆を笑わせていた。メイベルははまじを見て面白そうだった。
「アノ人、面白いわね。私たちも行こ!」
「そうね!」
リリィとメイベルははまじらの所へ向かおうとする。藤木は挨拶だけで終わってしまうと気になった。しかし、リリィが振り替える。
「藤木君達も行こうよ!」
「う、うん!」
藤木と永沢、山根、そして山田ははまじの面白い芸を見に行った。
「Hahaha,it’s so funny!」
マークははまじの芸に大絶賛していた。
「アノ、私にも面白いものみせてもいいですか?」
メイベルははまじに頼んだ。
「あー、いーとも!」
はまじはメイベルにもコント番組で放送された芸の真似をして笑わせた。
「アハハハ、浜崎君は本当に面白いげいがとく意だじょ~」
山田は笑いながら言った。
(浜崎君は本当に面白くて人気があるよな。僕も人気になれるような事がしたいな・・・)
藤木ははまじが羨ましかった。
「藤木君、今君も浜崎君みたいに人気者になれるような事がしたいと思っているんじゃないのかい?」
永沢にまた心中を読まれた。
「い、いや、そんなことないさ!」
藤木はあわてて誤魔化した。
「まあ、卑怯者の君には無理なことだね・・・。」
永沢は藤木を意地悪にあしらった。また、リリィとメイベルはマークと英語で挨拶し、談笑していた。
(マークも格好良くて羨ましいな、それに比べて僕は挨拶しただけだもんな・・・)
藤木はマークをも羨ましがった。
昼食も花輪家でご馳走となった。
「今日は色々と素晴らしいご馳走にしたのさ」
花輪が言った。
「あの花輪クンって人凄いわね。広い家持ってるし、爽やかで上品だし、惚れちゃった」
メイベルが花輪に感心していた。
「そうなのよ。私も花輪クンってなんでもできるから本当に素敵だと思うわ」
藤木はリリィとメイベルの会話を聞いて花輪がますます羨ましく感じた。
「はあ~・・・」
藤木は溜め息をついていた。
「藤木君、どうしたんだい?溜め息ついて」
山根が藤木を心配した。
「ううん、なんでもないさ」
「まあ、いつものことさ」
永沢が呆れるように言った。
「花輪クン、ホント素敵よね。私、好きになっちゃった」
メイベルは花輪に対して言った。
「ハハハ、Thank you very much,baby」
その時、みぎわが鼻息を荒くしてドスドスと足音を立ててメイベルに接近する。
「フンッ!!ちょっと、貴方まで花輪クン狙う気なの!?悪いけど花輪クンのお嫁さんは私に決まってるのよ!フンッ!!」
「エ・・・、そうなの?」
メイベルはみぎわの嫉妬に溢れた顔を見てやや怖気づいた表情をした。
「そうよ、悪いけど諦めてちょうだい!フンッ!!」
みぎわは堂々と言った。リリィはみぎわに聞こえないようにメイベルに説明する。
「みぎわさんは他の女の子が花輪クンが仲良くするとすぐヤキモチ焼くの。気にしなくていいわよ」
「ウ、ウン・・・」
皆は食事を楽しんだ。藤木はただ黙々と食べており、話に入っている様子がなく、リリィが気になった。
「藤木君、どうかしたの?元気ないけど」
「あ、いや、そんなことないさ!」
藤木は誤魔化した。
「そうだ、メイベル、藤木君は優しいから、気軽に話しかけてあげて」
「ウン、エー、藤木君、貴方は何をするのが好きなの?」
「あ、その・・・、スケートかな・・・」
藤木は恥ずかしがりながら答えた。
「スケートかあ。フィギュアとスピード、どっちが得意なの?」
「どっちもだね・・・。フィギュアならジャンプやスピンも得意だし、スピードなら結構速く滑れるよ」
「ヘエ、是非見たいわね!」
メイベルの笑顔を見て藤木はスケートをする自分に関心を持ってくれたと思い嬉しくなった。
「ありがとう、それしか取り柄がないんだけどね・・・」
「メイベル、また冬に来たらどうかな・・・。そうしたら藤木君達と一緒に氷滑りしに行こうよ」
「エ・・・、ウン、いいわね・・・、藤木君のスケート見てみたいわ」
(リリィ、助かったよ・・・)
藤木はリリィのおかげでメイベルと少しでも話すことができて安心した。一方、リリィは藤木はスケートが好きという事で、藤木とメイベルの会話を少しでも話を盛り上げることができてよかったと思った。
「そういえば私も藤木君の氷滑りする姿見たことないな・・・」
「あ、そうだったね・・・」
藤木はメイベルはおろか、リリィにも自分のスケート姿を見せていないことを思い出した。リリィが藤木はスケートが得意だというのを知ったのは前に彼女の別荘に行き、隣にあった花輪家の別荘のキャンプファイヤーでエミリーという少女と友達になった時だった。その時藤木ははまじが一発芸で皆を笑わせたことに便乗してスケートをする真似をしたのだったが、受けはイマイチに終わった。しかし、リリィに自分の唯一の取り柄を知って貰った瞬間でもあった。
(リリィにスケートする姿を見せたら、いつも卑怯って言われる僕がこんなに輝いているってことを解ってもらえるかな・・・)
藤木顔をにやけさせていた。
「藤木君、どうしたんだい?そんなにニヤニヤして?」
山根が聞いてきた。
「あ、いや、なんでもないさ!!」
「どうせリリィとメイベルにもスケートする姿を見せたいとでも思ったんだろ?」
永沢は察した。
「う・・・」
藤木は何も言えなかった。
マークが花輪にこの後どうするかを聞いた。
「Hey,Kazu.What will we do after the lunch?(カズ、昼ご飯の後は何をするつもりだい?)」
「Well・・・,I think we’ll play the game(そうだね・・・、何かgameをしようと思っているのさ)」
「OK!」
マークは了承した。
「それじゃあ、この後は皆で何かgameをしようじゃないか?」
花輪が皆に言う。反対する者はなく、皆は了承した。
後書き
次回:「歌留多」
パーティーを楽しむ藤木達。昼食後はメイベルの要望によりカルタをやることになる。藤木は見栄を張ろうとするのだが・・・。
一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!!
ページ上へ戻る