| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二話:旅は道連れ、世は情け無用。

 
前書き
抗がん剤治療の前に何とか二話目も書き上げましたよ。
感想宜しくお願いします。 

 
(トラペッタ)
リュリュSIDE

ラーミアちゃんの我が儘に巻き込まれて、人生初の異世界冒険に旅立ちました。
お父さんと一緒じゃ無い上にウルポンが一緒に居る事が不本意ですが、次の機会の為に色々異世界冒険の事を学ぼうと思います。

自分達の都合しか考えていないウルポンを初めとする私達は、見た目以外が凄く常識的なヤンガスさんって言うオジサンの一言で、この一行の旅の目的という物を知る機会を得た。
でもビックリなのは、トロデさん(自称王様)と一緒に旅立ったはずのアハト君までもが、旅の目的を知らなかったという事です。

何となく……何となくですけども、このアハト君はリュカ家と同じ臭いがしますね。
気が合いそうです。
あ、でも度が過ぎればウルポンみたいになっちゃうから、注意は必要です。

それでトロデさんが言うにはね、ドルマゲスって道化師さんが彼等の国を壊滅させたから、その道化師さんを探し出す為にトラペッタに住むマスター・ライラスって魔同士を訪ねるそうなんですよ。そのマスター・ライラスって魔同士さんは、ドルマゲスって道化師さんのお師匠さんらしいから、当人を見つけ出す手伝いをさせるという事……

上手く行けば良いですね。
私達は掻き集めたアクセサリーを売り払い、今後の旅に必要な物を買い求めます。
因みに売り払った総額は7000(ゴールド)でした。

ウルポンが私に4000(ゴールド)渡して、『女性だし、男と違って生理用品とかが入り用だろ? 全部使えって意味じゃ無いけども、多めに金を渡しとくよ』と多少セクハラ混じりの気遣いを貰えました。

マリーちゃんと違って無駄遣いはしないから、4000(ゴールド)も使い切らないけど、やはり言われた通り女性特有の品々が必要になるので、有難く使わせて貰います。
可能な限り得値商品を選びますけどね。

必要最低限の物を購入してウルポン達と別れた広場へ戻ろうとしたら、美味しそうな焼き鳥の匂いが漂ってきました。匂いのする方に視線を向けると、そこは一般的な酒場で、中からは賑やかな声が聞こえてきます。

必要品の購入に500(ゴールド)も使わなかったので、ちょっとくらいならお酒を飲んでも問題無いと、ちょっとだけ考えたんですけども……お酒の匂いを纏わせてウルポンのとこに戻ったら、どんな嫌味を言われるか分かったもんじゃ無いので、美味しそうなお酒の誘惑を断ち切って広場へと戻る事にしました。(う~ん、リュリュちゃんってば真面目♡)

そんな真面目っ子リュリュちゃんが広場へと到着すると、何やら黒山の人集りが……
近くに居たオバサンに何事か聞いたら「町の中にモンスターが入り込んでるのよ! 早く追い出さないと」と嫌悪感を露わに教えてくれました。

この町は四方を高い壁に囲まれてる造りなのに、何処から入り込んだのか不思議に思ってると、視界の隅でウルポンとラン君が困り顔で佇んでおりました。
お酒も飲んでないし胸を張って彼等に近付いて状況を確認します。

「聞いた? モンスターが町の中に入り込んだんだって」
「聞いたし、見もした。リュリュさんは聞いただけで見てはないの?」
私の無邪気な問いかけに、苦笑いを強くして入り込んだモンスターが居る方を指差すウルポン。

不思議には思ったけども、言われるがまま指差された方を見ると、そこには見覚えがあるモンスターが町人達に石を投げつけられておりました。
はい。トロデさんであります!

そうですよね……見た目は紛う事無く魔物なんだし、一般の人々からすれば怖い存在になる訳だし、取り敢えず追い出そうと石を投げちゃったりもしちゃいますよね。
だけど私達はトロデさんが危険じゃ無い事は知ってる訳だから、投石を何時までも許しちゃダメだと思うんですよ。

だから助けようとトロデさんの方に行こうとしたら、ウルポンとラン君が私の腕を掴んで止めました。
「ど、如何したんですか!? トロデさんが石を投げられてるんですから助けないと!」
でも二人とも眉間にシワを寄せて首を横に振ります。

「町の方々はトロデ殿を殺害しようとまでは考えて居らず、兎も角追い出す事だけを目的として石を投げつけております。行為がエスカレートしたのならば助けに入った方が宜しいでしょうけど、今は巻き込まれない様にした方が良いと考えます」

「ラングの言う通りだ。下手に町の連中に俺等が魔物の仲間だと思われたら、今夜は宿屋のベッドで寝れなくなるかもしれない。馬姫さんも親父を守る為に投石の盾になろうとしてるし、俺等は最悪の事態になるまでは見守ろうじゃないか」

え~……事勿れ主義!?
ちょっと二人に幻滅(ウルポンは大分以前から)しちゃいましたけど、直ぐ側でトロデさんに石を投げつけてるオジサンの目が凄く怖い事に気が付き、私も二人の意見に従ってしまいました。

すると騒動を聞きつけたアハト君とヤンガスさんが現れて、慌ててトロデさんとミーティアさんを連れて町の外へと出て行きました。
恐ろしいモンスターが去った事を確認した町の人々は、口々に「良かった」と言いながら各自帰宅の途につきました。

人々が完全に捌けた事を確認すると、私達はゆっくりと町の外に出ます。
勿論そこにはトロデさん達の姿が……
そして私達を確認すると凄い剣幕で「この薄情者め!」と罵倒。

「何が?」
だが我等が性悪宰相閣下は微塵も感銘を受けやしない。
逆に尊敬出来るかもしれませんねぇ。

「お前等はワシが石を投げつけられてるのを、薄ら笑いで見学しておったじゃろ! 助けようともしないで……」
「あれウルフ殿……気付かれてましたよ。如何しますか?」
やはり感銘を受けてないラン君も、平然と対応しています。

「気付かれてるのは知ってたよ。だって目が合ったもん。オッサンの目が助けを求めて、俺の目とかち合ったもん」
「目が合った上に、助けを求めてるのが解ってるのなら何故助けん!?」
全く以てその通りですねぇ……

「だって仲間だと町の連中に思われたら、俺等まで町の宿屋に泊まれなくなるじゃん。いきなり異世界に放り出されちゃって、俺等は疲労困憊なワケよ。それなのにベッドで眠れないのは、ちょっと……ねぇ」
確かに異世界旅行初日から野宿は嫌ですねぇ……

それでもなお文句を言ってくるトロデさん……
ですがウルポンは鼻を穿りながらそっぽを向いて取り合わない。
時折、鼻くそをトロデさんに弾き飛ばしながら。



暫くの間、トロデさんの罵詈雑言が降り注ぎ続けましたが、流石に怒鳴る事に疲れた為、「もう良いわい!」と捨て台詞を吐きアハトさんの方へと戻っていきました。
因みに言われ続けたウルポンは、無味無感想な顔で佇んでます。(性格が捻曲がってますね)

「アハトよ……マスター・ライラスの事は何か判ったのか?」
「多少は判りましたけども、行き詰まった感じもありますよ」
主君が怒ってるのに、それを気にする様子が微塵も無いアハト君は、やっぱり身内感が強い。

「マスター・ライラスは既に亡くなってます」
「な、何じゃと!?」
あら……それって大問題なんじゃ?

「どうやら数日前に訪れた道化師の格好をした男が、マスター・ライラスの家を燃やして殺害したそうなんです」
「そ、それは……まさか……」
まさか何ですかねぇ? トロデさんは何に気付いたのでしょう?

「はい。多分ドルマゲスであろうと町人の何人かが証言しております。ただ……以前マスター・ライラスの弟子をしていた頃より、風貌が様変わりしてたそうなので、確証は無いとの事です」
あぁそうか……彼等が追ってるドルなんとかさんは、道化師の格好をしてるんでしたね。

「では彼奴は、自分の師匠を殺したのだな。しかし何の為に?」
「師匠殺しの件ですが、それなりの理由が……」
自分が調べてきた事を報告してる途中で、アハトさんは何かに気付いて喋るのを止めた。

何に気付いたのかが気になり、私達全員も彼の視線の先へと注意を向ける。
するとそこには、一人の女の子が何かを言いたそうにこちらを伺っていました。
何ですかねぇ? 儚い感じがするし、私にだけ見えてる以前は生きていた的な感じの人ですかねぇ?

「あ、あの……お話しの邪魔をしてしまって……」
「何じゃなおヌシは? ワシ等に何かご用ですかな?」
あ、トロデさんが用件を聞いた。
ってことは私にだけ見えてる、元人間的な透けてる人じゃありませんね。

「あの私……この町で占い師をしているルイネロの娘、ユリマです。お話しの邪魔をしてしまって申し訳ないのですけど……皆様にお願いがあって参りました」
「え! お嬢ちゃん何考えてんの? 俺等はこの醜い化け物の仲間なんだよ……怖くないの?」

「醜いとは何だウルフ!?」
「自覚無いの? それとも鏡を見た事ないの? もしくは一般と美的センスが大幅にズレてるの?」
相変わらずの失礼発言なウルポン。怒った方が負けです。

「本当に腹立つ男じゃな!」
はい、負けです。
トロデさんの大負けです。

「陛下……彼が失礼なのは、この半日で十分理解出来たでしょう。俺の存在で失礼な男には慣れてるハズなんですから、一々反応しないでくださいよ。それよりも、勇気を出して俺等に会いに来た美少女の方を優先させましょう」

どうやらアハトさんは自分が失礼な事を言ってる自覚があるようですね。
益々リュカ家の人間に適合しそうな人材です。
異世界である事が勿体ない……

「それでユリマさん……俺等に何の用件が?」
スマートな動作でユリマちゃんの側に近寄ったアハトさんは、優しい笑顔で私達に会いに来た用件を問うた。性格に問題がありそうだけど、根性が捻曲がってない分、ウルポンより人当たりが良さそうですね。

「あの……先程も言いましたが、私の父は占い師でして、以前は凄腕と評判でした。なので私も占いの勉強をしてるのですけれど……先日夢で“人でも魔物でもない者が現れ、悩み事を解決してくれるであろう”とお告げがあったのです」

「人でも魔物でもない……コイツか?」
ユリマちゃんの言葉を聞き、納刀したままの剣を腰から外し、鞘の先をトロデさんの襟首に引っかけ持ち上げると、ユリマちゃんに確認の為見せ付けるウルポン。扱いが雑……

「な、何じゃ貴様! 『人でも魔物ない』とは無礼だし、何より物みたいに扱うでない!」
「あ、ゴメンなさい……失礼な事を言ってしまいました」
多分トロデさんが怒ってるのはウルポンの扱い方だと思うんだけど、失礼発言の自覚があるユリマちゃんが泣きそうな顔で謝った。可哀想……

「貴女が謝る必要は有りません。陛下も大人気無いですよ……」
「あ……いや……ワシは……ただ……」
クレームの98%をウルポンに向けてたとは言え、多少は彼女に対しても向いてた事で、タジタジになってるトロデさん。

「此処では落ち着いて話も出来ませんね。何処か良い場所はありませんか?」
身内の煩さにウンザリなアハトさんが、優しくユリマさんに話せる場所を問う。
因みに私の見解だと、話しを煩くしてるのはウルポンに原因があると思います。

「で、でしたら私の家に来てください」
「大丈夫なんですか?」
「はい。私と父の二人暮らしですし……」
「ではお言葉に甘えましょう。あぁ陛下は町に入らないでくださいね……また騒動になるから」

テキパキと話を纏めるアハト君。
渋々だけど騒動になる事も理解してるトロデさんは黙って頷く。
それを確認した彼は、ヤンガスさんと目で会話をし、ユリマさんと一緒に町へと歩き出した。

私もラン君も一緒に付いていこうとしたんだけど、ウルポンだけがその場を動かず動向を拒否。
何事かと思い、アハト君等とも視線を交わして首を傾げます。
そして「ウルフの旦那は行かないんでがすか?」とヤンガスさんが聞きました。

「え……何で行かなきゃならないの? もう夜も更けてきたし、俺等は宿屋で休みたいんだけども」
と、さも当然の様に同行する必要性の無さをアピール。
確かにユリマちゃんは何か面倒事を持ってきたと思うけど……

「ウルフさん……貴方は俺の想像よりも凄い神経の持ち主ですね」
「ありがとう。よく言われるよ」
「褒めてませんが」
「遠慮せず褒めて良いよ」

話しは拗らせても、関わり合う事は避けるウルポン。
確かに凄い神経の持ち主だわ。
お父さんが居てくれたら一発解決なのになぁ……

リュリュSIDE END



 
 

 
後書き
リュリュちゃん視点は久しぶり。
いい歳なのにイタイ娘だよね。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧